時槻風乃と黒い童話の夜
- 著者
- 甲田学人
- イラスト
- —
- レーベル
- メディアワークス文庫
- 刊行年
- 2014
- 巻数
- 3巻
- アニメ化
- —
- 読み放題状況
- Kindle Unlimited: 1巻まで
『時槻風乃と黒い童話の夜』は、現代社会に生きる少女たちの家族関係や友情、隠し事のずれを起点に、童話の筋立てを怪異として組み替える連作ファンタジー。中学二年の木嶋夕子、嘘を嫌う京本奈緒、田舎町に戻った衣谷繭など、各話の中心人物は変わるが、闇夜を歩く時槻風乃が節目に現れる。シンデレラ、ヘンゼルとグレーテル、白雪姫、ラプンツェル、いばら姫といった童話が、学校や家庭、空き地、町の噂に重ねられ、身近な感情の揺れが怪異へつながっていく。母親に優先される姉と我慢する妹、母の顔色をうかがう兄妹、昔の仲間と戻った町の禁忌など、各話は日常の関係のひずみから始まる。時槻風乃はその場に静かに割り込み、童話の型を通して人間関係の不安を見せる役割を担う。
構造レビュー
作品Q&A
読者の声
読者レビューをもとに AI が要約した内容です。
作品の魅力
- 童話モチーフを下敷きに、家庭の歪みや友情の崩れを不穏に組み替える構成が刺さる。
- きれいな寓話ではなく、人間の悪意や思い込みがじわじわ破滅へ向かう重さが強い。
- 風乃の存在感が独特で、救い手にも災厄にも見える立ち位置が印象に残る。
- 短編ごとにモチーフの解釈が変わり、既知の童話でも別の怖さとして読める。
- 文章や描写の鋭さ、痛覚に触れるような生々しさを評価する声が目立つ。
こんな人におすすめ
- 童話の暗い再解釈やダークメルヘンが好きな人。
- 人間関係の歪み、特に少女同士の友情や依存の危うさに惹かれる人。
- ホラーよりもイヤミス寄りの、後味の悪い物語を求める人。
- 『断章のグリム』系列を読んでいて、スピンオフや前日譚の空気感を楽しみたい人。
- グロテスクさや精神的な痛さにある程度耐性がある人。
人を選ぶポイント
- 露骨なグロ描写や精神的に追い詰める展開が多く、軽い気持ちでは読みづらい。
- 明るい救いは薄く、読後感は重く沈みやすい。
- 既刊収録作の再録が含まれ、完全新作を期待すると物足りなさが残る。
- 物語の掘り下げが短く感じられる巻があり、あっさりした印象を受ける場合がある。
- 作品群の前提やシリーズ関係が見えにくく、順番を気にする読者もいる。
テンポ・読後感
- 断片的な中編・短編を積み重ねるため、テンポは比較的速い。
- ただし内容は軽快ではなく、じわじわ圧をかけるような重苦しさが続く。
- 童話の形を借りながら、現実の痛みや不穏さが前面に出る。
- 巻によっては展開が急で、感情の積み上げが薄く感じられることもある。
- 読後はすっきりよりも、冷たさや残響が残るタイプ。
キャラクターへの評価
- 風乃は、夜に人を受け入れる危うさと孤独を抱えた、謎の多い中心人物として見られている。
- 繭は比較的まともで、周囲の異様さや空気の歪みを際立たせる役回りになっている。
- 友人たちは普通の顔をしながら壊れていく存在として、怖さや痛ましさが強い。
- 少女たちは救いを求めるほど追い詰められ、友情や家族関係がそのまま悲劇の引き金になる。
- 男性キャラは脇に回りやすく、物語を動かすよりも不在や無力さが印象に残る。
巻一覧
この巻のあらすじ
『自分は母親に好かれていないのかもしれない……』 中学二年の木嶋夕子は悩んでいた。常に優先される姉と、我慢をする自分。それは進路問題にまで発展していく──。 そしてある所では、母親の顔色を窺いつつ、二人で助け合っている兄と妹がいた。だが二人の絆の中で広がっていくすれ違い。やがて負の想いが膨らんでいった時──。 彼女達が悩みの末に出会うのは、時槻風乃という少女。風乃は闇に溶け込むかのように、夜の中を歩いていた──。 「シンデレラ」「ヘンゼルとグレーテル」など、現代社会を舞台に童話をなぞらえた恐怖のファンタジーの幕が上がる。
この巻のあらすじ
「奈緒。わたし、可愛い?」 京本奈緒は、嘘が嫌いだ。その潔癖とも言える『嘘嫌い』のせいで親しい友達も少ない。だが唯一、天城紅美子だけは中学校からの親友と呼べる存在だった。紅美子は奈緒が知る限り最上の美少女だが、過度の寂しがり屋と浅慮な言動のため、同性からは嫌われていた。そんな紅美子の嘘や隠し事のないあけすけな言動は、奈緒にとっては心地よかった。 だが事件は唐突に起きてしまう。そして闇夜を歩く時槻風乃に出会い、二人の少女の間に黒い影が落ちて──。 「白雪姫」「ラプンツェル」など、現代社会を舞台に紡がれる恐怖の童話ファンタジー。
この巻のあらすじ
「あなたが……『幽霊』?」 衣谷繭が生まれ育った田舎町。四年ぶりに戻ってきたこの町には今、空き地に幽霊が出るという噂があった──。 かつて小さい頃から繭たちは常に仲良しの六人組で過ごしていた。だが繭が引っ越す直前、彼女たちを繋いでいた少女・小姫が、毎日のように遊んでいた空き地で、死体で見つかった。それは繭たちにとっては禁忌(タブー)の話題。そしてその話題に触れられた時、止まった過去は再び動き出す。少女たちが空き地で出会った時槻風乃がもたらすのは──。 それは現代社会に蘇る「いばら姫」。恐怖の童話ファンタジーが紡がれる。
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