『夜行堂奇譚』は、県庁の秘密部署「特別対策室」と、霊能者の桜千早、室長の大野木を軸に進む現代オカルト伝奇シリーズ。事故で右腕を失い、成り行きで夜行堂の使い走りとなった千早は、行方不明者や怪異現象の依頼を受け、都市伝説が残る大学寮、老舗旅館、団地、洋館、山奥の神社などで起こる案件に関わっていく。各話では聞き取りや現場調査を通じて、人の思念や土地の因縁が怪異と結びつく形が描かれ、調査と並行して夜行堂店主や木山、帯刀らの関係も少しずつ見えてくる。上下分冊や参の前後編を含む短編連作で、書き下ろし短編も収録される。
構造レビュー
作品Q&A
読者の声
読者レビューをもとに AI が要約した内容です。
作品の魅力
- 事故をきっかけに霊が見えるようになった青年と、オカルト否定派の公務員が組むバディ設定が強い。
- 1話ごとに事件が区切られる連作短編で、テンポよく読み進めやすい。
- 人間の悪意や因果応報の描写が印象に残り、怪異より人間の怖さが際立つ。
- 事件解決だけでなく、少しずつ距離が縮まる二人の掛け合いが楽しい。
- 短編ごとに視点や見え方が変わり、再読で印象が変わる仕掛けがある。
こんな人におすすめ
- オカルトとバディものを一緒に楽しみたい人。
- 重すぎないホラーをサクッと読みたい人。
- 人間の業や胸の悪くなる話に惹かれる人。
- キャラクターの掛け合い重視で作品を選ぶ人。
- シリーズものとして先の展開や過去の謎を追いたい人。
人を選ぶポイント
- いじめ、悪意、胸糞展開が含まれ、読後感が重くなる話がある。
- 怪異そのものより人間側の怖さが前に出るため、純粋な怪談を期待すると違う。
- 謎解き要素は強すぎず、説明不足に感じる場面がある。
- 短編中心であっさりした作りなので、濃い掘り下げを求めると物足りない。
- 収録順や文庫化で構成が変わっており、初読では流れがつかみにくいことがある。
テンポ・読後感
- 短編連作で読みやすく、全体のテンポは軽快。
- 序盤はバディ感が控えめでも、巻が進むほど二人の呼吸が合っていく。
- 怖さは強烈すぎず、じわっと不穏さが残るタイプ。
- 事件ごとに後味の軽い話と重い話が混ざり、緩急がある。
- さくさく読める一方で、余韻はしっかり残る。
キャラクターへの評価
- 千早は事故を経て霊的な感覚を得た、影のある主人公として印象が強い。
- 大野木は怖がりでも職務を投げず、堅物さと熱さの落差が魅力になっている。
- 正反対の二人が少しずつ相棒らしくなっていく過程が好評。
- 脇役や依頼者は一話ごとの印象が強く、底知れなさや不穏さを残す。
- 人間側の悪意が強く描かれるため、怪異よりも人物の怖さが記憶に残る。
巻一覧
この巻のあらすじ
弟子入り先を破門されてしまった桜千早は夜行堂へと導かれ、成り行きで使い走りとして仕事を始める。夜行堂と特別対策室の依頼をこなす千早は、やがて業務の効率化の為に大野木の家に居候となることに。県庁の大野木に届いた依頼は、息子の変化に戸惑う母親からのものだった。訪問するとおかしくなるという都市伝説のある大学寮の廃墟。肝試しにいった息子は戻ってから様子がおかしくなり、部屋から一歩も出なくなってしまったという。一緒に行った友人から話を聞こうと、面談に訪れた青年はひどくおびえていた。大野木と千早は二人で話を聞くことに。多発する怪異には、人の情念や想いが、人ならざるものと混じっている。それらが引き起こす、数々の呪いと悲劇。それら怪異をあざ笑うかの如く静観する夜行堂店主の真の目的とは……。文庫化にあたり、上下巻それぞれに短編を書き下ろし収録。 目 次 夜行 翡抄 狂歌 忌檻 穢向 紫眼 惡會 千尋(書下ろし)
この巻のあらすじ
帰省する途中でバイク事故に遭い、右腕を失った大学生の桜千早。それは不慮な事故ではなく、事件だったーー。入院中、失った筈の右手に縋りつく女性の手の感触……。「みつけて」と結露した窓に描かれたメッセージ。千早は自分が事故に遭った日に殺されたという女性のことを思い出す。一方、県庁に勤める堅物でまじめな大野木は、急遽、特別対策室の室長を任命される。そこは行方不明者や怪異現象などの曰く付きの案件を専門とする部署で、組織でも秘密裡の部門だった。特別な対策を必要とする案件を解決するべく、大野木は紹介された霊能者、桜千早と出逢う。オカルトホラーバディここに開幕。文庫化にあたり、上下巻ともに書き下ろし収録! 目次 序 殘仇 掬魂 團死 洩呪 叫禍 支双 搖花 初日(書下ろし)
この巻のあらすじ
いとこの妻・しづりからの文が届き、帯刀老と葛葉が山を下り、斜陽の西家を訪ねた。そこには座敷牢に匿われていた5歳の少女がいた。二人はその娘を引き取り、柊と名付け養育することにしたーー(「序」)。 百年続いた老舗旅館。全盲として生まれた深雪はある日、亡祖父の間宮京介を訪ねてきた妖魔を家に上げてしまう。妖魔を退治するために大野木と桜と一緒に夜行堂へ行き、そこで選んだものはーー(「雨聴」)。 京都嵐山の高級旅館。師匠の柊と私に来た依頼は「高級呉服店・扇美屋(おうみや)の娘・梨香に狐が憑いているので祓ってほしい」というものだったーー(「白華」)。 先輩から高額のバイトを誘われ、車で連れていかれたのは竹林の中にある木山の家だった。重たい行李を県境の山奥の神社に運ぶ仕事を依頼されるがーー。(「行李 」)。 木山、帯刀老、葛葉、柊、夜行堂……徐々に明かされていく屋敷町の人間関係。幻想譚や怪談も収録した全十一話。 序 討士 雨聴 白華 紫歌 行李 鯨歌 松楓 白秋 魔仔 悲鳴(書下ろし)
この巻のあらすじ
近衛湖のほとりに建つ迎賓館のような洋館。帯刀老の遺産の一つだ。そこを調査することになった大野木と桜。堅牢なカギをあけると館の中は時間が止まっており、2階から人間の一部で作った青い蝶が飛んできていた。階段を上がるとそこには学生服を着た木山がいたーー(「夢 蝶」)。 妻がなくなり、学生の木山という人物から手紙が届く。預かっているものを返したいそうだ。それは行李に入った勾玉だった。ご神体だそうだが、気味が悪い。ところが川でミイラ化した死体があがり、行李の球が血を吸ったように肥大していたーー。(「文夜」)。 心霊物件・美嚢団地の最後の住人・義兼慎三。すでに100人以上が不審死している。県庁では「美嚢団地には怪異の根がある」と言われていた。しかし一番最初の事件は、鷹元楸の母、千賀子の団地での急死だったーー(「死坑」)。 帯刀と学生の木山が柳川の船に乗っている。近衛湖の帯刀の別邸へ向かっているのだ。そこに依頼主の当主の母・駿河屋の大奥様の駿河ハツエがやってきた。当主の篤行が亡くなり、奥座敷に住まうオシロサマをお鎮めいただきたいというお願いだ。(「指切」) 屋敷町の呪術の仕掛け人ともいえる木山の全貌が少しずつ明らかになる参巻。下巻にも書下ろしを加えた全十話を収録。 餓渇 夢蝶 文夜 黒椿 刀滋 小休 墜下 死抗 指切 再逢(書下ろし)
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