『ストレンジボイス』は、いじめで不登校になった少年・遼介が、卒業式にやって来るという予告を起点に進む現代学園サスペンス。舞台は卒業を目前にした学校で、加害者となった日々希、傍観してきた周囲、そしてその復讐を待つ語り手の位置関係が物語を動かす。中心には、いじめによって生じた断絶と、教室の中で保たれてきた沈黙があり、誰が何を知り、何を見ないまま過ごしてきたのかが焦点になる。心に傷を負った少年少女の関係が、卒業式当日へ向かう時間の中でどう揺れるかを追う構成で、学校という閉じた空間がそのまま緊張の場になっている。
構造レビュー
編集部判定 判定なし
短評・キャッチコピー
この項目をレビュー編集部
不登校になったいじめられっ子は卒業式当日に復讐を企んでいた。傍観者の「私」の心中は……。
編集部
いじめっ子の日々希といじめられっ子の遼介、そのどちらでもないが故に観察対象として二人を媒介する水葉。「普通」の枠組みから外れてしまった3人の異常性にフォーカスした青春ノワール。
こんな人におすすめ
この項目をレビュー編集部
・いじめっ子やいじめられっ子、あるいはいじめを傍観していた人 ・鬱々した小説を読みたい人 ・スクールカーストに敏感な人 ・人間観察が趣味な人 ・スッキリしない復讐ノワールが好きな人
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AI分析(あらすじ)
いじめや傍観の構図を軸にした学園サスペンスを読みたい人。
著者情報
この項目をレビュー編集部
江波光則は日本のラノベ作家。主にガガガ文庫で活動中。ラノベらしからぬハードボイルドな作風に定評あり。代表作は以下。 ・『魔術師スカンク』シリーズ ・『デスペラード ブルース』シリーズ ・『パニッシュメント』 ・『屈折する星屑』 ・『ボーパルバニー』 ・『ペイルライダー』 ・『我もまたアルカディアにあり』 ・『ソリッドステート・オーバーライド』
イラストレーター情報
この項目をレビュー編集部
李玖は日本のイラストレーター。ラノベのイラストを数多く手掛ける。アンニュイな美少女に定評あり。
編集部
人間関係アレルギーの水葉はいじめられっ子の遼介と関わり、ある思惑からいじめの主犯・日々希の情報提供を申し出る。 加害者と被害者の倒錯した共依存、彼等の媒介の役目を果たす少女の擬態の危うさを描いた小説。全体に重苦しい閉塞感や抑鬱的な諦観が漂っている。
作品Q&A
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読者の声
読者レビューをもとに AI が要約した内容です。
作品の魅力
- あらすじどおりの「復讐譚」ではなく、いじめっ子・いじめられっ子・傍観者の三者を俯瞰的に描く構成が評価されている。
- いじめを善悪の物語にせず、人間関係の歪みとして描く筆致に、純文学的な深みを感じた。
- 語り手の視点が信頼しがたく、読者の期待をずらす「ノイズ」的な読み心地が本作らしいと好評。
- 閉塞した学校社会や息苦しい日常が、江波光則らしい文章で強く伝わる。
- エンタメとしての爽快感は薄くても、読後に残る重さや再読したくなる引力がある。
こんな人におすすめ
- いじめを加害・被害・傍観のいずれかの立場から考えてみたい読者。
- 勧善懲悪やカタルシスより、人間観察や社会の歪みを味わいたい人。
- ライトノベル枠の中で、文学的・実験的な作品を探している人。
- うまくやれない、普通でいられない感覚に共感しやすい(あるいはそれを静かに観察したい)読者。
- 鬱々としたスクールノワールや、救いの薄い物語を好む人。
人を選ぶポイント
- 青春小説として心地よく楽しめる作品ではなく、読むと心がざわつく・息苦しくなる。
- 復讐譚を期待して感情移入すると肩透かしになりやすく、カタルシスはあまり得られない。
- 終わり方が曖昧で拍子抜け、虚無感が強いと感じる読者もいる。
- 登場人物が弱く歪んでおり、爽やかなヒーローや救済譚を求める人には合わない可能性がある。
- 内容は重く、学生向けの啓発物語というより、大人の視座で読むほうが合う。
テンポ・読後感
- 200ページ前後と短く、一度読み始めると引き込まれる。
- ただしテンポの軽快さより、閉塞感・不安定さ・苦さが前面に出る作品だ。
- 耳を塞ぎたくなるような「ノイズ」としての青春像が描かれており、読み心地は決して快適ではない。
- エンタメとしては物足りない一方、文学的な密度や江波節の読み味を楽しめる。
- 初読は驚き、再読で追い詰められ方や弱さの意味が深まる。
キャラクターへの評価
- 語り手の水葉は、傍観者でありながら他者の物語に介入する「信頼できない語り手」として印象深い。
- 遼介や日々希は、強者というより弱く歪んだ少年少女として描かれており、いじめ関係そのものの異常さが際立つ。
- 主要三人より、ディームス先生のような大人の造形や存在感が強く残る。
- 全員が弱く、大人の前では手玉に取られる構図が物語らしいと感じる。
- 歪な関係がそのまま続いていく終わり方が、ハッピーエンドでもバッドエンドでもないリアルさだ。
巻一覧
この巻のあらすじ
日々希(ひびき)に虐められすぎて不登校になった遼介が、卒業式にやって来るらしい。日々希に、そしてずっと見て見ぬふりをしていた私たちに復讐するために。私はそれを心待ちにしている――心の傷を負った少年と少女のためのサバイバルノベル!!
※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。
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