本作は、昭和という時代を舞台にした短編アンソロジーで、戦前・戦中・高度成長期・バブル期へと続く四つの物語を収録している。貿易商の令嬢と異国の血を引く少女の関係、出征前夜の料理に込められた思い、学生運動の時代を背景にした大学生の出会いと別れ、上京した少女の昭和末期の青春など、各編ごとに異なる人物と状況が描かれる。昭和の社会変化の中で生きる人々の視点を通し、時代ごとの暮らしや価値観の違いをたどる構成になっている。単巻完結のアンソロジーとして、複数の作家による昭和題材の物語をまとめて読める。昭和の各時代を切り取った四編で構成される。続編や外伝はなく、この一冊で完結する。
構造レビュー
作品Q&A
読者の声
読者レビューをもとに AI が要約した内容です。
作品の魅力
- 戦前・戦中・学生運動・バブル期まで、昭和の長さと振れ幅を短編で横断できる。
- 一穂ミチ作品を軸に、哀切さや不穏さ、切れ味のある余韻が印象に残る。
- バブル期の描写は、ワンレンやジュリ扇などの小ネタが刺さり、懐かしさが強い。
- 4編それぞれの色が違い、重い題材でも読み口は比較的さらっとしている。
- 初読み作家でも入りやすく、アンソロジーとして全体のまとまりがある。
こんな人におすすめ
- 昭和の空気感や元号ごとの時代差を味わいたい人。
- バブル期の記憶や当時の流行語に反応できる人。
- 一穂ミチの短編を読みたい人、他作家の新規開拓をしたい人。
- 重めの題材でも短編で少しずつ読み進めたい人。
- 懐かしさと切なさが同居する話が好きな人。
人を選ぶポイント
- 戦争を扱う話があり、軽い昭和ノスタルジーだけを期待すると重く感じる。
- 作品によってはラストが不穏で、ほっこり着地を想像すると肩透かしになる。
- 昭和の前提知識があるほど楽しみやすく、世代差で受け取り方が変わる。
- 1編ごとの温度差があるため、好みの作品とそうでない作品が分かれやすい。
- 史実や時代背景の細部に敏感だと、描写の粗さが気になる場合がある。
テンポ・読後感
- 4編とも短く、テンポは軽快で読み進めやすい。
- 全体はしみじみ系だが、ところどころクスッとできる場面が入る。
- バブル編は華やかで賑やか、他の編は切なさや重さが前に出る。
- 物語ごとの温度差はあるが、アンソロジーとしてはゆるく調和している。
- 読後は懐かしさと少しのざらつきが残る。
キャラクターへの評価
- 一穂ミチの人物描写は繊細で、静かな感情の揺れが強く残る。
- バブル編の娘役はツッコミが効いていて、読み手の代弁役として機能している。
- 昭和を生きる母世代や若者たちが、時代の空気に押されながらも印象に残る。
- 学生運動や戦時下の人物は、理不尽さや時代の圧を背負う存在として描かれる。
- 作品ごとに人物像の濃さが異なり、華やかさよりも余韻で印象づける。
巻一覧
この巻のあらすじ
さよなら平成、今こそ昭和。新しい時代の始まりにおくる、昭和小説アンソロジー!
昭和十三年、戦争の足音が聞こえる中、貿易商の令嬢と異国の血を引く少女の間に芽生えた確かな絆(ひずき優「光子と蛍子」)。 戦時中、出征前夜に出される心づくしの料理を求めーーそれに込められた「思い」を求めるあやかし(一穂ミチ「ごしょうばん」)。 昭和四十四年、学生運動には興味がなく、カメラを買うため貧乏生活を送る大学生が経験したほろ苦い出会いと別れ(ゆきた志旗「35mm未満の革命」)。 昭和六十三年、大学進学のために田舎から上京した少女が戸惑いながらも過ごしたバブルな青春(相羽鈴「私はバブルに向いてない」)。
昭和という激動の時代に翻弄され、時に抗い、時に取り残されながらも、ひたむきに生きた人々を描く珠玉の四編。
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