『猫の地球儀』は、猫の姿をしたスカイウォーカーとスパイラルダイバーが登場するSF作品で、宣教部隊に狙われる異端者たちの生存と移動を軸に物語が進む。舞台は「地球儀」と呼ばれる場所を目指す世界で、朧が残したロボットと瓶を手がかりに、幽と焔が出会うところから中心の流れが始まる。シリーズ全体では、追われる者としての立場、移動のための装置づくり、そして二人の関係の変化が物語を支える。巻構成としては『焔の章』『幽の章』の2冊でまとまっている。なお、続編・外伝・短編の追加は確認できない。

構造レビュー

編集部判定 良作

ストーリーの良さ S (4) レビュー

理由・補足

編集部

一見ジュブナイルっぽいが中身は意外に重厚でシリアス。個人宗教の対立や種の存続に纏わる、シビアな議論が交わされていく。「トルク」特有の文化風俗や動植物の生態系、猫が機体を組み立て操縦するロボットバトルも見所。

キャラクター S (4) レビュー

理由・補足

編集部

登場するのは猫とアンドロイドのみ。登場人物(?)の猫は皆表情豊かでよく喋る為、猫好きにはたまらない。椎名優の挿絵も相俟って大変可愛らしいのでケモナーにもおすすめ。幽の相棒となる少女型ロボット・クリスマスの、映画や本の台詞を継ぎ接ぎする独特な喋り方も好き。

設定・世界観 S (4) レビュー

理由・補足

編集部

舞台は宇宙に浮かぶコロニー「トルク」。住人は知性を持ち喋る猫たちと労働用のアンドロイドのみで、人類は既に絶滅済み。眼下に見える地球は「地球儀」と名付けられ、「地球儀行き」を目指す異端者・スカイウォーカーを大集会の宣教師が取り締まっている。 スペースオペラ+サイバーパンクが融合した世界。第32回星雲賞日本長編部門最終候補作にノミネートされた。

話題性 A (3) レビュー

理由・補足

編集部

第32回星雲賞日本長編部門最終候補作。『イリヤの空、UFOの夏』の秋山瑞人が法政大学時代に出した同人誌の短編が元ネタ。古い作品だが現在も熱狂的なファンがいる隠れた名作。子供の頃本作を読んで読書の楽しみやSFの魅力に目覚めた人も多い。

初心者向け A (3) レビュー

理由・補足

編集部

文章がくどく専門用語がやや敷居の高さを感じさせるものの、序盤の読み辛ささえ乗り越えれば壮大なスケールの物語に没入できる。登場人物の大半が猫なので猫好きにはおすすめ。少女型アンドロイド・クリスマスのとぼけた話し方も愛おしい。

読後感の良さ B (2) レビュー

理由・補足

編集部

登場人物の死亡や切ない展開も待ち受けている故大団円とは言い難い。「トルク」の問題も山積み。逆に言えばその切なさが癖になる。『イリヤの空、UFOの夏』が楽しめた人なら読んで損はしない。

テンポの良さ A (3) レビュー

理由・補足

編集部

全2巻で手堅く纏まっている。伏線もほぼ回収し終えており、猫たちの大冒険の結末に胸が熱くなった。

読みやすさ S (4) レビュー

理由・補足

編集部

独特の言い回しや比喩がややくどく感じるが、小学校高学年から読める程度。

短評・キャッチコピー

この項目をレビュー

編集部

地球を目指す猫の飛行士とロボっ娘師弟の大冒険

編集部

猫とロボットだけが存在する宇宙コロニー「トルク」を舞台に、スパイラルダイブの王者・焔と地球への脱出を目指す幽、焔に憧れる子猫・楽が決死の冒険に挑む。

こんな人におすすめ

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編集部

猫が好きな人 アンドロイドが好きな人 熱血ロボットバトルが好きな人 タブーを犯しても叶えたい夢がある人

  • AI分析(あらすじ)

    - 異端者が追われる社会設定に関心がある人 - 猫の姿をした人物が中心のSFを読みたい人 - 到達目標のある移動劇や対決構成が好きな人

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編集部

秋山瑞人は日本のラノベ作家。『イリヤの空、UFOの夏』はSFラノベの傑作。主に電撃文庫で活動していた。代表作は以下。 * E.G.コンバット(1998年6月 - 電撃文庫 既刊3巻) * 鉄コミュニケイション(1998年10月 - 1999年3月 電撃文庫 全2巻) * ミナミノミナミノ(2005年1月 - 電撃文庫 既刊1巻) * 龍盤七朝 DRAGONBUSTER(2008年5月 - 電撃文庫 既刊2巻)

イラストレーター情報

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編集部

椎名優は日本のイラストレーター。様々なラノベのイラストを手掛けている。代表作は以下。 月と貴女に花束を(志村一矢著、電撃文庫) エンジェル・ハウリング(秋田禎信著、富士見ファンタジア文庫) なずな姫様SOS(阿智太郎著、電撃文庫) 麒麟は一途に恋をする(志村一矢著、電撃文庫) ダークエルフの口づけ(川人忠明著、富士見ファンタジア文庫) 紅牙のルビーウルフ(淡路帆希著、富士見ファンタジア文庫) モーフィアスの教室(三上延著、電撃文庫) メガロ・オーファン(若木未生著、角川ビーンズ文庫) ユーフォリ・テクニカ ~王立技術院物語~(定金伸治著、C★NOVELSファンタジア) サクラダリセット(河野裕著、角川スニーカー文庫) 偽りのドラグーン(三上延著、電撃文庫) ベイビー、グッドモーニング(河野裕著、角川スニーカー文庫) あじさいの季節に僕らは感応する(志茂文彦著、ファミ通文庫) スライムなダンジョンから天下をとろうと思う。(再藤著、アース・スターノベル) 男なら一国一城の主を目指さなきゃね(三度笠著、FUJIMI SHOBO NOVELS) 自殺するには向かない季節(海老名龍人著、講談社ラノベ文庫) ウォーター&ビスケットのテーマ(河野裕・河端ジュン一共著、角川スニーカー文庫) いつかのクリスマスの日、きみは時の果てに消えて(瀬尾つかさ著、ファミ通文庫) 異世界転生して生産スキルのカンスト目指します!(渡琉兎著、ドラゴンノベルス) 本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~(香月美夜、TOブックス)

編集部

個性的な猫たちが縦横無尽に暴れ回る異色スペースオペラ。猫好きアンドロイド好きロボット好きにおすすめ。小学生の頃に本作に触れて作者のファンになった者も多く、老若男女問わず虜にするエッセンスが凝縮されている。

作品Q&A

合わない人・注意点は? ストーリー
ベストアンサー
文章が固め。萌え系美少女ヒロインなどは登場せず、ストイックな作風は好みが分かれる。

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評価されるポイントは? ストーリー
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細部まで作り込まれた壮大な世界観に夢中になる。登場人物の大半は愛くるしい猫たちだが、価値観の衝突や異端狩りに等しい宗教裁判の横行など、現実社会の縮図めいたシビアなテーマも扱っている。幽とクリスマスの間に芽生えたイノセンスな師弟愛、種族を超えたピュアな友情に感動。 キャラクターの葛藤と成長が感じられる、ジュブナイルな冒険物語としてもおすすめ。男の子のロマンが詰まっている。 【おすすめキャラクター】 '''クリスマス''' 幽の相棒となる少女型ロボット。先代スカイウォーカー・朧の研究成果を守り、次代のスカイウォーカー出現を長い歳月待ち続けていた。映画やドラマのセリフ、天気予報を引用して話す。猫と意思疎通のズレが生じても天然全開な愛敬で何とかする、すっとぼけた所がカワイイ。

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どんなテーマ・ジャンル? ストーリー
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2000年代のSFラノベの隠れた名作。猫とアンドロイド好きに猛烈に勧めたい。夜と霧の世界「トルク」の閉塞感や、夢に賭ける猫たちの情熱が伝わってきた。

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読者の声

読者レビューをもとに AI が要約した内容です。

作品の魅力

  • 人工衛星トルク上の猫文明と、宗教と科学の相克を描いたハードSFとして高く評価される声が多い。
  • 地動説や異端審問を想起させるテーマ設定に、「知の再発見」SFとしての深みを感じる。
  • ロボットバトルや決闘競技の描写に疾走感があり、熱さを感じる。
  • 夢を追い続けることの厳しさや儚さを描いた物語性に、読後の余韻や再読したくなる魅力がある。
  • 表紙の印象と裏腹な、作り込まれた世界観に引き込まれる。

こんな人におすすめ

  • 秋山瑞人作品の入門として、2巻完結で手に取りやすい。
  • 猫が好き、SF(特に天文・宇宙系)が好きな読者向け。
  • ロボットバトルやバディ物、熱血な競技描写が好きな読者。
  • 宗教と科学、夢と現実の葛藤を楽しめる読者。
  • 本作が合えば「イリヤの空UFOの夏」「EGコンバット」など作者の他作へ進みたい。

人を選ぶポイント

  • 独自用語の解説が少なく、初読は難解・消化不良になりやすい。
  • 視点の移動や淡々とした文体で、読みにくいと感じる読者もいる。
  • 上巻は設定説明に割かれ、物語の推進が弱く感じられる。
  • 表紙・あらすじと内容のギャップで、期待とズレることがある。
  • 夢を追うテーマの重さや終盤の辛さから、軽い読み物ではない。

テンポ・読後感

  • 上巻は助走・設定説明色が強く、下巻から本格加速する。
  • 2巻完結でコンパクトだが、上巻単体では全体像が掴みにくい。
  • ハードSFの手口と少年漫画的バトルが同居し、ノリは読みやすい面もある。
  • 後半で説明が増え、再読すると理解が深まる。
  • 終盤は感情を揺さぶる展開になり、切なく重い余韻が残る。

キャラクターへの評価

  • 地球を目指す幽の執念と、それでも応援したくなる姿が印象的だ。
  • 決闘競技に身を投じる焔への共感や、強く好まれる。
  • 少女型ロボット・クリスマスの天然な言動や引用セリフが愛されている。
  • 幽と焔の友情や、交差するそれぞれの「自分の話」としての関係性に心を動かされる。
  • 楽など周囲のキャラクターにも感情移入しやすい。

巻一覧

猫の地球儀 焔の章
2000年1月 ISBN 4840213887
この巻のあらすじ

スカイウォーカーであるというだけで宣教部隊に殺される時代。三十六番目のスカイウォーカー朧が残したロボットと彼の人生が詰まった瓶を拾ったのは、朧の予言通り、三十七番目のスカイウォーカー幽でその幽は一匹のちっぽけな猫だった。史上最強の多爾袞・班は過去の四年に渡りスパイラルダイバーの頂点に君臨し続け、班に挑戦することはすなわち、死であるといわれたその班に勝利したのは二千五百三十三番のスパイラルダイバー焔でその焔は一匹のやせた白猫だった。そんな幽と焔が出会ったとき物語は始まる。

猫の地球儀 その2 幽の章
2000年4月 ISBN 4840214875
この巻のあらすじ

大集会の手によって抹殺され続けてきた異端者-スカイウォーカー。その三十七番目の黒猫、幽も大気圏突入可能なポッドを自ら設計し地球儀を目指している。いよいよ、長年の夢を実現するとき。しかしその前に済まさなければならないことがあった。生き残るために利用した友人-焔との決着をつける必要があったのである。スカイウォーカー幽と最強のスパイラルダイバー焔。ふたりが激突したとき-。そして果たして幽は地球儀にたどり着けることが出来るのか?

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