乙一による短編集で、現代の家庭や街角を舞台にした複数の物語を一冊に収めている。中心になるのは、大金持ちのひとり娘ナオがママハハとの大喧嘩をきっかけに家出し、隣の建物を失踪先に選ぶ話で、家族の騒ぎをこっそり見守る視点が重なる。ほかに、うまく生きられない「僕」とやさしい幽霊を描く話、「しあわせは子猫のかたち」も収録され、居場所を探す気持ちや日常に差し込む小さな超常の気配が並ぶ。長い本筋を追うより、人物の事情が立ち上がる短い話を順に読む構成で、家族、孤独、家出、幽霊、子猫といった要素がまとまっている。舞台は現代の住宅や近所の建物が中心で、話ごとに視点と題材が切り替わる。
構造レビュー
作品Q&A
読者の声
読者レビューをもとに AI が要約した内容です。
作品の魅力
- 幽霊や家出を扱いながら、怖さより切なさと温かさが前に出る。
- どんでん返しや真相の見せ方が巧く、読み終わって見え方が変わる。
- 軽快なやりとりや小ネタが入り、重すぎずテンポよく読める。
- こたつや三畳一間など、情景の手触りが印象に残る。
- 表題作と収録作で雰囲気が違い、好みが分かれても楽しみどころがある。
こんな人におすすめ
- 乙一の白い作風が好きで、切なさとやさしさのある話を読みたい人。
- ひねりのある短めの物語や、最後に印象が反転する作品が好きな人。
- ライトな読み口で、読後感のよい本を探している人。
- 中学生くらいの主人公の感情や未熟さを物語として受け止められる人。
- 初期乙一の雰囲気をまとめて味わいたい人。
人を選ぶポイント
- 表題作は計画の粗さや展開の無理を気にすると入り込みにくい。
- 収録作の好みが分かれやすく、片方は冗長に感じる人もいる。
- しっとりした余韻を期待すると、コメディ寄りの空気に戸惑う場合がある。
- すっきりした論理性より、勢いと仕掛けを楽しむ読み方が合う。
- 既読収録作があると、再読感が強くなる。
テンポ・読後感
- 全体はテンポがよく、会話の軽さで読み進めやすい。
- 前半はコメディ寄り、後半で仕掛けが効いて印象が変わる。
- 切なさの中にほのぼのした温度があり、読後感はやわらかい。
- 終盤に向けてハラハラ感が増し、最後は意外性で着地する。
- こたつで読みたくなるような、冬っぽいぬくもりのある空気感。
キャラクターへの評価
- ナオは生意気で幼さもあるが、寂しさや不器用さが見えて憎めない。
- クニコは地味に見えて、実は一枚上手な存在として印象に残る。
- 主要人物のやりとりが軽妙で、関係性の変化が読みどころになる。
- 大人たちはしたたかで、子ども側の思惑を簡単には通さない。
- 主人公の未熟さが物語の推進力になり、危うさと愛嬌を両立している。
巻一覧
失踪HOLIDAY
この巻のあらすじ
大金持ちのひとり娘ナオはママハハとの大喧嘩のすえ、衝動的に家出!その失踪先は……となりの建物!! こっそりと家族の大騒ぎを監視していたナオだったが、事態は思わぬ方向に転がって…!? 心からやすらげる場所を求める果敢で無敵な女の子の物語。その他うまく生きられない「僕」とやさしい幽霊の切ない一瞬、「しあわせは子猫のかたち」を収録。きみが抱える痛みに、そっと触れます。
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