森博嗣のWWシリーズは、ハギリ、グアト、ロジらが、人工生体技術と知性体の問題に向き合う近未来連作である。人口増加がほぼ止まった社会のなかで、チベットの隔離居住区、フランスの修道院、北極海の海底施設、エジプトの遺跡地下、仮想環境など、管理された空間が次々に現れる。各巻では、生殖技術、保存された知能、通信の断絶、診断情報の漏洩、幽霊の存在をめぐる事案が扱われ、調査と対話を通じて世界の仕組みが少しずつ浮かぶ。シリーズ全体では、研究者、警護役、運用担当者、人工知能が同じ基盤上で動き、生命と情報の境界線を別角度から描き分けていく。
構造レビュー
作品Q&A
読者の声
読者レビューをもとに AI が要約した内容です。
作品の魅力
- 未来社会の制度や倫理を、人工知能・ウォーカロン・ヴァーチャル空間を軸に考えさせる設定が強い。
- 現実と電子世界の境界が揺らぐ感覚が、SFとしての面白さにつながっている。
- 物語の中で提示される概念や会話に、哲学寄りの読み応えがある。
- シリーズをまたいだつながりや固有名詞の回収に、再読したくなる手応えがある。
- グアトとロジの関係性や、さりげないやりとりが作品の温度を上げている。
こんな人におすすめ
- 近未来SFや人工知能ものを、設定の考察込みで楽しみたい人。
- 森博嗣作品の既読者で、シリーズ横断のつながりを追うのが好きな人。
- 事件の派手さより、世界観の構造や思想の変化を味わいたい人。
- キャラクター同士の距離感や、淡い関係性の進展を楽しみたい人。
- 再読しながら伏線や関連作を拾う読み方が合う人。
人を選ぶポイント
- 専門用語や概念が多く、初読では理解が追いつきにくい。
- 物語の説明が淡白で、感情の起伏や強いカタルシスは控えめ。
- シリーズ既読を前提にしたようなつながりが多く、単独だと入り込みづらい。
- 展開は静かで、アクションや事件性を強く求めると物足りない。
- 価値観や世界観が独特で、現実感の薄さに戸惑う場合がある。
テンポ・読後感
- 会話は軽快だが、全体の進み方はじっくりしている。
- 理屈や考察が前面に出て、読み味はクールで硬質。
- 緊迫した場面の合間に、ユーモアや微笑ましさが差し込まれる。
- 世界の仕組みを説明する比重が高く、淡白さと知的興奮が同居する。
- 再読で印象が変わりやすい、噛むほど味が出るタイプ。
キャラクターへの評価
- グアトは不完全さや成長が見えやすく、人間らしさが印象に残る。
- ロジは可愛さや感情の揺れが目立ち、関係性の相手として注目されている。
- 2人の距離感はもどかしいが、信頼や好意の気配が読後感を支えている。
- ウグイやアネバネ、アリスなど、脇役にも芯の強さや独特の存在感がある。
- 真賀田四季や関連人物の気配が出ると、シリーズ全体の広がりを感じさせる。
巻一覧
この巻のあらすじ
チベット、ナクチュ。外界から隔離された特別居住区。ハギリは「人工生体技術に関するシンポジウム」に出席するため、警護のウグイとアネバネと共にチベットを訪れ、その地では今も人間の子供が生まれていることを知る。生殖による人口増加が、限りなくゼロになった今、何故彼らは人を産むことができるのか?圧倒的な未来ヴィジョンに高揚する、知性が紡ぐ生命の物語。
チベット、ナクチュ。外界から隔離された特別居住区。ハギリは「人工生体技術に関するシンポジウム」に出席するため、警護のウグイとアネバネと共にチベットを訪れ、その地では今も人間の子供が生まれていることを知る。生殖による人口増加が、限りなくゼロになった今、何故彼らは人を産むことができるのか? 圧倒的な未来ヴィジョンに高揚する、知性が紡ぐ生命の物語。 プロローグ 第1章 一連の問題 Sequence of matters 第2章 一連の危険 Sequence of crises 第3章 一連の生命 Sequence of lives 第4章 一連の伝承 Sequence of legend エピローグ
この巻のあらすじ
生殖による人口増加が限りなくゼロに近づく中、いまだに子供が産まれている地、チベット・ナクチュ。子供たちの脳波測定のためその地を再訪したハギリは、子供が生まれる理由にある仮説を立てていた。講談社タイガの誇る「Wシリーズ」第三作!
聖地。チベット・ナクチュ特区にある神殿の地下、長い眠りについていた試料の収められた遺跡は、まさに人類の聖地だった。 ハギリはヴォッシュらと、調査のためその峻厳な地を再訪する。ウォーカロン・メーカHIXの研究員に招かれた帰り、トラブルに足止めされたハギリは、聖地以外の遺跡の存在を知らされる。 小さな気づきがもたらす未来。知性が掬い上げる奇跡の物語。 プロローグ 第1章 月下の人々 Sublunary people 第2章 月下の営み Sublunary working 第3章 月下の理智 Sublunary intellect 第4章 月下の眠り Sublunary sleep エピローグ
この巻のあらすじ
祈りの場。フランス西海岸にある古い修道院で生殖可能な一族とスーパ・コンピュータが発見された。施設構造は、ナクチュのものと相似。ヴォッシュ博士は調査に参加し、ハギリを呼び寄せる。 一方、ナクチュの頭脳が再起動。失われていたネットワークの 再構築が開始され、新たにトランスファの存在が明らかになる。 拡大と縮小が織りなす無限。知性が挑発する閃きの物語。 プロローグ 第1章 夢の人々 Dreaming people 第2章 夢の判断 Dreaming estimation 第3章 夢の反転 Dreaming reversal 第4章 夢の結末 Dreaming conclusion エピローグ
この巻のあらすじ
脱走したウォーカロンたちが潜んでいるというアフリカにあるコミューンへやって来たハギリたち。彼らはそこで、新しい生命のあり方を体験する。
富の谷。「行ったが最後、誰も戻ってこない」と言われ、警察も立ち入らない閉ざされた場所。そこにフランスの博覧会から脱走したウォーカロンたちが、潜んでいるという情報を得たハギリは、ウグイ、アネバネと共にアフリカ南端にあるその地を訪問した。 富の谷にある巨大な岩を穿って作られた地下都市で、ハギリらは新しい生のあり方を体験する。知性が提示する実存の物語。 プロローグ 第1章 生きているもの Living things 第2章 生きている卵 Living spawn 第3章 生きている希望 Living hope 第4章 生きている神 Living God エピローグ
この巻のあらすじ
オーロラ。北極基地に設置され、基地の閉鎖後、忘れさられたスーパ・コンピュータ。彼女は海底五千メートルで稼働し続けた。データを集積し、思考を重ね、そしていまジレンマに陥っていた。 放置しておけば暴走の可能性もあるとして、オーロラの停止を依頼されるハギリだが、オーロラとは接触することも出来ない。 孤独な人工知能が描く夢とは。知性が涵養する萌芽の物語。
オーロラ。北極基地に設置され、基地の閉鎖後、忘れさられたスーパ・コンピュータ。彼女は海底五千メートルで稼働し続けた。データを集積し、思考を重ね、そしていまジレンマに陥っていた。 放置しておけば暴走の可能性もあるとして、オーロラの停止を依頼されるハギリだが、オーロラとは接触することも出来ない。 孤独な人工知能が描く夢とは。知性が涵養する萌芽の物語。 プロローグ 第1章 赤い光 Red light 第2章 青い光 Blue light 第3章 白い光 White light 第4章 黒い光 Black light エピローグ
この巻のあらすじ
クローン。法律により禁じられている無性生殖による複製人間。研究者のハギリは、ペガサスというスーパ・コンピュータからパリの万国博覧会から逃亡したウォーカロンには、クローンを産む擬似受胎機能が搭載されていたのではないかという情報を得た。彼らを捜してインドへ赴いたハギリは、自分の三人目の子供について不審を抱く富豪と出会う。知性が喝破する虚構の物語。
クローン。法律により禁じられている無性生殖による複製人間。 研究者のハギリは、ペガサスというスーパ・コンピュータから パリの万国博覧会から逃亡したウォーカロンには、クローンを産 む擬似受胎機能が搭載されていたのではないかという情報を得た。 彼らを捜してインドへ赴いたハギリは、自分の三人目の子供に ついて不審を抱く富豪と出会う。知性が喝破する虚構の物語。 プロローグ 第1章 実験値 Experimental value 第2章 理論値 Theoretical value 第3章 現実値 Practical value 第4章 仮言値 Hypothetical value エピローグ
この巻のあらすじ
イマン。「人間を殺した最初の人工知能」と呼ばれる軍事用AI。電子空間でデボラらの対立勢力と通信の形跡があったイマンの解析に協力するため、ハギリはエジプトに赴く。だが遺跡の地下深くに設置されたイマンには、外部との通信手段はなかった。一方、蘇生に成功したナクチュの冷凍遺体が行方不明に。意識が戻らない「彼」を誘拐する理由とは。知性が抽出する輪環の物語。
イマン。「人間を殺した最初の人工知能」と呼ばれる軍事用AI。 電子空間でデボラらの対立勢力と通信の形跡があったイマンの 解析に協力するため、ハギリはエジプトに赴く。だが遺跡の地下 深くに設置されたイマンには、外部との通信手段はなかった。 一方、蘇生に成功したナクチュの冷凍遺体が行方不明に。意識 が戻らない「彼」を誘拐する理由とは。知性が抽出する輪環の物語。 プロローグ 第1章 血を選ぶ Choosing blood 第2章 死を選ぶ Choosing death 第3章 無を選ぶ Choosing null 第4章 選ばない Not to choose エピローグ
この巻のあらすじ
カイロ発ホノルル行き。エア・アフリカンの旅客機が、乗員乗客200名を乗せたまま消息を絶った。乗客には、日本唯一のウォーカロン・メーカ、イシカワの社長ほか関係者が多数含まれていた。時を同じくして、九州のアソにあるイシカワの開発施設が、武力集団に占拠された。膠着した事態を打開するため、情報局はウグイ、ハギリらを派遣する。知性が追懐する忘却と回帰の物語。
この巻のあらすじ
生殖に関する新しい医療技術。キョートで行われる国際会議の席上、ウォーカロン・メーカの連合組織WHITEは、人口増加に資する研究成果を発表しようとしていた。実用化されれば、多くの利権がWHITEにもたらされる。実行委員であるハギリは、発表を阻止するため、武力介入が行われるという情報を得るのだが。すべての生命への慈愛に満ちた予言。知性が導く受容の物語。
この巻のあらすじ
つねにベストは更新される。 最新WWシリーズ始動!
カタナを帯びた金髪碧眼の戦士、デミアン。 記録上は存在しない特殊兵器。
楽器職人としてドイツに暮らすグアトの元に金髪で碧眼、長身の男が訪れた。日本の古いカタナを背負い、デミアンと名乗る彼は、グアトに「ロイディ」というロボットを探していると語った。 彼は軍事用に開発された特殊ウォーカロンで、プロジェクトが頓挫した際、廃棄を免れて逃走。ドイツ情報局によって追われる存在だった。知性を持った兵器・デミアンは、何を求めるのか?
すべての巻を見る(全16巻)
この巻のあらすじ
アリス・ワールドという仮想空間で起きた突然のシステムダウン。ヴァーチャルに依存する利用者たちは、強制ログアウト後、自殺を図ったり、躰に不調を訴えたりと、社会問題に発展する。 仮想空間を司る人工知能との対話者として選ばれたグアトは、パートナのロジと共に仮想空間へ赴く。そこで彼らを待っていたのは、熊のぬいぐるみを手にしたアリスという名の少女だった。
この巻のあらすじ
国家反逆罪の被疑者であるキャサリン・クーパ博士と彼女の元を訪れていた検事局の八人が、忽然と姿を消した。博士は先天的な疾患のため研究所に作られた無菌ドームから出ることができず、研究所は、人工知能による完璧なセキュリティ下に置かれていた。 消えた九人の謎を探るグアトは、博士は無菌ドーム内で出産し、閉じた世界に母子だけで暮らしていたという情報を得るのだが。
この巻のあらすじ
幽霊が存在するために、死は、必要充分条件か?
触れ合うことも、声を聞くことも、姿を見ることすら出来ない男女の亡霊。許されぬ恋を悲観して心中した二人は、今なお互いを求めて、小高い丘の上にある古い城跡を彷徨っているという。 城壁で言い伝えの幽霊を思わせる男女と遭遇したグアトとロジの元を、幽霊になった男性の弟だという老人が訪ねてきた。彼は、兄・ロベルトが、生存している可能性を探っているというのだが。
この巻のあらすじ
国定自然公園の湖岸で、釣りをしていた男性が襲われ大怪我を負った。同公園内の動物園では、1カ月ほどまえスタッフ一人が殺害され、研究用の動物とその飼育係が行方不明になっていた。 二つの事件以前から、湖岸で正体不明の大型動物が目撃されており、不鮮明ながら映像も存在した。兵器使用を目的とした動物のウォーカロンか? 情報局の依頼を受け、グアトらは動物園へ赴く。
この巻のあらすじ
ヴァーチャル国家・センタメリカが独立した。南米の国や北米の一部も加え一国とする構想で、リアル世界とは全く別の新国家になるという。リアルにおける格差の解消を期待し、移住希望者が殺到。国家間の勢力図も大きく塗り替えられることが予想された。 そんなニュースが報じられるなか、リアル世界で肉体が行方不明になりヴァーチャルから戻れない女性が、グアトに捜索を依頼する。
この巻のあらすじ
ドイツで受けた精密検査でロジに不具合が見つかった。詳しく 調べるため、グアトと共に日本へ帰国。情報局本部に近い病院へ 入院した。そのロジの診断データが、外部に漏洩しているという。 ロジは、まったく未知の新種ウィルスに感染している可能性が あり、何者かがその情報を探っていると思われた。ロジを心配して 病院へ向かうグアトは、そこでロジの姉と称する女性と出会うが。
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