『きょうの日はさようなら』は、夏休みに父から知らされた同居話をきっかけに、明日子と双子の弟・日々人の前へ、長い眠りから覚めた従姉の今日子が現れる物語。今日子は三十年前の女子高生という時間差を抱えたまま、現代の暮らしに入っていく。父、姉弟、従姉という近い親族が同じ家で顔を合わせることで、血縁の近さと生活の距離が重なる。同居の始まりそのものが、彼女たちの関係を組み替える入口になっている。中心にあるのは、年の近い三人が一つの家で過ごす日々と、家族としての距離の変化。現代日本の夏を舞台に、過去と現在の感覚のずれ、同年代のようで同年代ではない関係、日常会話の積み重ねが描かれる。単巻でまとまる一冊。
構造レビュー
作品Q&A
読者の声
読者レビューをもとに AI が要約した内容です。
作品の魅力
- 30年の眠りから目覚めた少女と、同年代のいとこたちが過ごすひと夏の設定が強い引きになる。
- 1995年の流行や道具と、現代の当たり前の差が細かく描かれ、懐かしさと新鮮さが同時に立つ。
- 家族のぎこちなさが少しずつほどけていく流れが、SF設定以上に読みどころになっている。
- 友情や淡い恋、別れの感情が重なって、切なさの余韻が長く残る。
- 追加収録の短編やエピローグまで含めて、読後の満足感を押し上げている。
こんな人におすすめ
- ノスタルジーのある青春小説や、夏休みものが好きな人。
- 家族再生や、親戚同士の距離が縮まる物語を読みたい人。
- SF設定があっても、感情の動きや会話劇を重視した作品が好みの人。
- 1990年代の小物や文化に反応できる世代、または当時を知らずに新鮮に楽しみたい人。
- 泣けるけれど、重すぎない読後感を求める人。
人を選ぶポイント
- 物語の核に触れる事情や真相は、途中からかなり重く感じる。
- 2025年設定は刊行時点の想像なので、現実とのズレが気になると引っかかる。
- 登場人物の名前が似ていて、読み進めるときに少し混乱しやすい。
- 終盤のまとめ方は、あっさりした印象を受ける人もいる。
- SFの仕掛けよりも、切なさや余韻が前面に出る作風。
テンポ・読後感
- 夏休みの空気で軽やかに進みつつ、要所で胸が締めつけられる。
- 会話や日常のやりとりは明るく、全体にはふわっとした読み心地がある。
- 1995年と2025年の差分が、懐かしさと少しの寂しさを同時に呼ぶ。
- 中盤以降は静かに切なさが増し、ラストで感情が大きく残る。
- 読後はしんみりしつつも、どこか爽やかさが残る。
キャラクターへの評価
- 今日子は、状況を受け止めながらも内側に強い寂しさを抱えた存在として印象に残る。
- 明日子は、ネットや現代の便利さに違和感を言葉にする場面が印象的で、感情の代弁役になっている。
- 日々人は口が悪く見えて、実はやさしさや誠実さが目立つ。
- 双子は家庭の空気を変えていく役回りで、家族の再生に効いている。
- 脇の大人たちも含めて、誰かを責め切れない不器用さが人物像の軸になっている。
巻一覧
きょうの日はさようなら
この巻のあらすじ
明日子と双子の弟・日々人は、年の近い従姉がいて、彼女と一緒に暮らすことを父から知らされる。夏休みに面倒と思う二人だが、従姉の今日子は、長い眠りから覚めたばかりの、三十年前の女子高生で…?
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