『モノノケ踊りて、絵師が狩る。』は、江戸末期の妖怪絵師・月舟が残した百枚連作の妖怪画を手がかりに、現代の美大生・詩子が怪異の発生源を追う単巻作品です。詩子は月舟の子孫で、日本画を学びながら、散った妖怪画を探して憑きもの落としの家業も担っています。幼なじみの七森が持ち込む絵の情報から、画廊の倉庫火災や所有者の異変、過去の所有履歴がつながり、絵そのものと人の身に起きた出来事が照合されていきます。絵画の来歴をたどる調査と、家に受け継がれた役目が並行するつくりです。
構造レビュー
作品Q&A
読者の声
読者レビューをもとに AI が要約した内容です。
作品の魅力
- 妖怪絵と日本画のモチーフが強く、絵を描く工程や道具の描写まで含めて画面が立つ。
- 京都の季節感や路地裏の空気が効いていて、伝奇ものとしての雰囲気が濃い。
- モノノケ退治だけでなく、先祖から続く因縁や贋作をめぐる話が重なって読み応えがある。
- 詩子と七森の関係が、恋愛未満でも執着や独占欲がにじむ距離感で引き込まれる。
- 祓いの場面や絵が完成していく過程が美しく、余韻のある終わり方が印象に残る。
こんな人におすすめ
- あやかし・伝奇・和風ファンタジーが好きな人。
- 恋愛よりも、幼馴染同士のねじれた関係や執着を楽しみたい人。
- 日本画、絵師、贋作、骨董など美術寄りの題材に惹かれる人。
- しっとりした空気感や、静かな緊張感のある物語を好む人。
- 連作短編やシリーズ化しそうな余地のある作品を追いたい人。
人を選ぶポイント
- モノノケを見られない主人公がどう祓うのか、設定の飲み込みに少し引っかかる部分がある。
- 祓いの場面にスピード感を求めると、やや物足りなく感じる。
- 視点の切り替わりが分かりにくいと感じる読者がいる。
- 時代設定を最初に取り違えやすく、現代舞台だと気づくまで戸惑いやすい。
- 軽快な妖怪活劇を期待すると、重めでストイックな空気に寄る。
テンポ・読後感
- 全体は静かで落ち着いた進行で、薄氷を踏むような緊張感が続く。
- 交流が切れては繋がる関係性が中心で、派手さよりもじわじわ効く切なさがある。
- 画や封印の場面は美しく、京都の風景や日本画の色彩が印象を支える。
- 余韻を残すラストで、続きやシリーズ展開を期待させる手触りが強い。
- 甘さは控えめでも、感情の重さと色気がじわっと残る。
キャラクターへの評価
- 詩子は狂気や執着を自覚しつつ進むタイプで、強さと危うさが同居している。
- 七森は得体の知れなさや掴みどころのなさがあり、視点によって印象が揺れる。
- 二人は幼馴染でありながら、恋人とも相棒とも言い切れない不器用な距離感が魅力。
- 互いを大事にしすぎて踏み込めない関係が、切なさと色気を生んでいる。
- 錺屋や沙耶など脇役も印象がよく、物語の空気をやわらげている。
巻一覧
モノノケ踊りて、絵師が狩る。 —月下鴨川奇譚—
この巻のあらすじ
天才絵師・月舟が描いた絵にはモノノケが棲んでいる。
江戸時代末期の妖怪絵師・月舟が描いた百枚連作の妖怪画には、“本物"が封じ込められているという。 時は流れ、現代。月舟の子孫である詩子は、美大の日本画科に通う学生だが、もうひとつの顔があった。 散逸した月舟の妖怪画を探し、憑きもの落とす家業を継いでいたのだ。 幼い頃から知る青年・七森が持ち込んだ情報によると、月舟の妖怪画のひとつ『ねこまた』を所有する画廊の倉庫で火事が起こったうえに、オーナー自身は足を火で炙られるような痛みを訴えているらしい。 絵をたしかめに画廊を訪れた詩子と七森は、『ねこまた』の以前の所有者は焼死していたという事実を知ることになり……?
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