『蛟堂報復録』は、報復屋を営む陰陽道の天才・三輪辰史を中心に、恨みや執着を抱えた人々と怪異の接点を描く現代伝奇連作シリーズ。舞台は現代日本で、結婚詐欺、親子、夫婦、親族の争いなど、身近な人間関係が妖異な案件へ変わっていく。各話は古典や民話の題材を下敷きにしながら、依頼人の事情、報復の理由、怪異の由来を少しずつ重ねる。辰史の祖父・尊や対立する丑雄をめぐる因縁も通り、事件単位の怪異譚と一族の関係が九巻を通してつながっていく。毎巻ごとに個別の事件を扱いながら、報復屋という仕事の成り立ちと、家に連なる過去の重さを段階的に見せる。
構造レビュー
作品Q&A
読者の声
読者レビューをもとに AI が要約した内容です。
作品の魅力
- 童話・昔話・古典を下敷きにした報復譚が多く、元ネタを知っていると展開の見通しとズラし方の両方を楽しめる。
- 依頼者の感情や「業」を軸にした重めのテーマが印象に残り、後味の苦さや虚無感まで含めて読ませる。
- 巻を重ねるほど辰史や三輪家の背景が見えてきて、人物関係や過去の因縁を追う面白さが増す。
- 本編は殺伐としていても、番外編や日常寄りの短編が入る巻では緩急がつき、読み口が少しやわらぐ。
- 一話ごとに依頼人や主役が変わる構成で、気になる題材から手に取りやすい。
こんな人におすすめ
- 報復・因果応報・人の業といった重い題材が好きな人。
- 童話モチーフや怪異譚、オムニバス形式の短編を好む人。
- 主人公の活躍よりも、依頼ごとの人間関係や心理の揺れを読みたい人。
- すっきり解決より、苦さや余韻の残る読後感を受け入れられる人。
- シリーズを追って家族関係や過去の因縁が明かされる流れを楽しめる人。
人を選ぶポイント
- 報復の描写がかなり重く、胸焼けするほど陰鬱に感じる巻がある。
- 主人公の言動が銭ゲバ寄りで、好感を持ちにくいと受け取られやすい。
- 依頼人や周辺人物の心理が浅く見えたり、説明不足に感じたりする箇所がある。
- 展開が先読みしやすい話や、あっさり収束したように見える話もある。
- 登場人物が多く、途中巻から入ると関係整理に少し手間がかかる。
テンポ・読後感
- 1話ごとの短編進行で読みやすい一方、全体の空気は終始ダーク。
- 巻によっては説明が多めで、序盤はややクセのある文体に感じられる。
- 本編は重く殺伐としがちだが、番外編や日常回ではほっとする温度差がある。
- 物語が進むほど人物の葛藤や背景が増え、単純な報復劇から少しずつ厚みが出る。
- すっきり爽快というより、考えさせられる余韻を残すタイプ。
キャラクターへの評価
- 辰史は金に執着する冷淡さと、時折見せる甘さや葛藤の落差が目立つ。
- 主人公らしい活躍が薄いと感じる声がある一方、巻が進むと内面の変化を評価する声もある。
- 比奈は強さや芯のある人物として好意的に受け止められやすく、辰史との関係性も見どころになっている。
- 丑雄は自分の正義を押しつける存在として反発を買いやすく、対立軸として印象が強い。
- 脇役や依頼人は個性が強いが、好きになれる人物が少ないと感じる読者もいる。
巻一覧
この巻のあらすじ
結婚詐欺師は、異様な空間で大蛇と化した女に追われる。女の執念は深く悲しいー「清姫」。傍若無人な高校生は人形との邂逅で何を思うー「ピノッキオ」。男を翻弄し続ける女が辿り着いた、結末ー「赫夜姫」。報復屋を営む陰陽道の天才、三輪辰史が遭遇する三つの怪異譚。アルファポリスミステリー小説大賞大賞受賞作。
この巻のあらすじ
日々に疲れた女は弱いものをいたぶることでしか心を満たすことができなかった。だが、その密かな愉悦は何者かに知られておりー『ジーキル博士とハイド氏』。親友に裏切られた少年は、報復を依頼する。しかし、友人として築き上げた過去までも偽りだったのだろうかー『泣いた赤鬼』。跡継ぎ問題でもめる骨董店。複雑にからみあう人間関係の中、化け猫の呪いが甦るー『怪猫騒動』。報復にかかわる妖しく哀しい人間模様を描いた怪異物語。
この巻のあらすじ
継母に疎まれている彼女は悪夢に苦しめられていた。それは、過去にあった実母の死の記憶。やがて、その夢に隠された真実を知ったとき(『ヘンゼルとグレーテル』)。誘拐された我が子の身を案じる母親。警察の捜査も進展せず、時間だけが過ぎていった。あるとき、母親の前に不思議な男が現れ、和歌を伝える。その和歌が示す意味とは(『隅田川』)。報復屋三輪辰史が晴らせぬ恨みを引き受ける。報復にかかわる妖しく哀しい人間模様を描いた怪異物語。
この巻のあらすじ
雑誌モデルとして活躍し、可愛いと言われ慣れている女子高生。自分は「特別な存在」だと信じる彼女が求めた、自らにふさわしい「特別」な相手は(『サロメ』)。なによりも大切なのは、金。そのためなら夫も娘も捨てる、非情で強欲な女。周囲から恨みを買い続けた彼女の最期は(『かえる取りの女』)。報復にかかわる妖しく哀しい人間模様を描いた怪異物語。
この巻のあらすじ
年老いた母を厄介払いしようとした男に報復を試みた、人ならざるモノ。大切な人のため、そのモノが下した決断は(『姥捨て山』)。酒に飲まれ、重大な過ちを犯した男。大切な部下を、大事な友を失ってなお悪あがきを続ける彼を待つ結末とは(『打金磚』)。自らの欲求の赴くまま、女をだまし、人を欺き、快楽を愛した男がたどり着いた思念世界は(『ドン・ジュアン』)。報復にかかわる妖しく哀しい人間模様を描いた怪異物語。
この巻のあらすじ
連続する宝石店強盗。その最中、蛟堂に当の強盗団から報復依頼が入った。怪しすぎるその内容は、過去に祖父・尊が受けた案件と奇妙に重なって(『罪人は誰か』)。幼い我が子の死には、なにか裏がある…。疑いを持った両親が真相を知るべく持ち込んだ報復依頼。それが、悲劇のはじまりだった(『安達ヶ原』)。報復にかかわる妖しく哀しい人間模様を描いた怪異物語。
この巻のあらすじ
関係の壊れてしまった夫婦。夫から妻、妻から夫への報復が、それぞれ蛟堂へ持ち込まれた。修復不可能な夫婦の悲劇。報復劇の果てに二人を待ち受けていたのは…(「青髭」)。祖父から継いだ報復屋稼業を巡り対決している、辰史と丑雄。二人の仲を改善すべく、太郎が立ち上がった。挑むのは、曾祖父にして孤高の天才異能者・三輪尊を巡る謎の予言…(「邯鄲の夢」)。報復にかかわる妖しく哀しい人間模様を描いた怪異物語。
この巻のあらすじ
かつて辰史も在籍していた大学の周辺で、連続通り魔事件が起きていた。辰史は、知人に頼まれて真相を探る内に、ある一人の孤独な女性に辿り着く(『殺生石』)。双子の兄に殺されかけた弟。彼はなんとか一命を取り留めるが、兄の憎悪は収まらなかった。今もなお、病院に入院している弟の命を狙い続け(『歌う骨』)。報復にかかわる妖しく哀しい人間模様を描いた怪異物語。
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