本作は、秋田書店と誠文堂新光社のAPeS Novels第2弾として刊行された、『週刊少年チャンピオン』発の漫画『エコエコアザラク』ノベライズである。70年代のオカルトブームの中で生まれた黒魔術譚を、岩井志麻子が小説として現代に読み替えた一冊で、黒魔術を操る少女・黒井ミサを中心に、呪文や悪霊の力が人の欲望や怨念と結びつく物語が展開する。ミサは災いの象徴であり、復讐の媒介としても現れ、彼女に関わる人々の行動や心理が迷宮のように絡み合っていく。物語は出来事の列挙よりも、黒井ミサが現れることで周囲の空気が変わっていく過程に比重が置かれ、呪術の神秘性と人間の感情のねじれが重ねられる。原作の不穏な空気を受け継ぎつつ、情念を軸に人物像を掘り下げた一冊。
構造レビュー
こんな人におすすめ
-
AI分析(あらすじ)
黒魔術やオカルト、伝奇ホラー、漫画原作ノベライズに関心がある人。黒井ミサを中心にした物語を追いたい人。
読者の声
読者レビューをもとに AI が要約した内容です。
作品の魅力
- 黒井ミサの存在感を残しつつ、前面に出しすぎない構成が新鮮。
- 人間の業や思い込み、現実認識のズレをじわじわ怖く描く。
- 実際の事件や現代的な不穏さを下敷きにした話運びが印象に残る。
- 岩井志麻子らしい湿度の高い文体と、昭和的な怪しさが合う。
- 短編ごとに「人間の怖さ」が立ち上がる読み味が強い。
こんな人におすすめ
- 原作漫画の空気感を別角度で味わいたい人。
- 岩井志麻子の人間の闇や業の描写が好きな人。
- 直接的な魔術ホラーより、心理の不穏さを楽しみたい人。
- 懐かしさと現代性が混ざった怪奇譚を読みたい人。
- 黒井ミサを“主役”より“観察者”として受け止められる人。
人を選ぶポイント
- 原作の黒井ミサ像を強く期待すると、出番の少なさに物足りなさが出る。
- 漫画版の雰囲気をそのまま求めると、別作品感がある。
- 魔術や怪奇の派手さは控えめで、心理劇寄り。
- 文体の勢いが合わないと、読みにくさを感じやすい。
- 事件モチーフの生々しさが、軽い気分では受け止めにくい。
テンポ・読後感
- 4編を通して、じわじわ不穏さが積み上がる。
- 速い展開より、湿った空気と違和感で引っ張る。
- 読後に残るのは派手な恐怖より、後味の悪さと現実感。
- 悪夢を外から眺めるような、少し距離のある感触。
- 一気読みしやすいが、気分はかなり消耗しやすい。
キャラクターへの評価
- 黒井ミサは魔女としての怖さより、場を見つめる存在感が強い。
- 登場人物は小物感や自己認識の歪みが目立ち、そこが怖さにつながる。
- 男女の腐れ縁や依存、承認欲求のねじれが人物像ににじ。
- 母親像や家庭内の圧が強く、身近な人間関係が不穏。
- 善悪で割り切れない、どうしようもない人間たちが印象に残る。
巻一覧
この巻のあらすじ
株式会社秋田書店と株式会社誠文堂新光社による新たな文芸エンタテインメントを生み出す新レーベル【APeS Novels】の第二弾!! 『ブラック・ジャック』『恐怖新聞』に続き、本年7月に創刊50周年を迎える大人気コミック誌『週刊少年チャンピオン』の、輝かしい歴史を彩った名作コミック『エコエコアザラク』のノベライズです!!
「エコエコアザラク、エコエコザメラク……」どこからともなく聞こえてくる妖しい呪文と共に黒井ミサが帰って来た!! 70年代のオカルトブームの中でも、「黒魔術」を操る美少女主人公が異彩を放ったホラーコミック『エコエコアザラク』が、自身も作品の大ファンだったと語る岩井志麻子氏により小説として現代に蘇ります!!
あるときは災いの象徴として、またあるときは自分に害を為した者への復讐劇として描かれることの多かった黒井ミサとその物語。 悪霊の力を借りて執行される呪術という神秘的なイメージと相まって、昏い魅力に溢れた『エコエコアザラク』のイメージはそのままに、情念を描いた作品で人気を集める岩井氏の筆によって、人々を惑わせる「運命の女」黒井ミサへと昇華され、あたかも幻想文学をも想起させる作品となっています。 黒井ミサの存在に翻弄され、愚かな者たちがさまよい続ける出口のない迷宮へ、あなたも足を踏み入れて見ませんか……?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ●第一話 逃げる女 「私はいつでも逃げている女なの」--平凡な街の平凡な家庭に生まれ、なんの才覚にも恵まれず、唯一の取り柄である容姿も十人並みをちょっと上回る程度。高校受験の失敗からお決まりの転落を辿った女・有里が目を背け続けてきた真実とは……。
●第二話 さまよう夫婦 有名画家の息子と美人女優の娘。親からの才能を受け継げなかった残念な二人が運命のような出会いを果たす。二人の子供時代に共通する謎の女性「黒井さん」「ミサちゃん」の記憶が、互いの結びつきをより強固なものにしていく。そして…。
●第三話 居すわる母 留利子の高校時代からの恋人・俊博には、二人の母がいる。一人は生みの母、そしてもう一人は、俊博の家庭を壊した「父親の愛人」。父が亡くなったいまでもその女を「義母」と呼び続ける俊博の気持ちがわからず、今日も留利子は行きつけの喫茶店で、ウェイトレスの少女に愚痴をこぼす。
●第四話 追いかけてくる愛人 裕福な家に生まれ容姿にも恵まれ、周囲にはちやほやされて育った須美香だったが、その過去にはひとつの暗い影があった。失踪とも誘拐ともつかぬままいなくなった母。最後の電話で母の口から語られた「黒井ミサ」の名前が、それからずっと須美香の心を縛りつけている。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
星評価・感想
構造レビューと同じ星評価・感想欄に保存されます。平均・中央値は上の「構造レビュー」欄に表示されます。
感想を投稿するにはログインしてください。
まだ感想はありません。
