「ステイホームの密室殺人」は、緊急事態宣言下の日本で生じた生活制限を手がかりにしたミステリーアンソロジー。2巻構成で、休業、在宅療養、オンライン飲み会、リモート家族会議、自粛警察、感染疑いの施設対応など、日常の行動範囲が狭まった状況を各短編の事件条件として用いる。小悪党の犯行、疎開先での異変、家族内の不和、医療現場の死因究明、無人化した街の死体など、事件の入口と調査の視点が巻ごとに入れ替わる。各話は独立した短編として置かれ、コロナ禍の生活と密室の条件を結びつけて描く。
構造レビュー
作品Q&A
読者の声
読者レビューをもとに AI が要約した内容です。
作品の魅力
- コロナ禍の生活感をそのままミステリに落とし込んだ設定が新鮮。
- リモート通話、デリバリー、オンラインイベントなど現代的な小道具の使い方が巧い。
- 短編ごとに作風が違い、切なさ・不穏さ・後味の悪さ・SF感まで振れ幅がある。
- 既存の密室像をずらす変化球トリックや、読後に考え直したくなる仕掛けが印象に残る。
- アンソロジーとして新しい作家との出会いがある。
こんな人におすすめ
- コロナ禍を題材にした作品を記録としても楽しみたい人。
- 密室やアリバイ崩しに、リモートや通信環境の要素が入ると面白いと感じる人。
- 短編でテンポよく読みたい人。
- 乙一、北山猛邦、斜線堂有紀、法月綸太郎、柴田勝家、日向夏、渡辺浩弐、津田彷徨の作風を試したい人。
- イヤミス寄りの余韻や、少し怖い家族・人間関係の話が好きな人。
人を選ぶポイント
- コロナ禍の空気感や当時の状況を強く反映するため、時事性が前提になる。
- 作品によっては短さゆえに深掘りが物足りなく感じる。
- 本格密室を期待すると、変化球寄りの収録作に肩透かしを受けることがある。
- かなり難解で、オチや構造がつかみにくい作品が含まれる。
- 後味の悪さや不穏さが強く、軽い読後感だけを求めると重く感じる。
テンポ・読後感
- 収録作は短めで、読み進めやすいテンポ。
- 現代の生活導線を使うため、展開の立ち上がりが早い。
- 全体は軽快でも、読後は薄ら寒さや閉塞感が残る。
- 作品ごとに切なさ、怖さ、ユーモア、SF感が切り替わる。
- 当時の空気を思い出させる、タイムカプセル的な読後感。
キャラクターへの評価
- 生活圏の変化に追い込まれる家族や身近な人間関係が強く印象に残る。
- メイド喫茶の探偵や高校生探偵など、キャラ立ちの強い人物が好評。
- 事件の裏にある人の悪意や薄気味悪さが際立つ。
- 推し活の警官、潔癖に振れた家族、見守りサービスの対象など、設定込みで人物像が立つ。
- 法月綸太郎の作風は難解さが目立ち、読み手の好みが分かれる。
巻一覧
この巻のあらすじ
緊急事態宣言からの「ステイホーム」のかけ声とともに一瞬で変わってしまった日常を舞台に、ミステリー界の珠玉の才能たちが競演する「ステイホームの密室殺人」!
織守きょうや「夜明けが遠すぎる」 アルバイト先の突然の休業で困窮した小悪党とその弟分は、オンライン飲み会のアリバイ工作をして殺人を実行するが、その目論見は脆くも崩れ去りーー!?
北山猛邦「すべての別れを終えた人」 新型コロナウイルスを避けて地方に疎開した女が、バラバラの焼死体として発見された。果たしてその真相はーー。限りなき終末感とともに、名探偵・綿里外が現れる!
斜線堂有紀「Stay sweet, sweet home」 ステイホームで適切な距離(ディスタンス)が取れず、険悪ムードのとある家族に起こった不慮の死は事件か事故か? オンライン越しに示される推理が冴え渡る!
津田彷徨「不要不急の殺人」 とある老人ホームで、新型コロナウイルス感染が疑われる一人の入所者が急死を遂げた。死因究明に取り組む若き医師がたどり着いた真実とはーー!? 現役医師作家が描く医療ミステリー。
渡辺浩弐「世界最大の密室」 全人類が引きこもり生活を送る中、「世界最大の密室」と化した「無人の街」で発見された謎の死体。彼はいったいなぜ、どのように殺されて街に現れたのか?
Book Design/円と球
この巻のあらすじ
緊急事態宣言からの「ステイホーム」のかけ声とともに一瞬で変わってしまった日常を舞台に、 さらなるミステリー界の珠玉の才能たちが競演する「ステイホームの密室殺人」、待望の第2巻!
乙一「ステイホーム殺人事件」 新型コロナウイルスに感染し、自宅療養中の男子高校生が刺殺体で発見された。密室殺人の謎を追いかけた末に友人たちが行き着いた、彼の死に込められたメッセージとは? 乙一のせつなさと天才が爆発する傑作。
佐藤友哉「潔癖の密室」 外界との接触をすべて断ち、引きこもった潔癖症一族の家長がリモート家族会議中に刺殺された。潔癖症の家族がなぜ人を刺殺できたのか、そして密室はいかにして作られたのか、二つの謎にリモート探偵が挑む!
柴田勝家「すていほぉ〜む殺人事件」 自粛休業中で無人のメイド喫茶で、店長が死体となって発見された。密室と化した店内の謎を、メイド探偵とメイド喫茶オタクの二人が解き明かす!
法月綸太郎「題名のない朗読会(抄)」 自粛警察がはびこる「新しい日常」下、ボランティア読み聞かせ会の開催で世間から中傷を受け、沈黙していた児童作家が満を持して新たに朗読会を開催した。脅迫状が送りつけられる中、彼が読んだものとはーー!?
日向夏「迷惑な殺人者」 ステイホーム期間中、コロナ陽性者が出たマンションで起きた飛び降り事件。その死は自殺か他殺か、謎めいた動機をめぐってコロナ時代ならではの推理が迫る!
渡辺浩弐「末恐ろしい子供」 保育園休園のあおりを受け、遠隔見守りサービスを使って子育てする夫婦。ある日、監視カメラの目をくぐって息子が死んでしまう事件が起こるが、その裏には恐るべき真相が隠されていたーー!
Book Design/円と球
星評価・感想
構造レビューと同じ星評価・感想欄に保存されます。平均・中央値は上の「構造レビュー」欄に表示されます。 構造レビューを書く
感想を投稿するにはログインしてください。
まだ感想はありません。
