平安時代の内裏を舞台に、掌侍として働く大江コウ子が、宮中に流れる噂や秘密を手がかりに、女房や妃、官人のあいだで起こる出来事へ向き合うシリーズ。出世よりも日々の務めと平穏を優先したい彼女だが、紙の汚損、鳥の死、失せ物、嫌がらせ、法要や宮中行事に伴う調整など、内裏では小さな異変が権力や家の思惑とつながっていく。帝、皇太后、後宮の女たち、幼馴染の征礼らとの関係も交え、宮中の制度と人間関係のほころびをたどりながら、各巻で一件ずつ火種を収めていく。シリーズ全体では、宮中での役目と私情、立場の差が絡む中で、コウ子が知りたくない秘密まで拾い上げてしまう流れが続く。
構造レビュー
作品Q&A
読者の声
読者レビューをもとに AI が要約した内容です。
作品の魅力
- 平安宮中の仕事や行事が細かく描かれ、装束・官位・宮中のしきたりまで雰囲気を楽しめる。
- 事件は身近な出来事から人間関係のこじれまで広がり、落とし所を探る展開が読み応えにつながる。
- 荇子が巻き込まれつつも冷静に動き、場を収めていく働きぶりが頼もしい。
- 帝や女御たち、周囲の思惑が複雑に絡み、宮中ドラマとしての厚みがある。
- 仕事中心の中に、征礼との関係の変化や恋の行方が少しずつ積み上がる。
こんな人におすすめ
- 平安時代の宮廷文化や後宮ものが好きな人。
- 事件解決よりも、宮中の空気感や人間関係の機微を味わいたい人。
- 仕事をきっちりこなす女性主人公を応援したい人。
- 恋愛が急進展しない、じわじわ進む関係を楽しめる人。
- 似た系統の平安お仕事小説を読んでいて、別視点の物語を求める人。
人を選ぶポイント
- ミステリー要素は強くなく、謎解きを主目的にすると物足りない。
- 登場人物や関係図が多く、巻頭の系図や整理があると追いやすい。
- 巻によっては大きな進展が少なく、恋愛面の動きもゆっくり。
- 時代設定の細部がやや曖昧に感じられる部分がある。
- 誤字や表記の違和感が気になる人には引っかかる箇所がある。
テンポ・読後感
- 事件はその巻の中でまとまることが多く、読後感は比較的すっきりしている。
- 宮中の思惑が重なっても、荇子が冷静に整理して進めるため、全体の空気は落ち着いている。
- 華やかさよりも、働く場としての平安宮中のリアルさが前に出る。
- 物語の進み方は派手ではなく、関係性や立場の変化を少しずつ積むタイプ。
- しっとりした雰囲気の中に、皮肉や人間臭さが混じる。
キャラクターへの評価
- 荇子は地味でも手堅く、状況判断がうまく、信頼される理由が分かる主人公として受け止められている。
- 征礼は気安く話せる幼馴染として好感が強く、荇子との関係の行方が注目されている。
- 如子は装束選びや発言が痛快で、場を動かす存在として印象が強い。
- 帝は孤独さやしたたかさが目立ち、好悪が分かれやすい。
- 周囲の女御や貴族は曲者が多く、善悪よりも思惑のぶつかり合いとして見られている。
巻一覧
この巻のあらすじ
こじれた他人の話題は、いつの世も楽しい。 定年退職を目指して働く女の平安お仕事事件簿、開幕!
内裏女房として働く掌侍(ないしのじょう)・大江コウ(コウ※)子(おおえこうこ)の信条は、自分の食い扶持は自分で稼ぐこと。 報酬分はきっちり働くけれど、出世は望まず、問題も起こさず、ただひたすら地味に真面目に働いていた。 それなのに…。 コウ子の耳に噂と謎が入ってくる。 スズメ殺し、汚された紙、引き抜き工作、そして、いてはいけない人…。 降りかかる火の粉を払うため、コウ子は噂の真相を突き止めるのだが、それが思わぬ闇をあぶり出しーー。
本当は火の粉も遠巻きにして、波風立てたくない。 でも噂だらけ、謎だらけの平安宮廷では、平穏には暮らせない!?
※くさかんむりに行
この巻のあらすじ
「ありがとう。私のために主上(帝)をゆすってくれて」 四季折々の宮中行事と人間模様が織りなす平安トラブル絵巻、待望のシリーズ第2弾!
定年退職を目指して給料分はまじめに働くことが信条の内裏女房の大江コウ(※)子(おおえこうこ)。 だが中宮の不貞と帝の不敬という、いらぬ秘密を知ってしまい、最近は給料外労働が発生しがち。 そんな中、亡き先帝の母で帝と血縁のない皇太后が帝への非難を胸に参内し、難題を突きつけてきた。 解決策のない要求に宮中は右往左往するが、コウ子は宮中行事を利用したある奇策を思いつくーー。 こじれた他人の噂はおもしろい。渦中にさえいなければ。 帝の寵愛を乞う女たち、秘めた恋、そして…。 無関心を装っても、火の粉は向こうからやってくる。 平穏に暮らしたい女房が宮中のトラブルを華麗に解決!?
※くさかんむりに行
この巻のあらすじ
女3人寄らば、事件勃発!! 噂、嫉妬、嫌がらせ…宮中では今日も誰かがこじれている——。
定年退職を目指して働く内裏女房の荇子。 だが女が集まる宮中に平穏が訪れるわけもなく……。 離婚を機に復職した同僚の不穏な噂や夜な夜な響く赤子の泣き声、朽ちていく謎の庭。 さらには帝から二人の女御のうち一人にだけ贈られる特別な唐錦が引き起こした女たちの対立。 火種はどこにでも燻っている。 そして、ここではだれもが秘密を抱えて生きている。 図らずも帝の信頼を得てしまった荇子は、内裏を騒がす事件と謎を穏便に解決しようとするが、思わぬ人物の秘密を暴くことになり!?
死者と生者の思惑が交じり合う、平安京・働く女の秘密の事件簿第3弾!
この巻のあらすじ
また、いらない秘密を知ってしまった……。 一つの嘘と秘密が、新たな仕事を呼んでくる。 働く平安女官のお仕事事件簿!
ともに帝を支えていくーー。出世は望まず、賞賛より平穏を望んでただ真面目に働いていた内裏女房の大江コウ(コウ※)子(おおえこうこ)は、幼馴染みで帝の腹心の部下・征礼の言葉に覚悟を決めた。ところが宮中は今日も事件が止まらない。 目にすることさえ叶わない三種の神器 に明らかな異変が現れたのだ。
犯人は誰か、どんな災厄が降りかかるか宮中は揺れる。そんな中、原因不明の病に帝が倒れ、東宮擁立の動きが加速し、コウ子は奔走するのだが……。
ーーこんなもの、いままでの悪だくみに比べればかわいいものだ。
生者と死者の思惑が交錯する、大好評・平安お仕事事件簿第四弾!! ※くさかんむりに行
この巻のあらすじ
寵愛も、出世も、鍵は帝の腹心たるコウ(※)子(こうこ)が握っている!? 働く平安女官のお仕事事件簿 第5弾!
不本意ながら、帝の腹心の部下となってしまった内裏女房のコウ子。東宮の立坊を機に返り咲きをもくろむ南院家にはすり寄られ、帝の寵愛をコウ子が左右しているという噂を聞きつけた北院家からは袖の下を送られ、日常業務もままならない。そんな中、南院家の流れをくむ二の宮が身罷り、コウ子が法要の手伝いをすることに。だが予想だにしない事実と事件が待ち構えていた……。
「殺めたのか?」 「なぜ、殺めた?」
宮中に噂が駆け巡る時、渦中にはコウ子がいる。
渦中のど真ん中に据えられたコウ子は、すべての火の粉を払うことができるのか!? ※くさかんむりに行
この巻のあらすじ
女御懐妊で宮中に激震!? 東宮擁立目前で波乱あり!? 平安宮中事件簿第6弾!
「弘徽殿女御様が、ご懐妊のようでございます」。竜胆宮立坊目前でもたらされたこの報に、宮中では激震が走った。女御を輩出した左大臣は子の性別もわからぬうちから立坊式の延期を進言したり、安産祈願のための法会を立坊式の日程と重ねたりと目に余る振る舞い。だが左大臣につくか、東宮に擁立される竜胆宮につくか揺れる宮中で、荇子は帝から上臈にしか許されない織物を賜る。実は帝はある計画を進めていて……。
いつの世も、多少無神経な人ほど出世する? 蚊帳の外に置かれたもう一人の妃・麗景殿女御は? 醜聞と思惑が飛び交う宮中を、帝の信任厚い内裏女房の荇子は収められるのかーー!
この巻のあらすじ
獲物を狙う猛禽のような目をした肉食系女官にカタブツ御曹司など、新キャラ登場でますます大騒ぎの平安宮中事件簿、第7弾!
右大臣の子息・藤原祐実が参内することになり、上昇志向が強い美貌の伊予命婦を筆頭に宮中は色めき立つ。ところが秀才と名高い祐実は思いのほか堅物で、中流貴族の一官吏にすぎない征礼を慕い、教えを請う変わり者。だが征礼には祐実に教えられない事情があった。 「江内侍なら公卿の方々でも十分に狙えますよ」征礼を軽んじる伊予に気分を害した荇子(こうこ)は、一計を案じるが……?
身分不相応に取り立てられた者は、嫉妬されるのが世の常。 頑なであろうとあさましかろうと、女の生き方は千差万別で本当に面白い。
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