不登校の少女・夜凪凛と、学校内で目立つ立場にいた夏乃光を中心に、夏の終わりを背景へ置いて進む現代青春サスペンスです。高校での出会いからLINEでのやり取りを通じて互いの事情に触れた二人が、夏休み明けに再会し、逃避行へ踏み出します。物語は、家族や学校で居場所を失った人物たちの関係と、殺したい相手をめぐる危うい選択を軸に展開します。舞台は現代日本の高校とその周辺で、夏という季節の終わりが全体の空気を形づくります。単巻構成で、二人の関係と一夏の出来事に焦点を絞った内容です。第18回小学館ライトノベル大賞の受賞作として刊行されています。なお、1巻で完結する構成です。

構造レビュー

編集部判定 判定なし

ストーリーの良さ B (2) レビュー

理由・補足

編集部

新人の尖った感性が光る第18回小学館ライトノベル大賞 大賞受賞作。長年に亘る確執の末母親を殺めた優等生と周囲に馴染めず孤立していた少女が、お互いの殺したい人間に一日交代で手を下す危険なゲームにのめりこんでいく。信用ならざる語り手が迷走する、スリリングなストーリーに手に汗握った。

キャラクター A (3) レビュー

理由・補足

編集部

スクールカーストトップの美少年・夏乃光といじめが原因で留年した少女・夜凪凛、対照的な二人を中心にストーリーは進んでいく。大人の無理解や子供の悪意、とりわけ親の虐待や過干渉の描写には胃が重くなった。

設定・世界観 A (3) レビュー

理由・補足

編集部

毒親・虐待・いじめ・不登校など、昨今世間を騒がせる社会問題を盛り込んだ作風。エグい鬱展開の連続は読者を選ぶ。凛と光がLINEのやり取りを経て距離を縮める描写に時代を感じた。

話題性 A (3) レビュー

理由・補足

編集部

第18回小学館ライトノベル大賞 大賞受賞作。YouTubeでPVを公開するなどガガガ文庫が力を入れてプッシュしている。

初心者向け B (2) レビュー

理由・補足

編集部

良くも悪くも人を選ぶ尖った作風。黒乙一の代表作『GOTH』を彷彿とさせる導入と展開。従来の売れ筋ラノベに食傷気味の人にすすめたい。

読後感の良さ C (1) レビュー

理由・補足

編集部

メイン二人が周囲を巻き込んだ暴走の果てに破滅的なラストを迎える故後味は悪い。読後はスッキリしないモヤモヤが残る。現実と妄想が入り混じった展開も混乱を加速させた。

テンポの良さ B (2) レビュー

理由・補足

編集部

凛と光の関係性に絞った描写は少年少女の逃避行がツボな読者にハマる。心に傷を抱えた少年少女の共依存、心中じみた破滅が約束された逃避行が好きなら気に入るはず。

読みやすさ C (1) レビュー

理由・補足

編集部

地の文は整っており水準以上。特に夏の描写にこだわりが感じられ、ギラギラした陽射しや蒸した空気を追体験できた。中盤以降は時系列を故意にシャッフルした独りよがりな構成になっており、読者の混乱を招く要因になっていた。

短評・キャッチコピー

この項目をレビュー

編集部

不登校の少女と自殺願望を秘めた美少年の出会いが惨劇の幕を開ける

編集部

化け物を自称するほどに周囲との断絶を感じていた女子高生・夜凪凛は、眉目秀麗・文武両道な人気者・夏乃光の自殺未遂の現場を偶然目撃してから彼と交流を始める。しかし夏休み明けの始業式、光に母親を殺してきたと告白したことがきっかけで日常の歯車が軋み始め……。

こんな人におすすめ

この項目をレビュー

編集部

暗黒ボーイミーツガールが好きな人 ダークでダウナーなサスペンスに浸りたい人 夏の情景を追体験したい 人間関係に悩んでいる人 思春期真っ只中の中高生

  • AI分析(あらすじ)

    - 現代高校を舞台にしたサスペンスを読みたい人 - 不登校や家族関係を扱う物語に関心がある人 - 夏の終わりを背景にした逃避行の構図が気になる人

    内容を通報

    不適切な内容を運営に知らせます。虚偽の通報はお控えください。


    レビューを読む

編集部

青葉寄は本作でガガガ文庫からデビューしたラノベ作家。カクヨムでも活動中。

イラストレーター情報

この項目をレビュー

編集部

炙場メロは主にXやpixivで活動中のイラストレーター。『鬼滅の刃』の二次創作やソーシャルゲームのイラストを数多く手掛けている。

編集部

第18回小学館ライトノベル大賞 大賞受賞作。

編集部

万人受けする作風とはお世辞にも言えないが、ディープな読者を獲得できそうなポテンシャルを感じた。炙場メロの美しいイラストは目の保養。桜庭一樹『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』と心性が近い。ティーンエイジャーの心に爪痕を残すラストは忘れ難い。

作品Q&A

合わない人・注意点は? ストーリー
ベストアンサー
急転直下のラストと不親切な構成は賛否が分かれる。内面に問題を抱えた少年少女が危険な殺人ゲームにハマる物語は衝撃的でこそあるが、毒親・いじめ・虐待・不登校・自殺と、鬱作品にお決まりの胸糞要素の詰め合わせで辟易した。

内容を通報

不適切な内容を運営に知らせます。虚偽の通報はお控えください。


回答を書く

会員の回答は公開されます。ベストアンサーはいいね数といいね率から自動で選ばれます。

評価されるポイントは? ストーリー
ベストアンサー
炙場メロのイラストはカラー・白黒共に美しい。決して一般受けする作風ではないが、コアな読者の獲得を見込める内容。 【おすすめキャラクター】 '''夏乃光''' スクールカーストのトップに君臨する一見完璧な優等生。自殺未遂の現場を凛に目撃されたことがきっかけで彼女と親しくなり、LINEでメールをやり取りをするようになる。実は母親との関係に悩んでいた。夏休み明けの始業式の日に、お互いの殺したい人間に交代で手を下すゲームを凛に持ち掛ける。

内容を通報

不適切な内容を運営に知らせます。虚偽の通報はお控えください。


回答を書く

会員の回答は公開されます。ベストアンサーはいいね数といいね率から自動で選ばれます。

質問を投稿するにはログインしてください。

質問を投稿

会員の質問は公開されます。回答は他の会員も投稿できます。

読者の声

読者レビューをもとに AI が要約した内容です。

作品の魅力

  • 18歳デビューながら、夏の情景や空気感が鮮烈で読了後も残る。
  • 不登校の少女と自殺願望を抱えた少年の、七日間の逃避行という設定に引き込まれる。
  • 思春期特有の鋭い言葉選びやコミュニケーションの描写が瑞々しく、狂気や閉塞感へと加速していく手触りを評価する読者がいる。
  • 重い題材でも読みやすく、二人きりの世界に没頭できる構成だ。
  • 面白い/つまらないだけでは測れない、読後に感情が押し寄せる体験型の作品だ。

こんな人におすすめ

  • ダークなボーイミーツガール(ガールミーツボーイ)系の青春物語が好きな人。
  • 夏の終わりの退廃的・閉塞的な雰囲気を味わいたい人。
  • 10代作者の感性や、尖った新文芸的な作風に関心がある人。
  • 人間関係や共感の難しさをテーマにした物語を読みたい人。
  • 賛否が分かれるラストや、読後感の強い作品を求める人。

人を選ぶポイント

  • 不登校・自殺願望・殺人をモチーフにした過激な内容で、内容によっては刺さりにくい。
  • 人の命や暴力の扱いが軽いと感じる読者がおり、訴求力に欠けると感じる意見もある。
  • 大賞作として期待したが、内容の浅さや典型性、未完成感を指摘するレビューがある。
  • 主人公の動機や行動に共感できず、中盤まで入り込めない。
  • ラストの急展開や余韻の残し方について、納得と戸惑いが分かれる。

テンポ・読後感

  • 一日刻みのカウントダウン感があり、ドライブ感のあるテンポで一気に読める。
  • 夏の終わりを意識させる描写が強く、退廃的でありながらどこか美しい閉塞感を感じる。
  • 重い題材なのに文章は流れよく、ノイズの少ない二人世界に引き込まれる。
  • 読み進めるうちに過去が明かされ、息苦さや泥濘へ落ちていく感覚が増していく。
  • 読了直後に複雑な感情が一気に溢れる、好悪を超えた読後感を語る読者もいる。

キャラクターへの評価

  • 人の気持ちが読めず友人関係に悩む凛と、自殺願望を抱えた完璧超人に見える光の対比が印象的だ。
  • 凛は「共感できない」と感じる読者もいる一方、頑なさが解けていく様や固有の受け止め方に魅力を感じる意見もある。
  • 光は狂信的・歪んだ独占欲や執着を帯びた存在として描かれ、理解はできても自己中さに呆れる。
  • 似た者同士の同胞感や、危うい距離感の交流が物語の核だ。
  • 動機や目的が明かされる段階で印象が大きく変わり、二人への見方が読者ごとに分かれる。

巻一覧

夏に溺れる
2024年8月 ISBN 9784094532043
この巻のあらすじ

十八、終わる夏。私は誰かを殺すことにした

「母さんを殺してきた」--夜凪凛が、元クラスメイトの夏乃光から衝撃的な告白を受けたのは、夏休み明けの8月24日のことだった。

凛が光と出会ったのは遡ること1年と1か月前の夏のこと。 当時、不登校だった凛は退学届を提出するためだけに高校を訪れた日、四階の窓から飛び降りようとしている男子生徒と出くわした。成績優秀で眉目秀麗、学校内ヒエラルキーの頂点にいる男子、夏乃光だった。 小説や映画などの好みが似ていた二人はLINEのやり取りで親交を深めていく。やがて凛は、光が親との関係に悩んでいることを知る。友人関係に悩んで退学を決めた凛だったが、半年間休学して四月から再び二年生として学校に通うことした。

ーーそして、夏休み明けの始業式の朝、遅刻して登校してきた凛のことを駐輪場で光が待っていた。母親を殺してきたと告げた光は、凛を連れて逃避行を始める。 これからどうするのかと問う凛に、光はあるゲームを提案する。それは、八月が終わるまでの七日間、一日一人ずつ交互に殺したい人間を殺していくというものだった……。

行き場を失くした二人は凶器と化す。瑞々しい感性で描かれた青春の危うい側面。第18回小学館ライトノベル大賞 大賞受賞作。

星評価・感想

構造レビューと同じ星評価・感想欄に保存されます。平均・中央値は上の「構造レビュー」欄に表示されます。 構造レビューを書く

星評価 *

まだ感想はありません。