出版社で働く中津藍の前に、ある日、空を泳ぐ魚が見える現象が現れる。藍は同じ現象を見ている人々と出会い、その原因や対処法を探りながら、視界を埋めていく魚たちと向き合うことになる。舞台は現代の都市で、日常の中に説明のつかない異変が入り込む構成。中心には、仕事に追われる人物と、現象を共有する仲間たちの関係がある。物語は、個々の事情を抱えた人物が集まり、異常現象の意味を探る流れで進む。単巻で完結する構成で、空に現れる魚というモチーフを軸に、現実と非現実が交差する出来事を描く。第17回電撃小説大賞〈メディアワークス文庫賞〉受賞作。単巻完結の物語です。続編や外伝の情報はありません。
構造レビュー
作品Q&A
読者の声
読者レビューをもとに AI が要約した内容です。
作品の魅力
- 謎の煙草を吸うと空に魚が泳ぐという突飛な設定が、「あきらめきれない想い」のメタファーとして独創的。
- 失敗を恐れて動けない主人公が、自分の気持ちと向き合い直す自己探求・成長譚として読める。
- 大阪の街や地下鉄を思わせる明るく騒がしい空気感と、個性の強い仲間との交流が物語の核。
- 後半にかけて切なさと爽やかさが増し、「自分は自分」という優しいメッセージが伝わる。
- 浅葉なつ後続作(『神様の御用人』など)へ続くテーマや作風の原点として評価される。
こんな人におすすめ
- 奇想天外なファンタジー設定から青春・人生再考物へ展開する作品が好きな読者。
- 行動の逡巡や自己卑下、比較による苦しさに共感しやすい大人世代。
- 大阪らしい賑やかさやクセ強キャラの掛け合いを楽しみたい読者。
- 著者のデビュー作から文筆の変遷や代表作とのつながりを追いたいファン。
人を選ぶポイント
- 前半のドタバタギャグや軽いノリが合わず、中盤まで物語に入り込めない。
- 主人公藍の消極性・鈍さが早い段階で嫌悪感を招き、読み進めるには作者への信頼が必要。
- 中盤の説明パートが長く感じられ、結末の方向性が早めに読めて後半の張り出しが弱い。
- 一部の悪ノリ気味のトリオや女性上司など、不快に感じるキャラクター描写がある。
テンポ・読後感
- 前半はコミカルで騒がしい展開、後半は切なさと内省が強まる二段構成。
- 全体的には軽めの読み味だが、デビュー作ゆえのぎこちなさや厚みの偏りも指摘される。
- 予定調和寄りの着地を察しつつも、その流れを楽しんで読めるタイプの作品。
- 爽やかで優しく、元気をもらえる雰囲気と、じわりと刺さる現実味が同居。
キャラクターへの評価
- 主人公藍は消極的・比較に弱く、恋愛面の鈍さも含めて最初は敬遠されやすいが、周囲の導きで変化していく。
- 山崎、東三国、遥、ヒノトら煙草事件で集まった仲間は個性的で楽しく、大人の友情物語として好印象。
- ラン・ミキ・スーじいさんトリオは悪ノリ感があり、受け取り方を分ける存在。
- 煙草と魚の現象を自然に受け入れる人と、消そうと足掻く藍の対比が人物像を際立たせる。
巻一覧
空をサカナが泳ぐ頃
この巻のあらすじ
出版社で超多忙な毎日を送る中津藍。そんな彼が、ある日、煙草を吸いながらふと空を見上げると、一匹の魚が泳いでいた。慌てて目をこすってみるが、魚は消えることなく優雅にヒレを揺らして通り過ぎていく。しかもサメやらクラゲやらも、次々と現れては悠々と空を泳ぎはじめ……。 いったいこの鬱陶しい現象はなに? 藍は同じように魚が見える人たちと共に、彼らを消す方法を探し始める。しかし、魚は増える一方で、しかも魚が視界を埋め尽くすとき――。 さまざまな想いを交差させ、ちょっと変わった仲間たちが繰り広げる、未来を賭けた大騒動。 第17回電撃小説大賞〈メディアワークス文庫賞〉受賞作。
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