構造レビュー
星評価
編集部判定 判定なし
短評・キャッチコピー
編集部
自身をハムレットと思い込んだ狂人はシェイクスピアの夢を見るか?
概要
編集部
久生十蘭の短篇『刺客』『ハムレット』を大胆に翻案した思考実験的ライトノベル。演劇中の事故で自身をハムレットと思い込むようになったコマツアリサと、様々な動機や目的を秘め、彼の城を訪れた人々のドラマが交錯する。
著者情報
編集部
樺山三英は日本の小説家。主にSFファンタジーを手掛けている。ラノベは本作が初挑戦。
イラストレーター情報
編集部
竹岡美穂は日本のイラストレーター。妹はラノベ作家の竹岡葉月。イラストを手掛けたラノベは以下。 * ウォーターソング(著:竹岡葉月 / 集英社 / コバルト文庫) * 丘の家のミッキー 新装版(著:久美沙織 / 集英社 / コバルト文庫) * アリスシリーズ 新装版(著:田中雅美 / 集英社 / コバルト文庫) * さよなら月の船(著:片山奈保子 / 集英社 / コバルト文庫) * アクエルタルハ 1 - 3(著:風野潮 / ジャイブ / カラフル文庫) * 千年の時をこえて シリーズ(著:沢村凜 / 学研 / エンタティーン倶楽部) * ぴよぴよキングダム(著:木村航 / メディアファクトリー / MF文庫J) * “文学少女シリーズ”シリーズ(著:野村美月 / エンターブレイン / ファミ通文庫) * 黄昏色の詠使い(著:細音啓 / 富士見書房 / 富士見ファンタジア文庫) * 狩野俊介シリーズ 文庫版(著:太田忠司 / 東京創元社 / 創元推理文庫) * スワロウテイルシリーズ(著:籘真千歳 / 早川書房 / ハヤカワ文庫) * Θ 11番ホームの妖精シリーズ(著:籘真千歳 / 早川書房 / ハヤカワ文庫) * ほしのこえ The voices of a distant star(原作:新海誠 / 著:大場惑 / メディアファクトリー / MF文庫ダ・ヴィンチ) * ヒカルが地球にいたころ……(著:野村美月 / エンターブレイン / ファミ通文庫) * 本の怪談シリーズ(著:緑川聖司 / ポプラ社 / ポプラポケット文庫) * 『幸福論』(著:アラン / 訳:石川湧 / 角川学芸出版 / 角川ソフィア文庫) * ロスト・グレイの静かな夜明け(著:野村行央 / 集英社 / コバルト文庫) * 改訂版 センター試験 地理Bの点数が面白いほどとれる本(著:瀬川聡 / KADOKAWA・中経出版) * 八木澤菊乃の遺言(著:飯田雪子 / ティー・オーエンタテインメント / TO文庫) * 吸血鬼になったキミは永遠の愛をはじめる(著:野村美月 / エンターブレイン / ファミ通文庫) * 陸と千星 〜世界を配る少年と別荘の少女(著:野村美月 / エンターブレイン / ファミ通文庫) * ウソつきたちのクリスマス(著:みうらかれん / NHKオンライン / オトナヘNovel) * TROUBLE-A Part1・足りない言葉(著:みうらかれん / NHKオンライン / オトナヘNovel) * 楽園への清く正しき道程(著:野村美月 / エンターブレイン / ファミ通文庫) * ただ、それだけでよかったんです(著:松村涼哉 / アスキー・メディアワークス / 電撃文庫) * TROUBLE-A Part2・ゆがんだ鏡(著:みうらかれん / NHKオンライン / オトナヘNovel) * 神神神は、罪に三度愛される(著:梨沙 / 朝日新聞出版 / 朝日エアロ文庫) * 死んでも死んでも死んでも死んでも好きになると彼女は言った(著:斧名田マニマニ / 集英社 / ダッシュエックス文庫) * おはよう、愚か者。おやすみ、ボクの世界(著:松村涼哉 / アスキー・メディアワークス / 電撃文庫) * 1パーセントの教室 シリーズ(著:松村涼哉 / アスキー・メディアワークス / 電撃文庫) * 針子の乙女 1 - 2(著:ゼロキ / エンターブレイン / ファミ通文庫) * 私たちは失いながら生きている(著:いぬじゅん / 一迅社 / メゾン文庫) * むすぶと本。『外科室』の一途 (著:野村美月 / エンターブレイン / ファミ通文庫) * 旅する錬金術師のスローライフ 1 - 2(著:川上とむ/ 双葉社 / Mノベルス)
受賞歴
編集部
2009年度 第9回Sense of Gender賞話題賞受賞
評価点
編集部
【おすすめキャラクター】 '''コマツアリサ''' 演劇中の事故がきっかけで記憶が混濁し、自身をハムレットだと思い込んでしまった青年。私的な募集に応じた役者をそばに侍らし、森の奥の城に引きこもって、ハムレットの劇を上演し続けている。
総評
編集部
シェイクスピアの名作『ハムレット』を下敷きにしたメタ構造のミステリー。哲学的で難解な内容はきっぱり賛否が分かれる。信用ならざる語り手たちが肥大した自意識に囚われ、悲劇のような喜劇を繰り返す不条理劇として見れば、曖昧模糊とした結末も受け入れやすい。常識人の化けの皮が剥がれ、狂気が表出する瞬間には背筋が冷えた。変わったラノベを読みたい時にはおすすめ。
ストーリーの説明
編集部
哲学的で難解。演劇中の事故がきっかけで自身をハムレットと思い込んだ男と、彼の妄想を補強する為、城に集められた役者たちがストーリーの中心となる。虚実の境界線が曖昧。
キャラクターの説明
編集部
登場人物全員精神構造が歪んでおり、まともな人物は出てこない。彼等が隠し持った秘密や狂気が、ただでさえ難解な物語の複雑化を招いている。
設定・世界観の説明
編集部
他にはないメランコリックで独創的な世界観。覚めない悪夢を見ているような、現実離れした設定に不安を催す。読んでいるうちに現実と妄想の境界が溶け出し、虚構の箱庭に閉じ込められる。
話題性の説明
編集部
全く話題にならなかった。小説家・久生十蘭の短編を翻案した、意欲的な試みは評価できる。ガガガ文庫が最も尖っていた頃の産物。
初心者向けの説明
編集部
全く初心者向けではない。純文学を読んでいる気持ちになる。
読後感のよさの説明
編集部
全て妄想オチと解釈できる終わり方。話の結論が出ない為、脳内が疑問符で埋め尽くされた。殺人事件の犯人すらハッキリせず、そもそも事件自体が妄想の産物かもしれないと疑わしくなるが、意味深なメタファーが至る所に仕込まれており考察は捗った。
テンポの良さの説明
編集部
悪い。台詞は少なく地の文が大半を占める。語り手の思考と幻覚が地続きなせいで、今見ているものが現実かどうかすら曖昧になる。
読みやすさの説明
編集部
純文学に耐性がない人間は振り落とされる。エンタメらしい求心力はない。語り手の独白が延々続いても飽きずに読める人向け。
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