『ストレンジボイス』は、いじめで不登校になった少年・遼介が、卒業式にやって来るという予告を起点に進む現代学園サスペンス。舞台は卒業を目前にした学校で、加害者となった日々希、傍観してきた周囲、そしてその復讐を待つ語り手の位置関係が物語を動かす。中心には、いじめによって生じた断絶と、教室の中で保たれてきた沈黙があり、誰が何を知り、何を見ないまま過ごしてきたのかが焦点になる。心に傷を負った少年少女の関係が、卒業式当日へ向かう時間の中でどう揺れるかを追う構成で、学校という閉じた空間がそのまま緊張の場になっている。

構造レビュー

編集部判定 判定なし

ストーリーの良さ A (3) レビュー

理由・補足

編集部

自分をいじめたクラスメイトたちに復讐を誓い、極限まで肉体を鍛え上げた遼介。過去のトラウマに結び付く強迫観念から他人の情報を探り続ける水葉は、彼が卒業式に全部ブチ壊してくれることを願い、遼介に接近するのだが……。

キャラクター B (2) レビュー

理由・補足

編集部

いじめっ子といじめられっ子、そのどちらにも属さぬ事なかれ主義の傍観者と無気力な担任。善悪の価値基準から外れたアウトサイダーの思考が生々しく表現されていた。

設定・世界観 B (2) レビュー

理由・補足

編集部

閉塞感で窒息しそうな教室内の人間関係が上手く描けている。

話題性 C (1) レビュー

理由・補足

編集部

売れ筋の作風とはかけ離れている為話題にならなかった。

初心者向け C (1) レビュー

理由・補足

編集部

鬱々とした作風や重苦しい空気感は読む人を選ぶ。キャラクターはリアル寄りの造形をしており、ラノベらしいカジュアルさは微塵も感じさせない。

読後感の良さ C (1) レビュー

理由・補足

編集部

問題は何も解決してない。遼介の復讐も未完で終わってしまい、途中で断ち切られた水葉の独白が暗い未来を仄めかす。

テンポの良さ B (2) レビュー

理由・補足

編集部

地の文やモノローグ多め。エンタメらしい盛り上がりに欠け、冗長に感じる。

読みやすさ C (1) レビュー

理由・補足

編集部

登場人物の特異な思考が感情移入を阻んでおり、読みやすいとは言い難い。

短評・キャッチコピー

この項目をレビュー

編集部

不登校になったいじめられっ子は卒業式当日に復讐を企んでいた。傍観者の「私」の心中は……。

編集部

いじめっ子の日々希といじめられっ子の遼介、そのどちらでもないが故に観察対象として二人を媒介する水葉。「普通」の枠組みから外れてしまった3人の異常性にフォーカスした青春ノワール。

こんな人におすすめ

この項目をレビュー

編集部

・いじめっ子やいじめられっ子、あるいはいじめを傍観していた人 ・鬱々した小説を読みたい人 ・スクールカーストに敏感な人 ・人間観察が趣味な人 ・スッキリしない復讐ノワールが好きな人

  • AI分析(あらすじ)

    いじめや傍観の構図を軸にした学園サスペンスを読みたい人。

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    レビューを読む

編集部

江波光則は日本のラノベ作家。主にガガガ文庫で活動中。ラノベらしからぬハードボイルドな作風に定評あり。代表作は以下。 ・『魔術師スカンク』シリーズ ・『デスペラード ブルース』シリーズ ・『パニッシュメント』 ・『屈折する星屑』 ・『ボーパルバニー』 ・『ペイルライダー』 ・『我もまたアルカディアにあり』 ・『ソリッドステート・オーバーライド』

イラストレーター情報

この項目をレビュー

編集部

李玖は日本のイラストレーター。ラノベのイラストを数多く手掛ける。アンニュイな美少女に定評あり。

編集部

人間関係アレルギーの水葉はいじめられっ子の遼介と関わり、ある思惑からいじめの主犯・日々希の情報提供を申し出る。 加害者と被害者の倒錯した共依存、彼等の媒介の役目を果たす少女の擬態の危うさを描いた小説。全体に重苦しい閉塞感や抑鬱的な諦観が漂っている。

作品Q&A

評価されるポイントは? ストーリー
ベストアンサー
【おすすめキャラクター】 水葉(みずは) 本作の語り手の中学三年生の少女。自身のトラウマから他人の秘密を探り続ける。ドライで冷めた性格をしており、遼介への凄惨ないじめを傍観していた。心の奥底に仄暗い破壊願望を秘め、遼介の復讐が成就することを望んでいる。

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読者の声

読者レビューをもとに AI が要約した内容です。

作品の魅力

  • あらすじどおりの「復讐譚」ではなく、いじめっ子・いじめられっ子・傍観者の三者を俯瞰的に描く構成が評価されている。
  • いじめを善悪の物語にせず、人間関係の歪みとして描く筆致に、純文学的な深みを感じた。
  • 語り手の視点が信頼しがたく、読者の期待をずらす「ノイズ」的な読み心地が本作らしいと好評。
  • 閉塞した学校社会や息苦しい日常が、江波光則らしい文章で強く伝わる。
  • エンタメとしての爽快感は薄くても、読後に残る重さや再読したくなる引力がある。

こんな人におすすめ

  • いじめを加害・被害・傍観のいずれかの立場から考えてみたい読者。
  • 勧善懲悪やカタルシスより、人間観察や社会の歪みを味わいたい人。
  • ライトノベル枠の中で、文学的・実験的な作品を探している人。
  • うまくやれない、普通でいられない感覚に共感しやすい(あるいはそれを静かに観察したい)読者。
  • 鬱々としたスクールノワールや、救いの薄い物語を好む人。

人を選ぶポイント

  • 青春小説として心地よく楽しめる作品ではなく、読むと心がざわつく・息苦しくなる。
  • 復讐譚を期待して感情移入すると肩透かしになりやすく、カタルシスはあまり得られない。
  • 終わり方が曖昧で拍子抜け、虚無感が強いと感じる読者もいる。
  • 登場人物が弱く歪んでおり、爽やかなヒーローや救済譚を求める人には合わない可能性がある。
  • 内容は重く、学生向けの啓発物語というより、大人の視座で読むほうが合う。

テンポ・読後感

  • 200ページ前後と短く、一度読み始めると引き込まれる。
  • ただしテンポの軽快さより、閉塞感・不安定さ・苦さが前面に出る作品だ。
  • 耳を塞ぎたくなるような「ノイズ」としての青春像が描かれており、読み心地は決して快適ではない。
  • エンタメとしては物足りない一方、文学的な密度や江波節の読み味を楽しめる。
  • 初読は驚き、再読で追い詰められ方や弱さの意味が深まる。

キャラクターへの評価

  • 語り手の水葉は、傍観者でありながら他者の物語に介入する「信頼できない語り手」として印象深い。
  • 遼介や日々希は、強者というより弱く歪んだ少年少女として描かれており、いじめ関係そのものの異常さが際立つ。
  • 主要三人より、ディームス先生のような大人の造形や存在感が強く残る。
  • 全員が弱く、大人の前では手玉に取られる構図が物語らしいと感じる。
  • 歪な関係がそのまま続いていく終わり方が、ハッピーエンドでもバッドエンドでもないリアルさだ。

巻一覧

ストレンジボイス
2010年1月 ISBN 9784094511857
この巻のあらすじ

日々希(ひびき)に虐められすぎて不登校になった遼介が、卒業式にやって来るらしい。日々希に、そしてずっと見て見ぬふりをしていた私たちに復讐するために。私はそれを心待ちにしている――心の傷を負った少年と少女のためのサバイバルノベル!!

※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。

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