人が死ぬと“異界”に落ち、未練を残した魂は異形となって現世へ戻るというルールを軸にしたサイコミステリー。失踪中の兄から届いた手紙を受け取った霧崎唯人は、深夜の駅で起きた少女失踪、オフィス街での乗客失踪、異界使いの連続殺害など、別々に見える事件を追う中で、現世と異界をつなぐ扉や通過儀式、グリムザールと呼ばれる者たちの存在に触れていく。兄の行方と事件のつながりを手がかりに、死後の世界の仕組みと闇側の事情が少しずつ明かされ、境界の向こうで何が起きているのかが物語の軸になる。
構造レビュー
作品Q&A
読者の声
読者レビューをもとに AI が要約した内容です。
作品の魅力
- 異界侵食を軸にしたサイコホラー/サイコミステリーで、和風の湿り気ある不気味さと洋風モンスターパニックが混在する世界観。
- グロテスクで陰惨な空気感と、甘すぎず厳しすぎないバイオレンスのバランスが評価されている。
- 「正しさ」の相対性や、視点の違いから生じるすれ違いといった思想性が物語の核として機能している。
- 序盤の不気味な導入や、終盤の歪んだ展開・伏線回収が期待を裏切る面白さとして挙がる。
- レンタル・フルムーン著者の受賞デビュー作として、ライトノベル枠を超えたハードな完成度。
こんな人におすすめ
- ダークファンタジー/ホラー系の空気感や設定の使い方を重視する読者。
- 異界物・怪異トラブル・探偵事務所など、超常ミステリーとバトル要素の両方を楽しめる読者。
- 下層社会の退廃描写や刺激の強い演出を許容できる読者。
- 主人公が物語の中心に立たない、やや変則的な構成にも抵抗がない読者。
- 著者の他作(『夜蝶の檻』『好きと嫌いのあいだに〜』など)から入る読者。
人を選ぶポイント
- 冒頭の骨砕きなど、読む覚悟を要するグロテスク描写がある。
- 良識派には刺激が強く、電撃文庫の枠からは想像しにくい暗さ・下品さがある。
- 会話が作り物めきてイライラする、キャラが物語を進めるために喋らされていると感じる読者もいる。
- 1巻はプロローグ的で主人公の活躍が少なく、ミステリー要素だけでは物足りない可能性がある。
- 設定の詰め込みや強引さ、クライマックス部分の構成に違和感を覚える声もある。
テンポ・読後感
- 全体としてはさくさく読める軽さがあり、ノワール調の冒頭からは想定よりライト寄りだ。
- 扉を叩く夜の不気味さや、異界へ引き込まれる導入のおどろおどろしさが強い。
- 西部劇的な登場人物像や、洋画を見ているような皮肉だらけの掛け合いが随所にある。
- 主人公不在に近い構成や、終盤の異常な歪みで展開が一変する読み味。
- 好きではないのに心惹かれる、全体としては引き込まれる不思議な余韻。
キャラクターへの評価
- 霧崎唯人は兄の手紙をきっかけに異界と異界使いの世界へ踏み込むが、才能はあるものの恐怖や負の感情に押されヘタレ気味。
- 反翼の魔女は圧倒的な強さで物語を牽引し、裏主人公的な存在感と過去描写が印象に残る。
- 探偵事務所の面々や、汚い言葉遣いと毒舌が特徴的なノイン、薬中毒の秋雨との掛け合いがユーモアの核。
- ヒロインは秘め事を見られ心を閉ざすなど、人間関係のすれ違いが感情線を形作る。
- 「君を守る」「お前がいるから私は生きていける」など、守る/生きるをめぐる台詞が人物像を象徴する。
巻一覧
この巻のあらすじ
深夜の駅。 人気のないコインロッカー。 そこで一人の少女が闇に引きずり込まれ姿を消した――。 人は死ぬと “異界” に落ちる。 それがこの世界のルール。 だが、未練を残して “異界” に落ちた魂は、異形の姿となり現世に戻り、世界の侵食を引き起こす。 失踪中の兄から届いた手紙により、世界のバランスを保つ “異界使い” の存在を知った霧崎唯人。 兄の行方と少女の失踪の謎を追う内に出会う、“闇” の世界。 狩る者と狩られるモノ―― 狂気に満ちた饗宴の後に、暴かれる真実とは……。 深紅の悲しみに彩られたサイコミステリー。
この巻のあらすじ
夜に紛れ、彼らは静かに扉を叩く。耳を傾けてはいけない。その声は、心を惑わせるから。決して、開けてはいけない。その手が差し出すのは、悲劇だけだから。彼らの名は『グリムザール』――異界の深淵を覗く者。 今夜もまた誰かが扉を開き、悲劇が一つ落とされた。 とあるオフィス街で起こったエレベーター乗客失踪事件。そして、その裏側で次々と殺害される“異界使い”たち……。 二つの事件が交錯し、異界の深淵へと至る通過儀式が始まる時、“反翼の魔女”が再び降臨する!
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