『百鬼夜行シリーズ』の一篇として、昭和29年の東京を舞台に、連続通り魔事件とその周辺で語られる言い伝えを追う物語。駒沢野球場周辺で起きた事件では、七人目の被害者となった片倉ハル子が、自分は斬り殺される定めだと述べていた。友人の呉美由紀から相談を受けた「稀譚月報」記者・中禅寺敦子が、被害者の発言、家に伝わる話、現場の事情を突き合わせながら、怪異と見える事件の筋道を探る。戦後の都市、犯罪報道、家の因縁が交差し、証言と噂を整理して事実関係をたどる構成が中心になる。シリーズ全体でも、こうした事件を通して人物のつながりと土地の空気を並行して扱う。
構造レビュー
作品Q&A
読者の声
読者レビューをもとに AI が要約した内容です。
作品の魅力
- 昭和中期の辻斬り事件を軸に、刀・因縁・鬼のつながりをほどいていく筋立てが印象に残る。
- 京極堂不在でも、敦子と美由紀の二人が真相へ迫る構図が新鮮で読みやすい。
- 会話中心で進むため、分厚さのわりにテンポよく読めると受け止められている。
- 刀の蘊蓄や研ぎ師の話、戦後の空気感など、細部の語りを楽しむ読み方が合う。
- 事件の謎解きだけでなく、女性の立場や人間関係のしがらみも見どころになっている。
こんな人におすすめ
- 百鬼夜行シリーズの本編を読んでいて、敦子や美由紀の活躍を見たい人。
- 京極夏彦作品の雰囲気を、比較的コンパクトな分量で味わいたい人。
- 論理で怪異や因縁をほどくミステリーが好きな人。
- 会話劇や人物同士の掛け合いを楽しみたい人。
- 刀、昭和史、戦後の空気感に興味がある人。
人を選ぶポイント
- 本編の主要人物が前面に出ないため、百鬼夜行らしい重厚さを期待すると軽めに感じる。
- 謎解きの核心は早めに見えやすく、意外性より語り口を楽しむ作品として受け止められやすい。
- 事件の説明や刀の話が続く場面は、展開が回り道に見えて眠くなる人もいる。
- 京極作品特有の蘊蓄や堂々巡りが合わないと、冗長に感じやすい。
- 既存シリーズの人物関係を知っているほど楽しみやすい。
テンポ・読後感
- 会話が多く、場面転換も比較的すっきりしていて読み進めやすい。
- 事件の周辺を聞き取りで詰めていくため、じわじわ真相へ近づく感触がある。
- 重苦しい題材でも、敦子と美由紀のやり取りで読み味が軽くなる。
- 物語全体は短編寄りの密度で、分量のわりに濃い印象を残す。
- 終盤に向けて因縁の輪郭がはっきりし、すっきりした着地に感じられる。
キャラクターへの評価
- 中禅寺敦子は理知的で頼もしさがあり、京極堂とは違う切り口の魅力がある。
- 呉美由紀は率直でまっすぐ、場を動かす言葉の強さが際立つ。
- 二人の役割分担がよく、バディものとして見やすい。
- 賀川刑事は常識人としての押さえ役になりつつ、人情味もあって好感を持たれている。
- 本編の主要人物が出ないぶん、敦子と美由紀の個性がよりはっきり印象に残る。
巻一覧
今昔百鬼拾遺 鬼
この巻のあらすじ
「先祖代代、片倉の女は殺される定めだとか。しかも斬り殺されるんだという話でした」 昭和29年3月、駒沢野球場周辺で発生した連続通り魔・「昭和の辻斬り事件」。七人目の被害者・片倉ハル子は自らの死を予見するような発言をしていた。ハル子の友人・呉美由紀から相談を受けた「稀譚月報」記者・中禅寺敦子は、怪異と見える事件に不審を覚え解明に乗り出す。百鬼夜行シリーズ最新作。
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