大和王権が成立して間もない古代日本・淡海を舞台に、複雑な生い立ちで周囲から疎外されてきた少女・真秀が、佐保の血と霊力をめぐる争いに巻き込まれていく古代転生ファンタジー。病の母と霊力を持つ兄を支えながら暮らしていた真秀は、王権や豪族の思惑、血筋への偏見、神夢に示される過去の因縁の中で、自分の立場と家族を守る道を探していく。真秀と佐保彦の関係を軸に、淡海から大和全体へと争いと人物関係が広がっていく。初潮や月の忌屋、墳墓、巫王の血など古代社会の制度や禁忌も物語を動かし、真秀・真澄・御影をめぐる家族の問題と、佐保一族や息長、大和豪族の駆け引きが重なっていく。霊威をめぐる戦いと、恋愛感情や憎しみが絡む関係線が、古代の政治争乱の中で並行して進む。
構造レビュー
作品Q&A
読者の声
読者レビューをもとに AI が要約した内容です。
作品の魅力
- 古代日本の空気感と神話・古事記モチーフが濃く、歴史ものとしてもファンタジーとしても独自性が強い。
- 文体や表現の美しさ、地の文の端正さを評価する声が目立つ。
- 真秀を中心に、理不尽な状況でも踏ん張る人物像や成長の手触りが印象に残りやすい。
- 章ごとに人間関係や勢力図が動き、恋愛・政治・霊力が絡む重層的な展開が読みどころになっている。
- 復刊や再読で世界観の稀少さに気づき、古代史や万葉集への興味につながった読者もいる。
こんな人におすすめ
- 古代日本や神話ベースの物語が好きな人。
- じっくり読む長編や、人物関係の積み重ねを楽しめる人。
- 少女小説らしい情感と、硬質な歴史ファンタジーの両方を求める人。
- 強い主人公が苦境の中でどう動くかを追いたい人。
- 未完でも作品世界そのものを味わいたい人。
人を選ぶポイント
- 進行はかなりゆっくりで、序章の印象が強いまま巻を重ねる構成。
- 未完のため、物語の大きな回収や先の展開を最後まで見届けられない。
- 人間関係の軋みや、重めの感情・過酷な出来事が多く、気軽さは薄い。
- 一部の人物に強い苦手意識が出やすく、好悪が分かれやすい。
- 三人称や地の文の運びが合わず、読みづらさを感じる読者もいる。
テンポ・読後感
- 静かに始まり、巻が進むほど駆け引きと緊張感が増していく。
- 派手な即展開より、状況整理と関係変化を積み上げるタイプ。
- しっとりした美しさの中に、容赦のない厳しさや切なさが混じる。
- 物語の熱量は高いが、テンポ自体は重厚でじっくりめ。
- 読後感は「続きが欲しい」「ここで止まるのが惜しい」が強く残る。
キャラクターへの評価
- 真秀は、巻を通して芯の強さと諦めない粘りが印象的。
- 佐保彦は、冷たさや危うさと、決断力や成長の両面で見られている。
- 真若王は、好意と不快感が同時に語られやすく、評価が割れやすい。
- 真澄や御影、周辺人物も含めて、兄妹や一族の結びつきが物語の軸として受け止められている。
- 敵味方が単純に割れず、誰にも事情があるところが人物像の厚みにつながっている。
巻一覧
すべての巻を見る(全19巻)
この巻のあらすじ
『なんて素敵にジャパネスク』などで一世を風靡し、多くの読者たちを魅了した氷室冴子。その90年代初頭にヒットした伝説の大河シリーズ『銀の海 金の大地』(【真秀の章】全11巻)を復刊! カバーイラストは、コバルト文庫版で装画を担当した飯田晴子による描きおろし。 巻末には氷室冴子ゆかりの作家・文筆家たちによる解説が収録される。
舞台は大和王権が成立してまもない古代日本、湖(ウミ)の国・淡海(おうみ)。14歳少女・真秀(まほ)は、複雑な生い立ちゆえ疎外されていたが、病で寝たきりの母と、目も耳も不自由だが不思議な霊力をもつ兄とともに気丈に生きていた。やがて彼女は自身に流れる巫王の一族「佐保」の血のため、時代の争乱に巻き込まれていくのだがーー!?
「古事記」を愛した氷室冴子が全力をかけて綴った、息もつかせぬ怒濤の物語を再びーー!!
巻末解説:嵯峨景子
この巻のあらすじ
「好きな人のためなら死ぬわーー」 「おねがいだから、あたしたちをそっとしておいて!」 真秀の願いむなしく、運命の輪は残酷にも回りはじめてーー 氷室冴子が全身全霊をこめて綴った、伝説の古代転生ファンタジー、怒濤の第2巻!
初潮を迎えた真秀は「月の忌屋」に籠められた。十日後、ようやく外界へ戻った真秀は、真若王や息長の男たちの邪な視線に晒されることになる。絶対絶命の真秀の危機を救おうとする真澄に、おそるべき霊力が目覚めーー。必死に逃れようとする真秀の前に現れたのは、ずっと焦がれていた同族「佐保」の若き王子・佐保彦だった。しかし佐保彦は真秀が御影の子と知るや「滅びの子」と罵り鞭打って…次々と襲う、苛酷すぎる運命に真秀はどう立ち向かうのかーー?
巻末解説:夢枕獏
この巻のあらすじ
真秀がみた神夢ーー。 それは血塗られた過去であり、母・御影の優しく悲しい初夏の記憶・・・ 愛と憎しみ渦巻く古代ファンタジー、ますます加速する第3巻!
大王の使者として息長を訪れた佐保彦から「滅びの子」と詰られ昏倒した真秀は、若き日の日子坐がなした恐るべき陰謀、そして日子坐と母・御影の出会いを神夢にみる。目覚めた真秀の前に現れたのは、佐保彦の伴人・速穂児だった。速穂児によって佐保の人々が自分のことも御影のことも、兄・真澄のことも疎んじていると思い知らされた真秀は、衝動的に佐保彦のもとへ走るが、かえって激しい憎悪を浴びせられる。打ちひしがれ、我を失った真秀を抱き上げたのは、美知主の弟であり、息長の首長である真若王だった。だがそれは、真秀を救うためではなく…!? 果てしない憎しみの連鎖に囚われ、互いを憎まざるを得ない真秀と佐保彦。 なのにどうして、あたしは彼を憎みきれない!? 真秀の心は千々に乱れてーー?
巻末解説:町田そのこ
この巻のあらすじ
真澄と御影のため薬草を採りに出た草原で、真秀は刺青をした謎の男に捕らえられた。彼の名は波美王。暗殺を生業とする闇の狩人だった。彼は、真秀の佐保彦への思いを「禍つ恋」だと忠告して姿を消す。一方、佐保彦の参謀・燿目は、佐保彦の命に従い、「滅びの子」である真秀たち三人を殺そうとしていた。突然燃え上がる炎に襲われた真秀と真澄。それを見た佐保彦は…!?
巻末解説:佐原ひかり
この巻のあらすじ
佐保彦の腹心・燿目が、真澄の霊力をその身に受け、無惨に焼け死んだ。 真秀は燿目を死なせたのは自分だと我が身を責めて苦しんでいた。 そんな彼女に近づいてきたのは、新たな佐保彦の伴人・月眉児。 彼女のたおやかな容姿と優しい言葉に真秀は慰められ、その幻影を生む力が燿目と再会させてくれたことで、月眉児に心を許そうとする。だが、それは月眉児の企みだった。 策謀を見破った波美王の手で、真秀はその場から助け出される。だが、波美王は突然真秀を息長から連れ去ってしまう……何者かが、波美の一族に真秀の誘拐を依頼していたのだ。 真秀が誘拐されたことを知った美知主らは、水面下で新たな駆け引きを始める。 一方、淡海に留まる佐保彦のもとには、真秀を誘拐した犯人から、真秀の命をかけたある伝言が届けられてーー!?
巻末解説:青山美智子
この巻のあらすじ
何者かの「請負」によって波美王の手で攫われ、拘束された真秀。 誰が、何のために自分を攫わせたのか。依頼主の目的がわからず混乱する真秀の前に、依頼主の妹・小由流が現われ真秀をかばいつつ、佐保彦が早急に息長を去れば真秀の命は守られること、そして佐保彦は真秀を救ってくれるに違いないーーと慰めの言葉をかける。
だが、佐保彦は自分を愛してなどいない。それどころか憎んでいる。 誰にも頼らず己の力で事態を切り抜けようとする真秀は、囚われの館から必死に逃げ出そうとするが、小由流とともにある墳墓の中に閉じこめられてしまう。 閉じられた空間の中で互いを励まし合いながら、真秀と小由流は少しずつ友情を育んでいくのだが……。
一方、息長では、美知主の数ある娘の中でもっとも美しいとされ、佐保彦と妻合わせるために呼ばれたといわれる歌凝姫が須久泥王と再会していた。かつて恋人同士だった二人の胸に去来するものは…?
命とは、恋とは。 いくつもの思いが交錯するなか、佐保一族を利用しようとする大和豪族たちの駆け引きが、さらに激化しーー。
加速する物語はついに後半戦へーー! 真秀の生きる力が爆発するーーー!
巻末解説:高瀬隼子
この巻のあらすじ
「滅びの子」である真秀を憎んでいたはずの佐保彦。 だが彼は、真秀の命を救うため、淡海を後にしようと決断していた。同じ頃、美知主の捜索により、真秀をさらわせた人物が判明。真秀は無事に救出され、美しい歌凝姫への妄執から、真秀の誘拐を企てた穴太の邑長・忍人は惨殺された。
その頃、佐保から野洲へ、早馬が訪れていた。 現われたのは、佐保の長老・穂波。霊力を失っていたはずの大闇見戸売が未来を予言し、その事実を確かめるために淡海へ来たという。さらに、佐保彦の未来について、本人にも伏せられていたある「占」があったという事実を穂波から告げられ、兄夏や速穂児らは色めき立つが……。
佐保彦が間もなく淡海を後にすると知り、自分を救うため決断してくれた彼に、真秀は初めて自分の想いを告げる。 しかしそのとき、ともに苦境を乗り越えた小由流が、愛する兄・忍人をそそのかした歌凝姫に復讐しようとする姿を目にしてしまう。真秀は必死に小由流を止めようとするがーー!?
衝撃の展開に息つく間もない……! 古代転生ファンタジーはさらなる高みへーー!
巻末解説:平戸萌
この巻のあらすじ
真澄に続き、真秀までもが強大な霊力に目覚めてしまった…! それを知った美知主は、真秀たちを淡海から出すまいと配下に命令するとともに、佐保の一族を息長の手中に取り込むべく、佐保彦にある「交渉」を持ち掛ける。 脅しにも似たその言葉に佐保彦は何と答えるべきが逡巡し… そして真秀は、真澄、御影を連れて、淡海を旅立つ覚悟を決めて…!
一方、大和国中では、伊久米の大王に嫁いだ美知主の大姫・氷葉洲姫が、大王の子を身籠もりつつ、悶々とした日々を過ごしていた。その煩悶の訳は、美しい異母妹・歌凝姫。淡海から突然やってきた妹が、あるいは他の美しい女たちが、夫である大王の心をとらえるのではないかと危惧した氷葉州姫は、あることを企む。己の言葉が、大和国内に嵐を呼ぶことを知らぬままにーー。
氷室冴子が全力で書いた伝説の古代転生ファンタジー、疾風怒濤の物語は次なる高みへーーー!
巻末解説:前田珠子
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