角川ホラー文庫30周年記念として刊行された、京極夏彦による和風伝奇ホラーの単巻作品。舞台は武蔵晴明神社とその周辺で、作事奉行の娘・雪乃の前に現れた「この世に居る筈のない男」をめぐる騒動から物語が始まる。中心人物は、武蔵晴明神社の宮守・中禪寺洲齋で、彼が憑き物落としとして絡み合った因縁と謎を解きほぐしていく。幽霊騒動、家の過去、土地に残る因縁が重なり、怪異の正体と人の事情が並行して描かれる。京極堂の曾祖父にあたる人物を軸にした前史的な位置づけで、シリーズとしてはこの一冊で完結する。各章題は花の名で構成され、怪異譚の連なりとして読める。
構造レビュー
作品Q&A
読者の声
読者レビューをもとに AI が要約した内容です。
作品の魅力
- 京極夏彦らしい怪談とミステリーの混ざり方が強い。
- 彼岸花の異名を章題にした構成や、赤と闇の映像的な美しさが印象に残る。
- 中禅寺家の系譜や『百鬼夜行』『巷説百物語』とのつながりがファン向けの楽しみになっている。
- 短めで会話が多く、京極作品としては読みやすい。
- 舞台化を意識した場面づくりで、歌舞伎のイメージが膨ら。
こんな人におすすめ
- 京極夏彦作品、とくに百鬼夜行シリーズや巷説百物語を読んできた人。
- 怪談の雰囲気と論理でほどくミステリーの両方を味わいたい人。
- 文章量の多い京極作品に構えていたが、まずは短めの一冊から入りたい人。
- 歌舞伎や舞台映えする物語構成に興味がある人。
- 切なさや余韻の強い和風怪異譚が好きな人。
人を選ぶポイント
- 江戸時代の言い回しや台詞回しに慣れるまで少し時間がかかる。
- いつもの京極作品ほどの厚みや情報量を期待すると物足りなさがある。
- 登場人物の掘り下げは控えめで、関係性の深さを求めると薄く感じやすい。
- 真相の出し方が比較的あっさりしていて、大きな驚きを重視する人には弱い。
- 救いの少ない苦さや、後味の切なさが強く残る。
テンポ・読後感
- 文章量はコンパクトで、京極作品としてはかなり軽快に進。
- 台詞の比重が高く、舞台のせりふを追うような読み味がある。
- 幽霊譚の不穏さから、理屈でほどける展開へ流れていく。
- 途中までは怪談色が濃く、終盤は哀しさと虚しさが前に出る。
- 余韻は静かで、すっきりよりもしんみり残る。
キャラクターへの評価
- 中禪寺洲齋は、京極堂の原型を思わせる言葉の切れ味と憑き物落としの手腕がある。
- 京極堂より柔らかい、あるいは優しい印象を受けるが、論理で追い詰める感じは共通している。
- 萩之介は美しさと不穏さをまとった存在として強く印象に残る。
- 雪乃をはじめ、周囲の人物は過去の因縁や秘密に振り回される描かれ方が目立つ。
- 悪人側は時代劇的な分かりやすさがあり、憎々しさが物語を押し進める。
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