高校生の明海と神野、そして少女チャチャを軸に、殺した/殺されたという記憶と秘密が交差する物語です。舞台は現代の高校と京都の街で、日常の延長に連続殺人や伝奇的な要素が入り込みます。中心人物は、過去の記憶を抱える少年少女たちで、彼らの関係は恋愛感情と罪悪感、追跡と逃避のあいだで揺れます。シリーズ全体では、ひと夏の記憶や失踪した人物の行方、家族や同級生との関係を手がかりに、複数の視点から秘密と事件の輪郭をたどっていきます。2冊とも独立した物語として読める構成です。続編や外伝の情報はありません。

構造レビュー

編集部判定 良作

ストーリーの良さ A (3) レビュー

理由・補足

編集部

ませた小学生の目を通し炙り出されるスクールカーストの実態、異分子への抑え切れぬ苛立ちが上手く描かれていました。のちにGLを量産する作者のデビュー作であり、明海と実折の関係に百合の匂いを嗅ぎ取る読者は多いはず。 明海は意地悪で嫌な奴なものの、そんな自己中女が不覚にも実折にハマってしまい、アンバランスな友情を育む過程には説得力がありました。

キャラクター A (3) レビュー

理由・補足

編集部

殺される為だけに存在するイケニエビトとイケニエビトを食べて生き永らえるタマシイビト、人外の価値観を持ち善悪の定義からはみ出た両者の対立が肝。とはいえイケニエビトやタマシイビトの発生経緯を深堀りしないことで伝奇ファンタジーに寄りすぎる危険を避け、ボーイミーツガールないしガールミーツガール主題の、ほろ苦い青春ものに仕上げていました。

設定・世界観 A (3) レビュー

理由・補足

編集部

原則我々が住む現代日本と同じ。登場人物は当たり前に携帯やパソコンを操作しています。相違点はイケニエビトとタマシイビトが存在すること位で、ハードルの高さは感じませんでした。

話題性 C (1) レビュー

理由・補足

編集部

森田季節のデビュー作ですが題材が地味だったせいか、殆ど話題になりませんでした。

初心者向け B (2) レビュー

理由・補足

編集部

良くも悪くもキャッチャーな題材ではないので、従来のラノベファンの興味は引きません。ヤングアダルトやジュブナイルが好きな読者ならハマります。

読後感の良さ A (3) レビュー

理由・補足

編集部

モラトリアム真っ只中の少年少女の青春ストーリーとして読めばほろ苦さもまた格別。ハッピーエンドともバッドエンドも言い難い着地がもたらす、ほんの少し寂しい余韻も印象的でした。

テンポの良さ A (3) レビュー

理由・補足

編集部

神野や明海の一人称語りが主でテンポは良いです。

読みやすさ A (3) レビュー

理由・補足

編集部

可もなく不可もなく。波長が合えば通して読めます。

短評・キャッチコピー

この項目をレビュー

編集部

イケニエビトとタマシイビトのロンド。

編集部

不老不死のイケニエビトとイケニエビトを食べるタマシイビト。古くからこの世に存在し続ける彼等の攻防に巻き込まれた、少年少女の数奇な運命が本作のテーマ。良い意味でラノベらしからぬシニカルなトーンの話で、明海と実折の歪な友情に魅せられました。

こんな人におすすめ

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編集部

ガールミーツガールな青春ストーリーが好きな人 ボーイミーツガールな青春ストーリーが好きな人 不老不死の薄幸ヒロインに人生を滅茶苦茶にされたい人 スクールカーストを窮屈に感じている人 いじめられっ子に恋するいじめっ子が見たい人 音楽に関心がある人 女子高生がギターを構える表紙にビビッときた人

  • AI分析(あらすじ)

    - 現代学園の伝奇サスペンスを読みたい人 - 秘密や失踪を軸にした物語に関心がある人 - 少年少女の関係性が事件と結びつく作品を探している人

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編集部

森田季節は本作でMF文庫Jからデビューしたラノベ作家。代表作『スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました』は2021年春にアニメ化されました。現在は百合ラノベを量産しています。小説家になろうなどでも活動中。 『ベネズエラ・ビター・マイ・スウィート』の続編『プリンセス・ビター・マイ・スウィート 』も刊行済み。著作は以下。 * 原点回帰ウォーカーズ(2009年1月 - 5月 MF文庫J 全2巻)- イラスト:深崎暮人 * 不堕落なルイシュ(2010年6月 - 10月 MF文庫J 全2巻)- イラスト:伊東ライフ * お前のご奉仕はその程度か?(2011年7月 - 2013年10月 GA文庫 全7巻)- イラスト:尾崎弘宜 * 神聖魔法は漆黒の漆原さん(2012年1月 - 5月 MF文庫J 全2巻)- イラスト:Mitha * デキる神になりますん(2012年3月 - 6月 ファミ通文庫 全2巻)- イラスト:nauribon * 魔女の絶対道徳(2012年11月 - 2013年3月 ファミ通文庫 全2巻)- イラスト:NOCO * つきたま(2012年12月 - 2013年9月 ガガガ文庫 全3巻)- イラスト:osa * クラスメイト・コレクション(2013年5月 - 7月 GA文庫 全2巻)- イラスト:赤人 * 烈風の魔札使と召喚戦争(2013年8月 - 2014年7月 オーバーラップ文庫 全4巻)- イラスト:クロサワテツ * 不敗無敵の影殺師(2014年3月 - 2016年6月 ガガガ文庫 全7巻)- イラスト:にぃと * アルケニストの終焉創造術(2014年4月 - 2015年8月 GA文庫 全5巻)- イラスト:遥華ナツキ * セントレイン戦記 七戦姫と禁忌の魔剣士(2014年11月 - 2015年1月 オーバーラップ文庫 全2巻)- イラスト:nauribon * 封神演戯(2015年5月 - 2016年1月 ダッシュエックス文庫 全3巻)- イラスト:むつみまさと * 伊達エルフ政宗(2016年4月 - 2017年8月 GA文庫 全4巻)- イラスト:光姫満太郎 * チートな飼い猫のおかげで楽々レベルアップ。さらに獣人にして、いちゃらぶします。(2016年11月 - 2017年5月 GAノベル 全2巻)- イラスト:ファルまろ * スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました(2017年1月 - GAノベル 既刊27巻+外伝1巻)- イラスト:紅緒 * 物理的に孤立している俺の高校生活(2017年2月 - 2020年12月、ガガガ文庫 全9巻)- イラスト:Mika Pikazo * 若者の黒魔法離れが深刻ですが、就職してみたら待遇いいし、社長も使い魔もかわいくて最高です!(2017年6月 - ダッシュエックス文庫 既刊6巻)- イラスト:47AgDragon * 織田信長という謎の職業が魔法剣士よりチートだったので、王国を作ることにしました(2017年7月 - 2018年3月 GAノベル 全3巻)- イラスト:紫乃櫂人 * 魔王です。女勇者の母親と再婚したので、女勇者が義理の娘になりました。(2018年9月 - ガガガブックス 既刊4巻)- イラスト:すし* * きれいな黒髪の高階さん(無職)と付き合うことになった(2018年11月 - 2019年3月 GA文庫 全2巻)- イラスト:紅林のえ * 桜木メルトの恋禁術(2009年9月 MF文庫J)- イラスト:nino * ともだち同盟(2010年6月 角川書店)- イラスト:シライシユウコ * 不動カリンは一切動ぜず(2010年9月 ハヤカワ文庫JA)- イラスト:吉田ヨシツギ * エトランゼのすべて(2011年10月 星海社FICTIONS)- イラスト:庭 * 落涙戦争(2012年3月 講談社)- イラスト:深山フギン * ノートより安い恋(2012年4月 Yuri-Hime Novel)- イラスト:小山鹿梨子 * 小説 いまいち萌えない娘(2012年10月 神戸新聞総合出版センター)- イラスト:朝霧ひろ * ウタカイ(2013年2月 Yuri-Hime Novel/2019年6月 ハヤカワ文庫JA)- イラスト:えいひ * どうせ私は狐の子(2013年2月 TOブックス)- イラスト:藤ちょこ * ストレンジガールは甘い手のひらの上で踊る(2015年2月 MF文庫J)- イラスト:文倉十 * てらめぐりぶ?(2016年4月 ホワイトブックス)- イラスト:風華チルヲ * 異世界作家生活 女騎士さんと始めるものかきスローライフ(2016年5月 ダッシュエックス文庫)- イラスト:こうましろ * 赤ペン精霊の神剣ゼミでクラス最強の魔法剣士になれました(2017年1月 レッドライジングブックス)- イラスト:ぽに~ * 異世界お好み焼きチェーン 大阪のオバチャン、美少女剣士に転生して、お好み焼き布教!(2017年6月 アース・スター ノベル)- イラスト:シソ * 女賢者の明智光秀だが、女勇者の信長がパーティーにいて気まずい(2019年10月 LINE文庫エッジ)- イラスト:yaman** * 昨日、助けていただいた魔導書です(2020年3月 ダッシュエックス文庫)- イラスト:華若葉 * 異世界エルフと京大生(2024年7月 星海社FICTIONS)- イラスト:久賀フーナ * 錬金術師のゆるふわ離島開拓記(2024年12月 GA文庫)- イラスト:松うに

イラストレーター情報

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編集部

文倉十は人気イラストレーター。代表作はアニメ化もされた『狼と香辛料』。カミツキレイニー『こうして彼は屋上を燃やすことにした』(ガガガ文庫)渡辺恒彦『理想のヒモ生活』(ヒーロー文庫)の表紙・挿絵も手掛けています。

編集部

第4回MF文庫Jライトノベル新人賞優秀賞を受賞。

編集部

少々風変わりな青春ストーリー。神野と明海は実折と出会ったことがきっかけで世界の裏側を覗き、はては実折を中心にした三角関係に陥ります。共に初恋の人を忘れられぬ少年少女が、互いの認識を擦り合わせるように実折の思い出を打ち明けるシーンは、突然消えた元カノへの未練が薄っすら垣間見え、不思議な連帯感が漂っていました。

作品Q&A

合わない人・注意点は? ストーリー
ベストアンサー
明海がスクールカースト上位者として実折に陰湿ないじめを行っていたエピソードが出てきます。いじめっ子といじめられっ子が友達になる展開が嫌いな人は注意。

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評価されるポイントは? ストーリー
ベストアンサー
【おすすめキャラクター】 '''実折''' 明海の小学校のクラスにいた謎の少女。同調圧力に屈さずマイペースを貫きます。その正体はタマシイビトに食べられる為だけに存在するイケニエビトで、何度も殺されては生き返ってきました。歌が上手。

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読者の声

読者レビューをもとに AI が要約した内容です。

作品の魅力

  • 「イケニエビト」「タマシイビト」を軸にした、都市伝説と記憶をめぐる不思議な世界観に惹きつけられる。
  • 表題どおりほろ苦く甘酸っぱい恋愛要素が強く、前作より読みやすくエンタメとして受け入れやすい印象だ。
  • 重いテーマを軽快な文体でさらっと運び、読後に清清しい余韻が残る。
  • 音楽・歌が存在や想いと結びつくmotifとして効いており、作中の「うた」を聴いてみたくなる。
  • 伏線の回収や締め方が巧みで、一冊として完成度が高いと感じた。

こんな人におすすめ

  • ガールミーツガール/ボーイミーツガール系の青春物が好きで、切なさのある恋を味わいたい人。
  • ホラー・幻想・ファンタジーが混ざった、ジャンル横断の「一言で言い表しにくい」物語を楽しめる人。
  • 前作『ベネズエラ・ビター』や森田季節作品の雰囲気・思想性に馴染みがある人。
  • 音楽要素に興味はあるが、軽音部の日常ものだけを期待しているわけではない人。
  • ラノベ枠の中で、文学的・実験的な書き方やクールな文体の魅力を求める人。

人を選ぶポイント

  • 表紙や帯から軽音・学園青春を想像しがちだが、実際はかなり重いテーマで、ライトに読める作品ではない。
  • 「イケニエビト/タマシイビト」の設定を押さえていないと置いていかれる、と感じる読者もいる。
  • いじめや加害と被害、存在の忘却など、精神的に重い題材が繰り返し描かれる。
  • 雰囲気重視ゆえ具体性や全体の纏まりに物足りなさを感じ、感情移入しにくい・遠さを覚える。
  • 前作との世界観共有や視点の違いで、初見では戸惑う、あるいは序盤がスローで入りにくいと感じる場合がある。

テンポ・読後感

  • 序盤は不思議さや情報の少なさから入りにくく、中盤以降に淡く切ない恋物語色が強まる、という読み味の報告が多い。
  • 全体として雰囲気・心象風景重視で、直球の娯楽性より「ザラザラ」「ヒリヒリ」した読後感を残す作品だ。
  • 泣かせるより、悲しさが沁みて涙を流すことすら忘れてしまうような、静かでビターなトーンだ。
  • 章ごとに視点が移るなど構成に起伏はあるが、安易なハッピーエンドではなく寂寥感とわずかな希望が同居する締め方だ。
  • 読みやすいとは言いにくいのに、不思議とページを進めてしまう引力がある。

キャラクターへの評価

  • チャャは可愛らしくエキセントリックで、明るさの裏に切なさを感じさせる存在として好意的に語られることが多い。
  • 実祈(実折)は何度も踏まれても強く生きようとする姿や、歌・存在のテーマと結びつく描写に共感・印象を残す声がある。
  • 明海はスクールカーストや過去の板挟み、恋の手前のもやもやなど、等身大の悩みが刺さると評される。
  • 前作キャラの再登場や掛け合いが、相互の悩みを絡めて「美味しい」脇役として機能している。
  • 登場人物名やモチーフに民俗・思想性がにじみ、キャラ単体より「規範の中で揺れる少年少女」として読まれる傾向も見られる。

巻一覧

ベネズエラ・ビター・マイ・スウィート
2008年9月 ISBN 9784840124225
この巻のあらすじ

「僕、女の子を殺したんだ」――始まりは、思いがけない人物からのそんな電話。どこか満たされない日々を送る高校生の明海は、孤高の歌姫に魅せられた同級生の少年・神野の信じがたいような昔話をいともあっさりと受け入れてしまう。なぜなら明海も小学生の頃、神野と同じく一人の少女を殺めたことがあるからだった――。よみがえるひと夏の記憶、殺されるためだけに存在する「イケニエビト」の少女、人の記憶を食らう「タマシイビト」からの逃避行。三人の少年少女によるビター・スウィート・ストーリー。

プリンセス・ビター・マイ・スウィート
2008年12月 ISBN 9784840124980
この巻のあらすじ

理由不明の家出を繰り返す美少女、チャチャはクラスメイトから「魔性の女」と呼ばれるいわくつきの高校生。そんなチャチャと小学生の頃から付き合いのある晴之は、ある日彼女のとんでもない秘密を知ってしまう。秘密を知られたチャチャは姿を消し、そのことでチャチャへの恋心を自覚した晴之は、風紀委員の神人と共にチャチャの捜索に向かうのだが――。京都の街で巻き起こる連続殺人事件を背景に、チャチャに惚れてしまった晴之、あわれなチャチャの弟、謎の存在であるチャチャの兄の三人が、可愛くて恐ろしい女の子にその身を捧げるおかしくもせつない物語。

星評価・感想

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