乙一による短編4篇を収めた単巻作品。小学生のころに将来を予言された少年、旅館の壁に穴を開けた男など、現代日本の学校や町、宿泊先を舞台に、日常へ少しずれた出来事が入り込む。中心になるのは、相手を意識し続ける少年や、思わぬ接触から動き出す人物たちで、各話ごとに孤独、気まずさ、執着の現れ方が変わる。『未来予報』では予言がその後の意識の向き方を左右し、『手を握る泥棒の物語』では盗みの目的が思わぬ接触によって変質する。舞台は学校、街、旅館といった身近な場所で、制度や大きな歴史背景よりも、人物の視線や距離感が前面に出る。物語は1冊の中で完結し、巻をまたぐ流れはない。
構造レビュー
作品Q&A
読者の声
読者レビューをもとに AI が要約した内容です。
作品の魅力
- 4編それぞれに、切なさ・怖さ・可笑しさが混ざる短編集として読まれている。
- 「未来予報」は、ありえたかもしれない未来を想像させる青春寄りの切なさが強い。
- 「手を握る泥棒の物語」は、軽妙な入りからのひねりや痛快さが印象に残りやすい。
- 「フィルムの中の少女」は、一人称の語りとオカルト/ホラー/ミステリ感が好評。
- 「失はれた物語」は、重く苦しいのに美しさもある作品として強く記憶されている。
こんな人におすすめ
- 乙一の初期作品らしい、仄暗さとやさしさの両方を味わいたい人。
- 切ない短編、余韻の残る読後感が好きな人。
- ホラー一辺倒ではなく、青春・ミステリ・不穏さが混ざる話を読みたい人。
- 再読で味わいが増すタイプの短編集を探している人。
- 200ページ前後で濃い読書体験をしたい人。
人を選ぶポイント
- 明るく救いのある話を期待すると、全体の湿度の高さが重く感じやすい。
- 「失はれた物語」は特に心に残る苦さが強く、気分によってはしんどい。
- 収録作の一部は別作品集と重複しており、既読感が出やすい。
- タイトルや収録作名の表記ゆれが気になりやすい。
- 強い恐怖よりも、静かな不穏さややり切れなさが中心。
テンポ・読後感
- 短編ごとに空気が変わり、軽やかさと重さの振れ幅がある。
- 全体はテンポよく読めるが、読後感はじわっと沈。
- 200ページ台でも内容は濃く、掌編感より密度の高さが印象に残る。
- ぞわっとする不穏さ、胸を締めつける切なさ、少しのユーモアが同居する。
- 何度読んでも新鮮さがある、再読向きの余韻系。
キャラクターへの評価
- 登場人物は不器用で、距離感が近いのにすれ違いが残る。
- 少年少女の関係は、恋と呼ぶには曖昧でも強く印象に残る。
- さりげない仕草や感触から気持ちが伝わる描写が刺さりやすい。
- どの話も人の寂しさや後悔がにじみ、人物像に温度がある。
- 作者自身のあとがきまで含めて、親しみや人間味を感じる読者が多い。
巻一覧
さみしさの周波数
この巻のあらすじ
短編の名手・乙一の傑作集! 「お前ら、いつか結婚するぜ」そんな未来を予言されたのは小学生のころ。それきり僕は彼女と眼を合わせることができなくなった。しかし、やりたいことが見つからず、高校を出ても迷走するばかりの僕にとって、彼女を思う時間だけが灯火になった…“未来予報”。ちょっとした金を盗むため、旅館の壁に穴を開けて手を入れた男は、とんでもないものを掴んでしまう“手を握る泥棒の物語”。他2篇を収録。
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