砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet
- 著者
- 桜庭一樹
- イラスト
- むー
- レーベル
- 富士見ミステリー文庫
- 刊行年
- 2004
- 巻数
- 1巻
- アニメ化
- —
構造レビュー
星評価
編集部判定 名作
短評・キャッチコピー
編集部
砂糖菓子の弾丸は苦かった。どん詰まりの田舎町から出れない、訳アリ少女二人の青春絶望ストーリー。
概要
編集部
『私の男』で直木賞を受賞した桜庭一樹のラノベ。救いのないバッドエンドが読者に衝撃を与え、鬱ラノベの金字塔として今なお語り継がれる傑作です。 自分は人魚だと宣言し転校初日からクラスメイトの度肝を抜いた電波系美少女・藻屑と世界に打ち込む実弾を求めるなぎさ、二人の少女の限りなく共依存に近い友情が見所。 『このライトノベルがすごい!』2006年版で作品部門3位を獲得しました。
こんな人におすすめ
編集部
地雷系・メンヘラ・ヤンデレ美少女が好きな人 殺伐百合にときめく人 共依存・逃避行・地方都市のキーワードに魅力を感じる人 バッドエンドが好きな人 『ハッピーシュガーライフ』『少年のアビス』『徒花』『愛と呪い』『血の轍』が好きな人 ボクっ娘フェチ
メディアミックス状況
編集部
杉基イクラによるコミカライズが全2巻発売中。
評価点
編集部
【おすすめキャラクター】 海野藻屑 元芸能人の父親に虐待されている中学生。片耳と足が不自由。山田なぎさに依存し、彼女のあとを付いて回ります。情緒不安定な言動とちぐはぐな純粋さが庇護欲を刺激しました。
総評
編集部
母子家庭のヤングケアラーと父子家庭の被虐待児、不幸な家庭環境に置かれた二人の出会いから死別に至るまでをセンシティブに描いた青春残酷ラノベ。別名トラウマ製造機。 ともすれば稚拙で未熟ともとれる一人称文体が、生々しい切迫感を出すのに成功していました。暴力的な父を慕い「好きって絶望だよね」と呟くしかない藻屑の絶望と、逃避行に失敗した彼女に訪れた結末には、何も出来なかった無力感が襲います。 共依存に陥った思春期の少女二人の危うさを砂糖でコーティングし、傷口をジクジク膿ませるような話でした。
ストーリーの説明
編集部
鄙びた港町で暮らす中学生のなぎさと転校生の藻屑、二人の出会いから始まる絶望的な青春ストーリーに引き込まれました。なぎさのシニカルでリリカルな一人称語りも絶品。 冒頭で提示された衝撃的な結末に向け、坂道を転がり落ちるように事態が悪化していくのが醍醐味。それを見届けるしかない焦燥感は、鬱ラノベ好きにはたまりません。
キャラクターの説明
編集部
自分は汚染された海から来た人魚だと言い張るメンヘラ美少女・藻屑のキャラが強烈。虚構の世界を築くことでしか現実逃避できない弱さと脆さ、痛々しい可憐さに魅了されました。そんな藻屑とは対照的に現実主義を貫く、自立心旺盛ななぎさにも好感が持てます。 真性サイコパスな藻屑の父や浮世離れしたなぎさの兄、ドMに目覚めた同級生や担任など、脇を固める男性陣のどうしようもなさも味わい深いです。
設定・世界観の説明
編集部
地方都市の閉塞感や思春期特有の狂気を秘めた危うさがセンシティブに表現されており、刺さる人には刺さります。漫画でたとえるなら『少年のアビス』『愛と呪い』『血の轍』が好きな人はハマると思いました。 共依存・逃避行・殺伐百合のキーワードにぴんと来た人にもおすすめ。
話題性の説明
編集部
桜庭一樹の最高傑作に挙げる人も多く、今なお色褪せない人気を誇っています。2006年度『このライトノベルがすごい!』の作品部門では堂々の3位に輝きました。杉基イクラ作画のコミカライズも非常に完成度が高いです。 のちに角川文庫版も刊行されました。
初心者向けの説明
編集部
良い意味でも悪い意味でもあんまりラノベらしくはありません。どちらかといえばラノベと一般文芸のボーダーに位置する作品で、森絵都『カラフル』の系譜に連なります。 文章はやや心情多めでくどめながら、語り手が年相応に平易な言葉遣いをしているので、難しい表記が出てこないのが長所。 中学高校の図書室に並んでても違和感はありません。
読後感のよさの説明
編集部
藻屑が実の父親に解体されて終わるバッドエンドなので、お世辞にも読後感が良いとは言えません。その結末は冒頭でわかる為最初から覚悟は出来ているものの、親友を救えなかったなぎさの独白や担任の慟哭をいざ目の当たりにすると虚無感が凄いです。 後味の悪さを評価する鬱ラノベ好きは読んで損ありません。
テンポの良さの説明
編集部
一巻でコンパクトに纏まっており中だるみも感じません。冒頭の藻屑登場からウサギ殺しを経て、周囲から孤立した二人が急接近していく様子が描かれ、気付けばのめりこんでしまいました。
読みやすさの説明
編集部
難しい漢字や言い回しは殆ど出てきません。小学校高学年や中学生でも読みやすいです。なぎさの語り口はサクサクとテンポよく、シニカルなユーモアとニヒリズムに満ちています。 登場人物も少なめなので頭が混乱せず、最後までじっくり読み進めることができました。
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