現代の小説界を舞台に、失踪した小説家・遥川悠真と、彼の作品を愛する少女・幕居梓の関係を描く一作。梓は偶然の救出をきっかけに遥川と奇妙な共生関係を結び、やがて彼が書けなくなった後の代筆を引き受ける。外から見える作家の姿と、誰にも明かしてこなかった私的な事情が重なり、物語は創作の行方と二人の距離を同時に追っていく。作品を書くこと、読むこと、支えることがどこで接続するのかを軸に、秘密を抱えた関係が一冊の中で収束していく。梓の選択は、単なる手伝いではなく、遥川の創作を続けさせるための役割として配置される。小説家と読者、救う側と救われる側、表に出る文章と裏で支える手つきが交差し、二人の関係は執筆そのものを通じて変化していく。

構造レビュー

編集部判定 判定なし

ストーリーの良さ B (2) レビュー

理由・補足

編集部

情緒不安定な天才小説家と孤独な少女の秘密の関係を、彼女が小学生の頃から数年に亘って綴ったサスペンス。プラトニックな年の差恋愛が徐々に変容していく過程、自分が育てた存在に追い越される焦燥や恐怖、泥沼じみた共依存がよく描けていた。

キャラクター A (3) レビュー

理由・補足

編集部

浮世離れした天才小説家のカリスマ性と、彼に盲目的に依存する少女の危うさが好対照に描かれていた。

設定・世界観 A (3) レビュー

理由・補足

編集部

我々が住む現代社会と同じ。人気小説家に命を救われた少女と彼女に施すことで虚しさを埋めてきた青年を主軸に、移ろいやすい世間に翻弄される小説家の業やアイデンティティーが侵されていく苦しみ、報われるとは限らない創作活動の光と闇を暴き出す。

話題性 A (3) レビュー

理由・補足

編集部

小説家の苦悩を題材に年の差恋愛を絡めた斜線堂有紀のサスペンス。くっかの美しい表紙が脚光を浴びた。

初心者向け B (2) レビュー

理由・補足

編集部

文体やキャラクターにやや癖があり初心者向けとは言い難い。生活能力の欠落した青年×無垢な少女の共依存に惹かれる人には刺さる。

読後感の良さ C (1) レビュー

理由・補足

編集部

梓の後追い自殺をほのめかせるラストで締めくくられるので読後感は良くない。ミステリーとして読むと細部の整合性が弱く、回収されなかった伏線がひっかかる。

テンポの良さ B (2) レビュー

理由・補足

編集部

序盤~中盤はスローリーでやや退屈。中盤以降、二人の関係が緊迫し始めてからはもどかしいすれ違いや感情の省都tが見せ場となる。

読みやすさ B (2) レビュー

理由・補足

編集部

文体に癖があり読む人を選ぶ。地の文と会話のバランスは平均的。登場人物が少ない為キャラの書き分けの面で混乱することはなかった。

短評・キャッチコピー

この項目をレビュー

編集部

孤独な少女が出会った小説家の先生は何故失踪したのか。

編集部

複雑な家庭環境に育った孤独な少女が天才小説家の青年に心酔し、スランプに陥った彼に盲目的な献身を捧げるも、その先に待っていたのは避けられぬ破滅だった。

こんな人におすすめ

この項目をレビュー

編集部

青年×少女のプラトニックな年の差恋愛に惹かれる人 ダークな恋愛小説が読みたい人 小説を書いている人 小説に救われた経験がある人 メリーバッドエンドが好きな人

  • AI分析(あらすじ)

    小説家や創作の裏側、秘密を抱えた人物関係、代筆を軸にした現代の物語が気になる人。

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    レビューを読む

編集部

斜線堂有紀は日本の小説家。百合やブロマンス、SF要素の入ったミステリーを多く手掛ける。代表作は以下。 『キネマ探偵カレイドミステリー』 『死体埋め部シリーズ』 『神神化身シリーズ』 『プロジェクト・モリアーティ』 『夏の終わりに君が死ねば完璧だったから』 『コールミー・バイ・ノーネーム』 『不純文学 1ページで綴られる先輩と私の不思議な物語』 『詐欺師は天使の顔をして』 『楽園とは探偵の不在なり』 『ゴールデンタイムの消費期限』 『廃遊園地の殺人』 『愛じゃないならこれは何』 『君の地球が平らになりますように』 『回樹』 『恋に至る病』 『本の背骨が最後に残る』 『星が人を愛すことなかれ』 『ミステリ・トランスミッター 謎解きはメッセージの中に』

イラストレーター情報

この項目をレビュー

編集部

くっかは日本のイラストレーター。美しい自然描写とイノセンスな少女の描写に定評がある。イラストを手掛けたラノベは以下。 『ミモザの告白』 『夏へのトンネル、さよならの出口』 『きのうの春で、君を待つ』 『琥珀の秋、0秒の旅』 『恋に至る病』 『終わらない冬、壊れた夢の国』 『夏の終わりに君が死ねば完璧だったから』

編集部

子供の頃から虐待を受けてきた孤独な少女と、彼女を救った小説家の青年の共依存が破綻を来たし、崩壊に至るまでを描いた話。新作が書けなくなった先生のゴーストライターとなり、結果的に彼を超える小説を生み出してしまった事で、両者の断絶が決定的になる展開が切ない。

作品Q&A

合わない人・注意点は? ストーリー
ベストアンサー
初登場時の主人公が小学生、小説家が成人男性なので、二人の関係を恋愛として見ると世間一般のモラルに反する。

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評価されるポイントは? ストーリー
ベストアンサー
【おすすめキャラクター】 '''幕居梓''' 人気小説家・遥川悠真を敬愛する少女。小学生の頃から彼の本を愛読していた。貧困な母子家庭で生まれ育ち、実の母にネグレクトや監禁の虐待を受けていた。のちに深刻なスランプに陥った悠真のゴーストライターを務め、最盛期の彼を凌ぐ人気を獲得する。

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読者の声

読者レビューをもとに AI が要約した内容です。

作品の魅力

  • 毒親・虐待下で育った少女と、スランプに陥った人気小説家の「歪んだ共生関係」が、敬愛から執着・依存へ変質していく過程を丁寧に描いている。
  • 才能の枯渇、創作の苦悩、ゴーストライターとしての関わりなど、「小説を書く人・書いたことがある人」に刺さるリアリティがある。
  • 偶像化された存在への憧れと、その神話が崩れていく悲劇性が、斜線堂有紀作品らしいエモーショナルさとして評価されている。
  • 冒頭から終焉の予感が示され、カウントダウン式に破滅へ向かう緊張感と、読みやすく自然な文体のバランスが好評。
  • 「正しい愛」では救えない関係性や、善意と自己満足の境界が揺らぐテーマ性に、読後も考えさせられる。

こんな人におすすめ

  • 年の差のある青年と少女の、プラトニック寄りで危うい恋愛関係に惹かれる読者。
  • ダークで歪んだラブストーリー、愛憎・嫉妬・妄念が交錯する物語が好きな人。
  • 創作活動、才能とスランプ、作家を描くメタ的なテーマに共感したい人。
  • 小説に救われた経験があり、「崇拝と執着の境目」を問う作品を読みたい人。
  • 『恋に至る病』など同作者の類似作にハマった層。

人を選ぶポイント

  • 幼い主人公と成人の小説家の関係を恋愛として読むと、モラル面で引っかかる。
  • タイトルや冒頭から結末の方向性がほぼ示されるため、サプライズより「どう至るか」の読み方になる。
  • 恋心の進展が速く、事件・捜査パートが後回しに感じる。
  • ラストがベタ・想定通り・消化不良になりやすいと感じる読者もおり、結末の好みが分かれる。
  • 創作者が壊れていく描写や、消耗感の強い関係性に、読む側も疲れる。

テンポ・読後感

  • 前置きなく物語の真ん中に放り込まれるような入り方で、気づけば一気読みになる。
  • 愛の閉塞感・息が詰まる緊張感と、切なくダイレクトなセリフ・内面描写が胸に刺さる。
  • 文章は読みやすく自然で、情景や人物紹介も説明くさくない一方、初期作らしい作り込みの甘さを指摘する声もある。
  • ミステリ・サスペンス要素はあるが、本質は恋愛と創作のテーマにあるという読み方が多い。
  • 読了後にタイトルの意味や余韻が強く残り、再読には勇気が要るほど感情を揺さぶられる。

キャラクターへの評価

  • 幕居梓:毒親に育てられ小説だけが拠り所だった少女の切実さと、献身的・危うい一面が「人間臭い」と評される。
  • 遥川悠真:才能とスランプ、作家としてのアイデンティティへの苦悩がリアルで、小説を書く読者に共感を呼ぶ。
  • 二人の関係:「正しい絆」ではない歪みの中にも、不器用で名付けにくい感情が丁寧に描かれている。
  • 梓の崇拝対象が「神様」から「人間」へ変わる瞬間や、敬愛と依存の線引きの難しさが印象的。
  • 途中登場する守屋など脇役への同情の声もあり、登場人物の選択を簡単には裁けないと感じる読者が多い。

巻一覧

私が大好きな小説家を殺すまで
2018年10月 ISBN 9784049121117
この巻のあらすじ

突如失踪した人気小説家・遥川悠真。その背景には、彼が今まで誰にも明かさなかった少女の存在があった。 遥川悠真の小説を愛する少女・幕居梓は、偶然彼に命を救われたことから奇妙な共生関係を結ぶことになる。しかし、遥川が小説を書けなくなったことで事態は一変する。梓は遥川を救う為に彼のゴーストライターになることを決意するがーー。才能を失った天才小説家と彼を救いたかった少女、そして迎える衝撃のラスト! なぜ梓は最愛の小説家を殺さなければならなかったのか?

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