探偵の笹峰誓之助が、住職の不貞調査をきっかけに山奥の寺へ向かい、寺と集落に根づく独自の信仰「厖臓宗」を追う伝奇ミステリーです。舞台は外部と隔絶された奥世郷と奥世本護寺で、病気の子を抱える依頼人の妻・受海の事情も物語の出発点になります。笹峰は僧籍に入っていた過去を手がかりに、信仰と隠し事が交差する土地で起きる異変を探ります。物語は宗教的な儀礼、山村の閉鎖性、探偵としての調査を軸に進み、寺院と集落の関係、信仰の実態、笹峰自身の立場をめぐって広がります。単巻の事件から始まり、寺と郷に潜む事情を掘り下げる構成です。続編・外伝・短編の情報はありません。
構造レビュー
作品Q&A
読者の声
読者レビューをもとに AI が要約した内容です。
作品の魅力
- 元僧侶の探偵が山奥の村や寺に入っていく設定が強く、宗教・因習・閉鎖社会の空気が濃い。
- 神仏習合や古い信仰、神道・仏教・キリスト教まで混ざる世界観が独特で、雑学や蘊蓄も含めて読ませる。
- 探偵小説の顔をしつつ、ホラーや怪異、アクション、コメディが入り混じる振れ幅の大きさが印象に残る。
- 事件の謎解き以上に、業や愛、信仰の本質を考えさせる読後感が評価されている。
こんな人におすすめ
- ミステリー一辺倒より、怪異や宗教モチーフのある変化球作品を読みたい人。
- 山村・閉鎖集落・因習ものの不穏さや湿度のある空気が好きな人。
- 豆知識や宗教観の描写を楽しめる人、設定の奇抜さを受け止められる人。
- 事件の解決よりも、テーマ性や読後の余韻を重視する人。
人を選ぶポイント
- 本格ミステリーとしての謎解きを強く期待すると、物足りなさが出やすい。
- 宗教用語や信仰の話が多く、前提知識がないと雰囲気読みになりやすい。
- 舞台や展開がかなりトンデモ寄りで、ジャンル感のズレに戸惑いやすい。
- バイオレンスや不気味さがあり、軽い読み味だけを求めると合わない。
テンポ・読後感
- 展開はサクサク進み、読みやすさはある。
- 尾行、会話、怪異、アクションが次々に出てきて落ち着かない面白さがある。
- 山村の閉塞感と信仰の不穏さが前面に出て、ホラー寄りの空気が強い。
- ふざけたような要素と、刺さる言葉や重いテーマが同居している。
キャラクターへの評価
- 主人公は罪を背負いながらもタフで、優しさや迷いの少なさが目立つ。
- 元探偵・元僧侶という経歴が行動に出ていて、道具や知識を使う場面が印象的。
- 周囲の人物は怪しげな美女や同じ傷を持つ助っ人など、クセの強い配置が多い。
- 敵味方が揺れる集落の人々や、独自の信仰を持つ存在が不気味さを生んでいる。
巻一覧
この巻のあらすじ
探偵・笹峰誓之助は住職の不貞を暴き別れるよう警告するが、
逆に自身の過去をネットにバラまかれ、
探偵会社から自主退職を促されてしまう。
さらに住職は本山に手を回し、依頼人であった妻・受海を
隔絶された山奥の寺――奥世本護寺に異動するよう辞令を出させた。
受海には難病を抱えた一人息子がおり、
大きな病院もない山奥での生活は困難だった。
実の妻と息子への非情な仕打ちに憤った笹峰は、
僧籍に入っていた過去の立場から、
受海の代務者として奧世郷に向かうことになる。
そこで笹峰は、独自の信仰を持つ「厖臓宗」の存在を知らされる。
厖臓宗では「無仏の刻」と呼ばれる時期に
生きたまま聖職者から喉仏を取り出す呪法が存在し、
その信者が潜んでいる奥世郷では、
過去幾度も死者が出ているのだという。
奇しくも今がその「無仏の刻」――。
笹峰は信仰深い郷に紛れ込む異分子、
厖臓宗の正体を暴こうとするのだが――。
建待 吉作(タケマチキッサク):北陸地方の寺院で僧侶をしながら執筆を続ける兼業作家。本作にてデビュー。
平沢 下戸(ヒラサワゲコ):イラストレーター。『戦国小町苦労譚』、『大須路地裏おかまい帖』など書籍の装画を多数担当。
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