構造レビュー
星評価
編集部判定 良作
短評・キャッチコピー
編集部
美術部の生徒が校舎から飛び降りて死んだ。彼女の死の真相を調べる変人・由良の目的は?
概要
編集部
柴村仁の代表作として認知された青春ミステリーシリーズ。絵の天才として知られる変人・柴村仁が、学生時代~教師時代に関わったミステリアスな事件の顛末を綴る。
こんな人におすすめ
編集部
青春学園ミステリーが好きな人 絵描きの苦悩や葛藤を追体験したい人 部活ものが好きな人 見事な叙述トリックに引っ掛かりたい人 衝撃のどんでん返しを味わいたい人 美形の変人が探偵を務める話が好きな人
著者情報
編集部
柴村仁は日本のラノベ作家。主に電撃文庫で活動していた。代表作は以下。 『我が家のお稲荷さま。』 『キソ会長シリーズ』 『市シリーズ』 『オコノギくんは人魚ですので』 『E.a.G.』 『ぜふぁがるど』 『4Girls』 『雛鳥トートロジィ』 『虫籠のカガステル』(ノベライズ)
イラストレーター情報
編集部
アスキー・メディアワークス版は也、講談社版は荒川眞生が表紙を担当している。
入手性
編集部
メディアワークス文庫版は刊行年が古く入手困難だが、講談社文庫版は比較的容易に手に入る。
評価点
編集部
【おすすめキャラクター】 '''由良彼方''' 突飛な言動故に変人扱いされている高校生。美術部所属で独特な絵を描く。一種の天才肌で空気が読めない所がある。同じ部活だった吉野彼方の自殺の真相を求め、彼女の墜落の瞬間を目撃したクラスメイト・榎戸川に接近する。双子の兄の名前は宛。
総評
編集部
ある女子生徒の転落死から幕を開ける青春学園ミステリー。推理のロジックや整合性よりもその決断に至った動機面に分け入っていく作風で、切ない持ち味が引き立っていた。本格的な推理物を期待すると微妙だが、少年少女の感情のすれ違いが生むメランコリーな悲劇は、一部の層に確実に刺さる。
ストーリーの説明
編集部
絵がテーマの青春ミステリー。第一弾『プシュケの涙』では由良と同じ美術部の女生徒の自殺の真相が解き明かされる。シリーズ刊行に伴い由良が加齢し、人間関係が柔軟に変化していくのがポイント。焦点が当たるのは殺人事件に限らず、些細な違和感を起点とする、日常の謎の方に比重が傾いている。
キャラクターの説明
編集部
シリーズ名になっている由良の存在感が抜群。出番の少ない巻もあるものの、直接的間接的に登場人物に与えた影響は絶大。彼が『プシュケの涙』で経験した喪失をどうやって埋めていくかが、全編を通しての大きな課題となる。
設定・世界観の説明
編集部
現代日本の学園が舞台。美術部や絵画が重要なファクターとして関わってくる為、絵が好きな読者の琴線に響く。シリーズ内で時間が経過し、初登場時は高校生だった由良は教師になった。
話題性の説明
編集部
一部に根強いファンがいるものの地味な作品な為、話題になったとは言い難い。
初心者向けの説明
編集部
読者の支持を受けシリーズ化したが当初は1巻完結を予定していたので、『プシュケの涙』だけで問題なく読める。アニメ絵に抵抗を感じる人も手に取りやすい綺麗な表紙。登場人物の繊細な心理描写、由良の天才性の描写が刺さる人には刺さる。特に女性に受けそうな作風。
読後感のよさの説明
編集部
事件の真相が判明した所で起きてしまった悲劇は取り消せず、不幸な結末を辿った死者が戻ってくるわけでもない。片割れとも言える存在を失った喪失感と死別後の余生の虚無感が美しく詩的な文章で表現され、哀切な余韻と共に不条理な現実を噛み締めた。
テンポの良さの説明
編集部
普通。『プシュケの涙』以降は後日談の趣が強く、『プシュケの涙』で由良に惚れた読者向け。本格ミステリーを期待すると、事件の種明かしがあっけなさすぎて物足りない。
読みやすさの説明
編集部
色彩の表現にこだわった美しい文章。こまやかな心情描写が切実なまでの共感を呼び起こす。
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