ジャンル
様々な依存症に苦しむ人々を救う『治し屋本舗』を舞台にした現代小説。そこで働く嶋村羽音は、自身もかつて同じ症状に苦しんだ経験を持ち、依存症の対象ごとに向き合う治し屋として案件をこなしている。ある日、社長の鬼塚から新たな対象者・沢木聖人を任され、羽音は重なる過去の自分と、完全に克服したはずの【失恋依存症】を見つめ直すことになる。症状の背景にある喪失感や人間関係、救う側と救われる側の立場の揺れを通して、人が失ったものとどう折り合うかを描く。案件ごとに抱える事情が異なるため、羽音は治療の手順だけでなく、相手が何を失い、何を手放せないのかにも目を向ける。仕事としての対応と、個人としての記憶が重なる構成で、依存からの立て直しを追う一冊。
構造レビュー
作品Q&A
読者の声
読者レビューをもとに AI が要約した内容です。
作品の魅力
- 失恋から立ち直れない人を支える「治し屋本舗」を舞台に、依存からの脱却と心の回復を描く。
- 失恋の傷と向き合いながら、周囲との関係を再構築していく過程に共感しやすい。
- 描写が自然でくどくなく、一気読みしやすい読みやすさがある。
- 展開はやや早い段階で想像しやすい面もあるが、まとまりのよい構成で満足感が得られる。
こんな人におすすめ
- 失恋や恋愛の傷を引きずる経験に共感したい読者。
- 対人関係の再構築や本音で向き合うことに関心がある人。
- ライトに読める恋愛・ヒーリング系の物語を探している人。
- いぬじゅん作品の、目頭が熱くなる系の読み心地を好む層。
人を選ぶポイント
- 「失恋依存症」は架空の設定で、実在の病名や専門的な治療描写とは異なる。
- やや若々しく青いトーンを感じる読者もいる。
- 恋愛ドラマ的な展開に感じる向きもあり、後半まで読まないと作品の良さが伝わりにくい。
- 章末の演出や終盤の記述の整合性について疑問を持つ声もある。
テンポ・読後感
- サクサク読めるテンポで、期待以上に楽しめる。
- 読後に温かさや前向きさを感じやすい、軽やかな読後感。
- ライトな分量感ながら、失恋の重さも織り込まれたバランス。
- 最後まで読み進めることで印象が変わる、後半で味わいが増す構成。
キャラクターへの評価
- 主人公・羽音は、失恋の傷を抱えながらクライアントの支え役として働く二面性が印象的。
- 回復へ向かう依頼人や周囲の人物を通じて、人間関係の面倒さや本音の大切さが描かれる。
- いぬじゅん作品特有の、感情に刺さるキャラクター造形への評価がある。
- 人間の面倒くささやもがきをリアルに感じる描写も見られる。
巻一覧
私たちは失いながら生きている
この巻のあらすじ
様々な依存症に苦しむ人々を救う『治し屋本舗』。そこに勤める嶋村羽音は、かつての自分と同じ症状に苛まれる対象専門の治し屋として順調に仕事をこなしていた。そんなある日、社長の鬼塚から命じられた新たな案件の対象者、沢木聖人との出会いにより、重なる過去の自分、そして自分を絶望の底に追い込み完全に克服したはずの【失恋依存症】と再び向き合うことになり――。喪失の果て、最後にあふれる涙! いぬじゅんが満を持して贈る、再生の物語。
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