『きみにしか聞こえない CALLING YOU』は、現代社会の学校や家庭を背景に、ひとりでいる少女や、言葉を届けられない少年たちの感情を切り取る短編集。表題作では、携帯電話を持たない少女が、ある日突然、遠くの誰かから届く声に触れる。収録作はいずれも一話ごとに人物と状況を切り替え、孤立、接点の発生、気持ちの行き違いといった要素を、日常の延長にある出来事として描く。長い物語を追う形式ではなく、各話の中で関係の輪郭を示す作りで、現代の生活感と非日常的な通信が同居する。

構造レビュー

編集部判定 名作

ストーリーの良さ SS (5) レビュー

理由・補足

編集部

白乙一の傑作短編集。ひとりぼっちの少女が空想の携帯を介して遠く離れた男の子と繋がる『Calling You』、他人の傷を自身に移す能力を秘めた少年が主人公の『傷 -KIZ/KIDS-』、病院の庭に咲いた人面花の観察記録『華詩』。3編とも感涙必至、極上のヒューマンドラマに仕上がっています。

キャラクター SS (5) レビュー

理由・補足

編集部

人間の善良さと矮小さ、どちらもよく描けています。特にショッキングなのは『傷 -KIZ/KIDS-』のシホの裏切り。突然失踪した理由が痛いほどわかるだけに、タケオの怒りとアサトの絶望がやるせなかったです。

設定・世界観 A (3) レビュー

理由・補足

編集部

脳内の携帯を介し他者と念話したり病院の敷地に咲いた人面花に心癒されたり、陰鬱な日常に突如降って湧いた奇跡が登場人物の心身に及ぼす影響が生き生き語られ、ファンタジックな設定なのに大変共感してしまいました。

話題性 A (3) レビュー

理由・補足

編集部

白乙一の短編集の中では最高傑作と言えます。

初心者向け S (4) レビュー

理由・補足

編集部

泣けるラノベの代表格。1編の長さもちょど良く、活字に慣れてない人にもおすすめしやすいです。初版の発行は2014年ですが、収録作が何度も映画化されるなど話題を呼んだので、入手は簡単だと思います。

読後感の良さ A (3) レビュー

理由・補足

編集部

登場人物が体験した辛い出来事を考えると読後感の切なさが際立ちます。一方で大事な人の裏切りや喪失から立ち直り、歩き出す強さが勇気を与えてくれました。

テンポの良さ S (4) レビュー

理由・補足

編集部

テンポはとても良いです。文章もナチュラルでサクサク読めます。

読みやすさ S (4) レビュー

理由・補足

編集部

文章は熟練の域に達しています。

短評・キャッチコピー

この項目をレビュー

編集部

ある日突然頭の中の携帯が鳴って……。傷付いた人々が出会った、小さな奇跡の物語。

編集部

乙一が2001年に角川スニーカー文庫から刊行した短編集。『Calling You』『傷 -KIZ/KIDS-』『華歌』の3編が収録されています。

こんな人におすすめ

この項目をレビュー

編集部

涙腺崩壊したい人 とにかく感動したい人 泣ける短編が読みたい人 白乙一のラノベが好きな人 健気な子供の姿に心を浄化されたい人 ひとりぼっちの人 親子愛や家族愛に弱い人

  • AI分析(あらすじ)

    現代を舞台にした短編や、孤独と通信を軸にした物語を探している人。

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メディアミックス状況

この項目をレビュー

編集部

『Calling You』は2003年にドラマCD化された他、2007年6月に『きみにしか聞こえない』のタイトルで実写映画化。『傷 -KIZ/KIDS-』は2008年に『KIDS』のタイトルで実写映画化されました。 2007年には清原紘作画のコミカライズが月刊少年エースから出版されています。

編集部

【おすすめキャラクター】 アサト 他人の傷や痣を自分の体に移動させる能力を持った心優しい少年。とても可愛らしい顔立ちをしています。彼の純心が裏切りで報いられる展開は辛かったです。

編集部

白乙一の最高傑作。『華詩』が一番感動しました。非日常的なギミックを登場人物の成長や魂の再生に繋げる構成に秀で、読後は泣きすぎて頭が痛くなります。

作品Q&A

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読者の声

読者レビューをもとに AI が要約した内容です。

作品の魅力

  • 3編それぞれに、現実離れした発想から始まる独創的な仕掛けがある。
  • 切なさ、孤独、やさしさが同居する空気感が強い。
  • 物語の構成や見せ方にひねりがあり、読み進めるほど印象が変わる。
  • 短編集としてまとまりがよく、1話ごとの余韻が残る。
  • 乙一作品らしい不思議さと温度差のある読後感が味わえる。

こんな人におすすめ

  • 不思議な設定の短編をテンポよく読みたい人。
  • 切ない話や胸が締めつけられる展開が好きな人。
  • ひねりのある構成や読後に考えさせられる作品を求める人。
  • 孤独や不器用さを抱えた人物像に惹かれる人。
  • 乙一作品の雰囲気を初めて試したい人。

人を選ぶポイント

  • 明るく軽快な読後感だけを期待すると、重さや痛みが気になる。
  • 設定の独特さが強く、最初は意味がつかみにくい話がある。
  • 3編のうち好みが分かれやすく、特定の1話に強く惹かれる人もいる。
  • 収録作の一部は別作品集と重なるため、既読感が出る場合がある。

テンポ・読後感

  • 短編3本で読みやすく、導入は軽やか。
  • すぐに独自の世界へ引き込む立ち上がりが速い。
  • 物語は全体に静かで、じわじわ切なさが積み重なる。
  • 余韻は重すぎず、ほのかな温かさが残る。
  • 作品ごとに不思議さ、痛み、やさしさの比重が少しずつ違う。

キャラクターへの評価

  • 不器用で社会に馴染みにくい人物たちの孤独が印象に残る。
  • 傷つきやすく、壊れそうな繊細さを持つキャラクターが多い。
  • 誰かを守ろうとするやさしさや自己犠牲が強く響く。
  • 子どもや少女など、弱さと純粋さを抱えた存在が物語の核になる。
  • 登場人物の感情が静かに伝わり、切なさを強めている。

巻一覧

きみにしか聞こえない CALLING YOU
2001年6月 ISBN 4044253021
この巻のあらすじ

私にはケイタイがない。友達が、いないから。でも本当は憧れてる。いつも友達とつながっている、幸福なクラスメイトたちに。「私はひとりぼっちなんだ」と確信する冬の日、とりとめなく空想をめぐらせていた、その時。美しい音が私の心に流れだした。それは世界のどこかで、私と同じさみしさを抱える少年からのSOSだった…。(「Calling You」)誰にもある一瞬の切実な想いを鮮やかに切りとる“切なさの達人”乙一。表題作のほか、2編を収録した短編集。

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