筒井康隆が自選した恐怖小説集の新装版で、日常の場面が異様な気配へずれていく短編16編を収録した作品集。舞台は現代の家庭、職場、学校、公共放送、都市空間などで、鍵、音、玩具、記録、制度といった身近な要素が不穏さの起点になる。中心人物は各話ごとに入れ替わり、受信料を拒む男、盲目の少女、中学校の記録を追う者など、立場の異なる人物が異界化した現実に向き合う。物語の軸は、説明しきれない出来事や心理の揺らぎを通して、現代社会の隙間にある恐怖を描くことにある。シリーズ全体としては長編の連続ではなく、独立した短編を通じて恐怖の型を広げる構成で、解説2本も併録されている。新装版の単巻構成で、続編・外伝はない。
構造レビュー
作品Q&A
読者の声
読者レビューをもとに AI が要約した内容です。
作品の魅力
- 鍵をきっかけに過去や記憶へ踏み込んでいく不穏さが強い。
- 理不尽さ、異常事態、ブラックユーモアが同居していて印象が濃い。
- ひとつひとつの短編の発想が奇抜で、シュールさが際立つ。
- 古い作品でも古びにくく、今読んでも怖さと面白さが残る。
- 代表作級として挙がる話が複数あり、選集としての満足度が高い。
こんな人におすすめ
- 筒井康隆のSFや不条理な作風が好きな人。
- じわじわ来る怖さや後味の悪さを楽しめる人。
- ブラックユーモアや皮肉の効いたホラーを読みたい人。
- 短編中心でテンポよく読みたい人。
- 既読作の再読や名作選として手に取りたい人。
人を選ぶポイント
- 露骨なスプラッターやグロテスクな描写が苦手だときつい。
- すっきり解決する怖さより、不条理さや不安感が前に出る。
- ショートショート寄りの作品は短すぎて物足りなさが残ることがある。
- 発表年代の古さから、表現や題材にやや古めかしさがある。
- ホラー一辺倒ではなく、怪談・SF・風刺の色合いも強い。
テンポ・読後感
- 1編ごとの長さが短く、読み進めやすい。
- 淡々とした進行から急に不穏さが立ち上がる。
- じわじわ迫る怖さと、唐突に突き抜ける異様さが混ざる。
- 不気味なのに軽妙で、読後に妙な余韻が残る。
- 作品ごとに怖さの種類が変わり、飽きにくい。
キャラクターへの評価
- 主人公は追い詰められる側として描かれ、心理的な圧迫感が強い。
- 日常の人物が理不尽な状況に巻き込まれる構図が目立つ。
- 家族や身近な関係が不穏さや悲しさを増幅させる。
- 組織や権力、役所的な理不尽さが怖さの源になる話がある。
- 人物像よりも、異常な状況そのもののインパクトが強く残る。
巻一覧
この巻のあらすじ
これぞ! ツツイホラー!! 巨匠・筒井康隆による、キャリア初の恐怖(ホラー)小説集を新装復刊!
鍵、鍵、そして鍵が、忌まわしき青春の記憶を呼び覚ますーー「鍵」。 受信料の支払いを拒んだ男は公共放送の闇を目撃するーー「公共伏魔殿」。 その日突然、オニが会社にやって来たーー「死にかた」。 盲目の少女が辿る、猫とくさりの音と父の匂いの真実ーー「くさり」。 「かしゃん。かしゃん。かしゃん」……サルの玩具がもたらす最悪の結末ーー「母子像」。 ある中学校での飛び降り自殺の真相に迫るモキュメンタリーーー「二度死んだ少年の記録」など、日常を異界へと変貌させる16編!
〈収録作品〉 「鍵」「佇むひと」「無限効果」「公共伏魔殿」「池猫」「死にかた」「ながい話」「都市盗掘団」「衛星一号」「未来都市」「怪段」「くさり」「ふたりの印度人」「魚」「母子像」「二度死んだ少年の記録」(全16編)。 角川ホラー文庫版解説=北野勇作/新装版解説=朝宮運河も収録。
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