『あやし絵刺繍幻燈譚』は、古寺織物に勤める原画師の早苗と刺繍師の瑞穂を中心にした和風伝奇。性格も見た目も正反対の兄弟が、人にとり憑いているという刺繍の検分を依頼され、一族に伝わる刺繍の秘術を手がかりに異変へ向き合う。物語は、織物と刺繍を扱う仕事場を土台に、図柄や糸に起きた違和感を見極めながら依頼の背景を探る形で進む。兄弟それぞれの担当と視点が分かれ、仕事と秘術、工房の日常と怪異の気配が重なる構成になっている。依頼の対象は刺繍そのものに結びついており、職人仕事と超常の処理が近い距離で扱われる。あらすじでは、工房に持ち込まれた案件を起点に、道具や意匠に残る違和感を追う流れが示される。兄弟の役割分担と、刺繍を媒介にした検分が作品の入口になっている。

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    和風伝奇、工房や職人仕事、怪異の検分ものに興味がある人。

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作品の魅力

  • 明治初期の織物・刺繍・職人文化が細かく描かれ、普段なじみのない世界を覗ける。
  • 原画師の兄と刺繍師の弟という組み合わせが新鮮で、兄弟の関係性に惹かれる。
  • 能や浄瑠璃、古典伝承などを絡めた和風ファンタジーとしての広がりがある。
  • 刺繍そのものへの熱量が強く、技や意匠の描写に引き込まれる。
  • 伝統工芸や日本文化への敬意が感じられ、資料的な面白さもある。

こんな人におすすめ

  • 明治時代の風俗や文明開化期の空気感が好きな人。
  • 刺繍、織物、和の手仕事を題材にした物語を読みたい人。
  • 兄弟バディものや、職人同士の関係性に惹かれる人。
  • 伝承、怪異、古典芸能を混ぜた和風ファンタジーが好みの人。
  • 作品世界の設定や文化背景をじっくり味わいたい人。

人を選ぶポイント

  • 説明や要素が多く、全体が詰め込み気味に感じられる。
  • 場面転換や人物の会話が分かりづらく、流れに乗りにくい箇所がある。
  • 登場人物の口調が現代的に響き、時代感が途切れることがある。
  • キャラクターの掘り下げや脇役の活かし方に物足りなさが残る。
  • 刺繍や工芸の描写が細かいぶん、イメージしにくい人には読みづらい。

テンポ・読後感

  • 文化や技術の描写は濃いが、物語運びはやや説明寄りで密度が高い。
  • 事件や設定が次々に入るため、落ち着いて読むというより情報量で押してくる。
  • 和の雰囲気、明治の空気、怪しさが混ざった独特の味わいがある。
  • 物語の勢いはある一方で、整理の甘さや唐突さが気になる場面もある。
  • 読後感は、面白さと惜しさが同居するタイプ。

キャラクターへの評価

  • 早苗と瑞穂の兄弟設定が印象に残り、関係性をもっと見たくなる。
  • 瑞穂は刺繍への思いが強い反面、口調や振る舞いに好みが分かれる。
  • 早苗は巻き込まれ役として動くが、行動の説得力に物足りなさが出ることがある。
  • 駒子は最初の印象より好感を持たれやすく、印象が変わるキャラ。
  • 兼高や兵庫など脇役は、もっと活躍や掘り下げが欲しいと受け止められている。

巻一覧

あやし絵刺繍幻燈譚
2015年6月 ISBN 9784040706511
この巻のあらすじ

古寺織物に勤める原画師の早苗と刺繍師の瑞穂は、性格も見た目も正反対の兄弟。二人はある日、人にとり憑いているという刺繍の検分を依頼される。一族に伝わる刺繍の「秘術」で事件を解決しようとする二人だが……

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