本作は、歴史の分岐を題材にしたSFアンソロジーで、複数の作家がそれぞれ独立した短編を寄せている。扱う時代は、奇病が広がるイタリア、1965年の日本、平安時代、明暦期の江戸、15世紀フランスなど幅広い。中心人物も話ごとに異なり、錬金術師、作家、歌人、江戸の人々、ジャンヌ・ダルクらが、実在の歴史や人物を下敷きにした別の条件の世界へ置かれる。物語の軸は、既知の出来事や人物を起点に、もし別の選択や制度があったら何が起こるかを組み替えていく点にある。収録作ごとに舞台と発想が切り替わるため、シリーズ全体では改変歴史の切り口を複数の時代設定で並べて読む形になっている。短編ごとに題材が独立しており、各話の発想の違いを比較しやすい構成でまとめられている。
構造レビュー
作品Q&A
読者の声
読者レビューをもとに AI が要約した内容です。
作品の魅力
- 歴史改変の発想が大きく、SNS・詠語・石壁・ループなど、各編の仕掛けがはっきりしている。
- 収録作ごとに作風が違い、ミステリ寄り、文化史寄り、感情重視など幅がある。
- 短編なので読みやすく、1編ごとの密度が高い。
- 設定だけで終わらず、世界観や人物の感情まで濃く描かれている。
- 既知の歴史や人物を土台にしつつ、SFとしての意外性が強い。
こんな人におすすめ
- 歴史改変SFや偽史ものが好きな人。
- 斜線堂有紀、小川一水、宮内悠介、伴名練あたりの作家を追っている人。
- 短編で濃いSFをまとめて味わいたい人。
- 史実の知識が少なくても、設定の面白さで読みたい人。
- 百合、ループ、文化史ネタなど、編ごとの刺さり方の違いを楽しめる人。
人を選ぶポイント
- 従来の「歴史改変SF」を期待すると、異世界ファンタジー寄りに感じる編がある。
- 作品ごとに当たり外れや好みの差が出やすい。
- 史実や元ネタの知識があるとより楽しめるが、なくても読める一方で引っかかりは残りやすい。
- 収録作の方向性がかなり違うため、統一感を重視する人には合わない可能性がある。
- 表紙やレーベルの印象で手に取りにくいと感じられている。
テンポ・読後感
- 1編30〜70ページ前後でテンポよく読める。
- 物語の立ち上がりは軽快だが、設定の密度は高い。
- どの編も発想の飛び方が強く、読後に余韻が残る。
- ループや偽史、文化の改変など、頭を使う面白さがある。
- しんみりする話と、驚きや笑いが来る話が同居している。
キャラクターへの評価
- 斜線堂有紀の編は、和歌と感情の結びつきが強く、繊細で切実な印象。
- 小川一水の編は、江戸の作り替え方と謎解きの組み合わせが巧い印象。
- 宮内悠介の編は、社会やメディアの仮定を真面目に転がす書きぶりが印象的。
- 伴名練の編は、ループ構造と人物心理の掘り下げが強く、タイトルの切れ味も目立つ。
- 石川宗生の編は、奇抜な発想で世界をずらすタイプとして受け止められている。
巻一覧
この巻のあらすじ
歴史は変えられるーー物語ならば。色とりどりの“if”の世界に飛び込む、珠玉のSFアンソロジー。
★収録作品★ 石川宗生「うたう蜘蛛」 死ぬまで踊り続ける奇病が蔓延したイタリア。 頭を抱える総督の前に、「この流行り病を収束させてみせましょう」と嘯く錬金術師が現れる。テオフラトゥス・フォン・ホーエンハイムと名乗るその男が披露したのは、奇天烈な治療法だった。
宮内悠介「パニックーー一九六五年のSNS」 一九六五年の日本。そこには「ピーガー」というSNSが存在した。 ベトナム戦争の取材で一時行方不明となった作家・開高健。帰国した彼を待ち受けていたのは、「ジコセキニン」という非難の嵐。世界初の炎上事件の謎を紐解いた先に待っていた真実とは。
斜線堂有紀「一一六二年のlovin' life」 和歌を“詠訳”する平安時代。 “詠語”ができないけれど詠む歌は一級品の歌人・式子内親王の前に現れた一人の女房によって、世界が一変する。
小川一水「大江戸石廓突破仕留(おおえどいしのくるわをつきやぶりしとめる)」 南北四里、丈百尺、厚さは二間。その江戸には巨大な石壁「大廓」が横たわっていた。 一体、その石壁は“何”から江戸を守っているのかーー? 明暦三年一月。燃え上がるあの日の真実が紐解かれる。
伴名 練 「二〇〇〇一周目のジャンヌ」 一四三一年五月三十日、フランスの英雄ジャンヌ・ダルクは今まさに火刑に処されたーーはずだった。 しかし目を覚ますと、処刑の朝に時間が巻き戻る。彼女にもたらされた「奇跡」の正体と代償とは。
★絶賛の声続々!★ 石川宗生「うたう蜘蛛」 読後きっとあなたも現実と虚構の間で踊ることになるだろう。 ーー三宅香帆(書評家)
宮内悠介「パニックーー一九六五年のSNS」 ifによる歴史改変ではなく、タイムラインを遡り、生き証人たちにSNSの闇と真実改変の仕組みをRT(回顧)させ、“真実”というif(畏怖)の匂いを解き放つ! ーー小島秀夫(ゲームクリエイター)
斜線堂有紀「一一六二年のLovin’Life」 読むごとに打ちのめされる。斜線堂有紀には、底も果てもないのか。 ーー池澤春菜(書評家)
小川一水「大江戸石廓突破仕留」 明朗時代劇と歴史改変SFの完璧なマリアージュ。 ーー大森望(書評家)
伴名 練「二〇〇〇一周目のジャンヌ」 「あなたは神を信じますか」いやぼくがいるから神もいるんだが。 心から神を疑わない人間はいるのだろうか? ーーでびでび・でびる(VTuber) 石川宗生「うたう蜘蛛」 宮内悠介「パニックーー一九六五年のSNS」 斜線堂有紀「一一六二年のlovin' life」 小川一水「大江戸石廓突破仕留」 伴名 練 「二〇〇〇一周目のジャンヌ」
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