ジャンル
『いたいのいたいの、とんでゆけ』は、死の瞬間を十日先送りできる少女と、彼女を殺したはずの二十二歳の青年を中心に進む現代の物語。舞台は日常圏だが、例外的な猶予が前提に置かれ、青年は殺人の当事者として、少女はその十日間を使う復讐者として動く。二人は行動を重ねながら、出会いの裏にある記憶の断片、日々のやり取り、あの日の別れに結びつく事情へ近づいていく。復讐の進行と過去の照合が並走し、関係の起点をたどる構成になっている。復讐の対象は一人ではなく、少女の人生を壊した相手たちへ向けられており、青年はその流れに巻き込まれながら真相へ近づく。猶予の十日間が行動期限として機能し、限られた時間の中で、過去の認識と現在の行動が少しずつ噛み合っていく。
構造レビュー
作品Q&A
読者の声
読者レビューをもとに AI が要約した内容です。
作品の魅力
- どうしようもない状況にいる二人が、復讐と会話を通して少しずつ距離を縮めていく構図が強い。
- 〈先送り〉という設定が物語の推進力になっていて、SF的な仕掛けとしても印象に残る。
- 伏線の張り方と回収が巧みで、読み返すと細部の意味が見えてくる作り。
- 絶望や痛みの中に、かすかな救いと愛情を差し込む描写が刺さる。
- あとがきまで含めて作品全体の余韻が深く、読後に印象が残りやすい。
こんな人におすすめ
- 重めのテーマや陰鬱な物語を受け止められる人。
- 復讐劇よりも、その先にある救済や関係性の変化を読みたい人。
- 伏線回収や構成のうまさを楽しみたい人。
- 痛みのある純愛、切ないラブストーリーが好きな人。
- 三秋縋作品の空気感や思想のにじむ文章が合う人。
人を選ぶポイント
- いじめ、虐待、暴力、殺人、グロテスクな描写がかなり多い。
- 中盤は暴力表現が続き、読むのがつらくなる場面がある。
- 明るく軽い読後感を求めると、重さのほうが先に来る。
- 作品の空気が殺伐としていて、気分が沈みやすい。
- 能力設定の扱いに強いファンタジー感があり、そこが好みを分ける。
テンポ・読後感
- 序盤は虚無感と諦めが強く、静かに重い立ち上がり。
- 中盤から復讐と過去の掘り下げで一気に緊張感が増す。
- 暴力と痛みの描写が続き、読感はかなりハード。
- 後半は伏線回収で収束していき、切なさと余韻が残る。
- 全体として陰鬱だが、終盤にかすかな温度が差し込。
キャラクターへの評価
- 主人公は投げやりで空虚だが、相手と関わる中で少しずつ変化していく。
- 少女は強い意志と危うさを併せ持ち、復讐の推進力になっている。
- 二人のやり取りは不器用で、痛みを抱えたまま寄り添う感じがある。
- 周囲の人物との距離感や会話に独特の味があり、印象に残る。
- 互いの傷や孤独が見えてくるほど、関係の切なさが増していく。
巻一覧
いたいのいたいのとんでゆけ
この巻のあらすじ
「私、死んじゃいました。どうしてくれるんですか?」 何もかもに見捨てられて一人きりになった二十二歳の秋、僕は殺人犯になってしまったーーはずだった。 僕に殺された少女は、死の瞬間を“先送り”することによって十日間の猶予を得た。彼女はその貴重な十日間を、自分の人生を台無しにした連中への復讐に捧げる決意をする。 「当然あなたにも手伝ってもらいますよ、人殺しさん」 復讐を重ねていく中で、僕たちは知らず知らずのうちに、二人の出会いの裏に隠された真実に近付いていく。それは哀しくも温かい日々の記憶。そしてあの日の「さよなら」。
星評価・感想
構造レビューと同じ星評価・感想欄に保存されます。平均・中央値は上の「構造レビュー」欄に表示されます。 構造レビューを書く
感想を投稿するにはログインしてください。
まだ感想はありません。
