『黒猫館・続 黒猫館』は、『くりいむレモン』のノベライズとして刊行された、山奥の洋館「黒猫館」を軸にした一冊である。大学生の村上正樹が奇妙な求人に導かれて足を踏み入れる物語と、その30年後に弁護士となった正樹が再び同じ館へ引き寄せられる物語を収め、昭和16年の軍国主義下と昭和45年の高度成長期という二つの時代をまたぐ。冴子、有砂、あやら館の人々との関係が時間差でつながり、閉ざされた館をめぐる出来事と過去の記憶が重なっていく。巻末には“倉田悠子=稲葉真弓”を明かしたエッセイ「私が“覆面作家”だったころ」も収録され、本編と続編、特別収録を合わせて構成されている。
構造レビュー
作品Q&A
読者の声
読者レビューをもとに AI が要約した内容です。
作品の魅力
- 戦前から戦後にかけての空気感が濃く、山奥の洋館という閉じた舞台が強い没入感を生。
- 退廃、耽美、官能が一体になった文体が美しく、想像で補う余白も含めて読ませる。
- 2作を通して、館の外へ出た後の喪失感や追憶まで描く構成が印象に残る。
- 館もの、ゴシック、メイドもの、アダルトアニメノベライズの源流としての存在感が大きい。
- 文章力や構成の完成度を評価する声が目立ち、今読んでも古びにくいと受け止められている。
こんな人におすすめ
- 退廃的な洋館もの、ゴシックホラー、耽美系の雰囲気が好きな人。
- 官能表現そのものより、文体や空気感、余韻を重視して読む人。
- 80〜90年代のサブカル史、ジュブナイルポルノやアダルトアニメの系譜に関心がある人。
- 館の秘密や人物関係のねじれを、ミステリー寄りの感覚で楽しみたい人。
- しっとりした読後感や、過去への追憶が残る作品を求める人。
人を選ぶポイント
- 官能描写が中心で、物語の性質上かなり好みが分かれる。
- 中盤以降の回想や説明が長く感じられ、テンポが落ちると受け取る人がいる。
- 主人公の受け身さや優柔不断さが気になるという反応がある。
- 続編側は幻想味や余韻を評価する一方、まとまりや勢いが弱いと感じる声もある。
- 露骨な刺激より上品さを重視した作風なので、実用性や即物的な展開を期待するとずれる。
テンポ・読後感
- 前半は閉鎖空間の緊張感と甘美さが強く、じわじわ引き込む進み方。
- 文章の密度が高く、退廃的で酩酊感のある読み味。
- 物語が進むほど現実感と幻想味が混ざり、切なさや喪失感が増していく。
- 2冊を通して読むと、無印のまとまりと続編の物悲しさの対比が際立つ。
- 速い展開で押すタイプではなく、雰囲気に浸らせるタイプの作品。
キャラクターへの評価
- 主人公は魅入られやすく受け身で、迷いながら引きずられていく印象。
- 女主人は妖艶で支配的、甘さと怖さを同時にまとった存在として見られている。
- 娘は危うさや不穏さを強める役回りとして印象に残りやすい。
- メイドは従属しつつも感情の揺れがあり、いちばん魅力的だと受け止める声が多い。
- 登場人物それぞれに後悔や喪失がにじみ、単なる官能の枠を超えた余韻を作っている。
巻一覧
この巻のあらすじ
紫綬褒章受章作家・稲葉真弓がかつて「倉田悠子」の別名義で著した、『くりいむレモン』の絶品ノベライズ。今なお色褪せぬ伝説の名作、ここに復活!
日本中が軍国主義に染まった昭和16年。大学生・村上正樹は、奇妙な求人に導かれ、僻遠の山奥に佇む豪奢な洋館 “黒猫館”を訪れる。女主人の冴子とその娘・有砂、メイドのあや。蠱惑的な女たちと織りなす陶酔と頽廃の宴の果てに、正樹を待ち受ける罠とはーー。(『黒猫館』)
高度成長期もピークを迎えた昭和45年。奔放な過去と決別するかのように、正樹は弁護士を生業としていた。しかし、桜の香りに誘われた彼の前へ、あの“黒猫館”がふたたび姿を現し、30年前の倒錯の日々が甘やかによみがえるーー。(『続 黒猫館』)
“倉田悠子=稲葉真弓”を自ら明かしたエッセイ「私が“覆面作家”だったころ」を特別収録! 解説:久我真樹(英国ヴィクトリア朝およびメイド文化研究者)
星評価・感想
構造レビューと同じ星評価・感想欄に保存されます。平均・中央値は上の「構造レビュー」欄に表示されます。 構造レビューを書く
感想を投稿するにはログインしてください。
まだ感想はありません。
